No.3ベストアンサー
- 回答日時:
『よだかの星』は童話として読まれている作品のことですよね。
それとも行分けで書かれた同名の「詩」もあるんでしょうか。
質問者さんはあれは散文の形式で書かれた詩である、散文詩であるという認識なんですね。
なるほど! そう言われれば、まさにその通りかもしれません。
ということで、私も無性に散文詩をあげてみたくなりました。
◆『折々のうた』でよく知られた大岡信氏に、『彼女の薫る肉体』という散文詩があります。
「水の底で空気がアオミドロにとらえられたまま凍りついたとしたら、こんな微光を発するであろうか、と思われるような夕暮れ、私はひとりの女に出会」います。
墓石の語るところによると、彼女は狂女であり透視者であるらしい。
「私」は彼女の問に答えてるあいだに、いつのまにか彼女に支えられ空を翔んでいます。
彼女がさししめす黙示録的な光景、彼女からもたらされる啓示、「私」はたちまち恋に落ちます。
実は彼女は、過去、夢中になった男たちのことごとくが「狂人になり、廃人になり」
その瞬間から「わたしの内側に入ってしまう」激越な存在(笑)
この女性は古代人から「うた」と呼ばれた、どうやら、現実と同等の重さを持つ詩、の化身のようです。
「私」はこのあと、視覚になったり、聴覚になったり、虫の触角になったりします。
天地開闢の光景とは、われわれが今ある世界を初めて見たときの驚きと恍惚のことでしょう。
エネルギーとは、それ自身の中には不在で、それが及ぼすものの中にあるのでしょう。
「美しい瞬間」はそれがとどまることがないことによって私自身になるのでしょう。
「私」はやがて日常の世界へ還ってきますが、かつての「私」ではありません。
◆同じく大岡氏の『螺旋都市』は「あなたがたの街とほんの少しちがう」街からの報告。
音楽的で中性的で思索的で、清潔な静謐が支配しているような夢見ごこちな街。
住民の暮らしやエピソードのさまざまが、引用や箴言のオブリガートをともなって語られてゆきます。
「あなたがたの街」と隣接していて、いつも微妙に揺れている、玉葱のような都市?
◆入沢康夫氏の『ランゲルハンス氏の島』は比較的短い28の章から成っていて、
それぞれの章で語られる島の人々の生活や生態は、いずれも面白いのですが、いつも少しずつ奇妙です。
しかもそれは現実のパロディでも諷刺でも批判でもなく、いかなるメタファーも負っていないらしいことがやがて了解されてきます。
いくら話が積み重ねられ進められていっても、どんな統一的な全体像も浮かび上がってこないありさまです。
これは、いかにも物語めかしたニセものの物語、ナンセンスきわまる擬似にすぎない。
という、そういう構造の詩になっているようです♪
◆あと一つ、岩成達也氏の散文詩は、まるで理数系の学術書のような記述。
けれどもこれも奇妙なことに、鳥なら鳥の羽の仕組みが記述されてゆくとして、
細部になればなるほど、具体的になればなるほど、逆に何が何だかわけがわからなくなってきます。
しかもその記述のあいだに、マリアとかヨハネとか昇天とか、
おおよそ「理数」的であるものと縁遠い言葉がまぎれこんでくるのです、しばしば唐突に。
客観的で自明と思われたものが、だんだん「私」という主観の襞のなかでさまよいはじめる。
これは論理を模した擬似論理、論理の構築ではなく脱臼、全体はいつも「断片」に留まるのです。
それでいて読む者の眼前に、時として至高なものが現れてくるという体験は、いかなる魔術によるものでしょう。
付記:
詩はそれぞれ、思潮社刊 現代詩文庫の、
31 入沢康夫詩集
58 岩成達也詩集
131 続大岡信詩集
で読むことができます。
思わず長文、しかも相当かたよった回答かも。ご寛恕のほど。
No.1
- 回答日時:
外国の現代詩でもOKですか?
詩はあまり読まないのですが
Jim Carroll (ジム・キャロル)という人の「夢うつつ」という本を気に入ってます。ドラッグポエトリーと言われて、分かりにくいですが、とても幻想的だし、哲学的です。雰囲気的にはボルヘスみたいな感じです。
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A2%E3%81%86%E3%81 …
ストリート生まれのジャンキーで、のちロッカー、著名な詩人になったという楽しい経歴を持つ人です。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- フランス語 仏文学科でフランス関連の卒論を書く必要があります。こんなにもフランス語を勉強しているのですが、私は日 2 2023/04/13 22:45
- 哲学 哲学の最終形態は詩である 5 2023/04/24 09:46
- その他(アニメ・マンガ・特撮) アメニモマケズ!カゼニモマケズ!丈夫な身体をもち、西に紛争あれば無駄だからやめろと 3 2022/12/23 05:13
- 文学 以下の詩から「詩人」とオフェリアとの関係を教えてください。お願いします。 そして〈詩人〉は告げる 星 3 2023/06/06 19:20
- 文学 宮沢賢治さんの詩を鑑賞したのですが、あまり理解ができません。解説書のようなものはありますでしょうか? 1 2022/03/26 21:57
- 哲学 文学と哲学と――無限なるものをめぐって―― 5 2022/11/13 04:03
- 邦画 野島伸司 東野圭吾 高校教師 人間失格 リツプスティック 世紀末の詩 さまようやいば 白夜行 流星の 1 2023/02/18 20:45
- フランス語 フランス語の詩で、語句や文法を解説した本、ありませんか? 1 2022/04/16 10:33
- 哲学 哲学について優しく説明している本などを教えて頂きたいです 3 2022/10/19 06:06
- 事典・辞書 本統に なぜ使う 2 2023/03/16 20:52
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
詩の楽しみ方を教えてください
-
谷川俊太郎の生命保険の詩
-
恋愛の詩集でおすすめのものを...
-
素敵な言葉
-
尾形光琳って紅白梅図屏風の中...
-
大正の詩人 八木重吉 踏まれ...
-
宮沢賢治の詩集について
-
新書シリーズ名とはなんでしょ...
-
文庫本と単行本の違いって何で...
-
宮部みゆき「茂吉」のでてくる...
-
大学からの課題で読書感想文が...
-
ガラスの仮面、コミック版と文...
-
著者、監修者、編者の違いは何...
-
「要約」は何字くらいが適当?
-
FHD1080Pというドライブレコー...
-
今の時代は何処の古本屋さんに...
-
基礎的な日本語を徹底的に細か...
-
文庫とコミックスの違い
-
大学の卒論が調べ学習になって...
-
ブックオフなどの古本屋さんは...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
詩の楽しみ方を教えてください
-
道程とは・・・?
-
ワーズワース「草原の輝き」文...
-
谷川俊太郎の生命保険の詩
-
夏の詩でおすすめな詩人を教え...
-
詩の題名を教えて下さい!
-
詩を読みたいけど知識が皆無。...
-
心が疲れてる人に贈る詩集
-
谷川俊太郎さんの詩集をさがし...
-
詩集[みだれ髪]の有名な文など...
-
詩に興味があります。
-
文語体の詩集
-
次の漢詩、ご存知の方お教えく...
-
「質量保存の法則」という詩
-
ジャック・プレヴェール詩集。...
-
「世界で一番短い愛の言葉は‥‥
-
詩のタイトルをおしえてください!
-
谷川俊太郎さんの詩集のことで...
-
谷川 俊太郎作の詩を紹介して...
-
谷川俊太郎「言葉の槍」
おすすめ情報