
気液平衡においてフガシティーfを用いて分離係数を求める、という一連の導出があるのですが、そのなかで、
『気液両相における化学ポテンシャルが等しいから、Φ[i]*P*y[i]=γ[i]*x[i]*f[i,0L]』
[i]…成分iを意味する添え字 Φ…フガシティー係数 P…全圧 y…気相の組成(モル分率?) γ…活量係数
x…液相の組成(モル分率?) f[i,0L]…全圧Pにおける純液体iのフガシティー(液体の場合、純飽和液体のフガシティーで近似)
とありました。
理想気体で近似できるため、f[i,0L]=Φ[i,0]*P[i,0](P[i,0]は飽和蒸気圧),Φ[i]=1
⇒P*y[i]=γ[i]*x[i]}*P[i,0]
…と続くわけですが、一番最初の等号の意味がわかりません。
化学ポテンシャルが等しいからという理由でその式が出てくる意味もそうなのですが、
なによりγ[i]*x[i]は液相の活量、とすれば「フガシティー」=「活量×フガシティー」って…?
とわからないことばかりです。
どのように考えればいいのでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
# 飽和蒸気圧P[i,0]の記号を Psat に変えました。
煩雑になって申し訳ないのですけど、化学ポテンシャルμ[i,G] などが圧力と温度と組成の関数であることを、いちいち書いています。
> 気液両相における化学ポテンシャルが等しいから、Φ[i]*P*y[i]=γ[i]*x[i]*f[i,0L]
全圧 P,温度 T,気相のモル分率 y[1],y[2],...,y[n] のときの気相の成分 i の化学ポテンシャル
(1) μ[i,G](P,T,y) = μ[i,0G](P0,T) + RT ln{P*y[i]/P0} + RT lnΦ[i](P,T,y)
ここで
μ[i,0G](P0,T):全圧 P0,温度 T,純気体 i の化学ポテンシャル
Φ[i](P,T,y) :全圧 P,温度 T,気相のモル分率 y[1],y[2],...,y[n] のときの気相の成分 i のフガシティー係数
全圧 P,温度 T,液相のモル分率 x[1],x[2],...,x[n] のときの液相の成分 i の化学ポテンシャル
(2) μ[i,L](P,T,x) = μ[i,0L](P,T) + RT ln x[i] + RT lnγ[i](P,T,x)
ここで
μ[i,0L](P,T):全圧 P,温度 T,純液体 i の化学ポテンシャル
γ[i](P,T,x) :全圧 P,温度 T,液相のモル分率 x[1],x[2],...,x[n] のときの液相の成分 i の活量係数
飽和蒸気圧 Psat,温度 T,純液体 i の化学ポテンシャル
(3) μ[i,0L](Psat,T) = μ[i,0G](P0,T) + RT ln{f[i,0L](Psat,T)/P0}
ここで
f[i,0L](Psat,T):飽和蒸気圧 Psat,温度 T,純液体 i のフガシティー
全圧 P,温度 T,純液体 i の化学ポテンシャル
(4) μ[i,0L](P,T) = μ[i,0G](P0,T) + RT ln{f[i,0L](P,T)/P0}
ここで
f[i,0L](P,T):全圧 P,温度 T,純液体 i のフガシティー
液体の化学ポテンシャルの圧力依存性が常圧以下では小さいことを考えると
(5) μ[i,0L](Psat,T) ≒ μ[i,0L](P,T)
よって式(3)と式(4)より
(6) f[i,0L](Psat,T) ≒ f[i,0L](P,T)
気液平衡で化学ポテンシャルが等しいことから、式(1)と式(2)より
(7) μ[i,0G](P0,T) + RT ln{P*y[i]/P0} + RT lnΦ[i](P,T,y) = μ[i,0L](P,T) + RT ln x[i] + RT lnγ[i](P,T,x)
この式に式(4)を代入して
(8) RT ln{P*y[i]/P0} + RT lnΦ[i](P,T,y) = RT ln{f[i,0L](P,T)/P0} + RT ln x[i] + RT lnγ[i](P,T,x)
よって
(9) P*y[i]*Φ[i](P,T,y) = f[i,0L](P,T)*x[i]*γ[i](P,T,x)
この式と式(6)から
(10)P*y[i]*Φ[i](P,T,y) = f[i,0L](Psat,T)*x[i]*γ[i](P,T,x)
> 理想気体で近似できるため、(中略) P*y[i]=γ[i]*x[i]*P[i,0]
理想気体近似で
(11)Φ[i](P,T,y) = 1,f[i,0L](Psat,T) = Psat
なぜならば式(1)より
(12)μ[i,G](P,T,y) = μ[i,0G](P0,T) + RT ln{P*y[i]/P0} (理想気体)
および式(3)より
(13) μ[i,0L](Psat,T) = μ[i,0G](P0,T) + RT ln{Psat/P0} (理想気体)
であるから。
よって理想気体近似で式(10)は
(14)P*y[i] = Psat*x[i]*γ[i](P,T,x)
となる。
>「フガシティー」=「活量×フガシティー」って…?
活量は無名数、つまり単位を持たない量なので、問題なしです。
----------
というかんじで、どうでしょう。分かりにくいところや、間違ってるんじゃ?というところがありましたら、補足欄でお知らせください。
返事が遅れて申し訳ありませんでした。充分に内容を熟考させていただきました。何よりこれだけの量、これだけの手間のかかる記号にも関わらず、丁寧にご解説いただき、本当にありがとうございます。内容については、全く持って疑問点はありません。全て納得できました。また、これを機に、化学ポテンシャル・活量・フガシティーまで、再度復習する丁度良いきっかけにもなりました。本当にありがとうございました。
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