最近気になって仕方がないのですが、純文学と大衆文学の違いとは
何だと思われますか?
学術的な定義はよくわかりませんが、自分自身は
・純文学→人間や生き方を追求。人の内面世界を重視。固め暗め。
・大衆文学→ストーリー自体の面白さを追求。エンターテイメント性重視。軽め。
という風なイメージを持っています(個人的には大衆文学の方が好みです)。
でも、最近、「純文学はエンターテイメント性は低いのか?」「大衆文学
だって、人間を深く描いているものもあるじゃないか」、という疑問を
持つようになり、「純文学・大衆文学の違いってなんだろう」と思うように
なりました。特に、純文学って何?、と。
知人とそのことについて話したところ、「自分は純文学と言われる本は
嫌い」とのこと。理由は、「作者も登場人物も自分(の世界)に酔ってる
感じがする」「内面がドロドロ書いてあって、書いた本人はスッキリ、
読んでる方はどんより。わざわざ暗い気分になるために本を読みたくない」
からだそうです。これは、その場のノリで話した内容なので、極端な言い方
だとは思いますが、私自身が「読後感がスッキリ爽やかな明るい純文学」に
出会ったことが無かったので、少し納得したりも(笑)
線引きや言葉の定義について深く考えることもないかな、とも思うのですが、
何となく気になるので、純文学と大衆文学の違いやそれぞれの魅力について
皆さんの意見をお聞かせ願えればと思います。また、それぞれのお薦めの一冊、
というものがありましたら教えていただけると嬉しいです。範囲が広すぎる
とは思いますが、あえて!特に、明るい純文学を知りたいです。
内容の薄い質問の割に、うまくまとめられず長くなってしまい、失礼しました。
お時間のある方、よろしくお願いします。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
お礼読ませていただきました。すぐに補足を書いたのですがgoo側に
削除されてしまったようで、kaigaisenさんの補足要求の再回答が
結果として遅れてしまい、失礼しました。
<<宮本輝について>>
純文学より大衆文学にカテゴライズされる作品がはるかに多いです。
ダ・ヴィンチ誌上インタビューで「希代のエンターテインメント小説作家」
というタイトルが振られるくらいです。
『道頓堀川』から読書を始められるのはお薦めしません。純文学→大衆文学への
変遷作なので、
(1)作品として洗練されていない(私個人は大変好きな話ですが)
(2)もし純文学と大衆文学の違いを理解されたいなら川三部作を初めから読むほうが
よい(『泥の河』『蛍川』『道頓堀川』の順)
という要素があるからです。
kaigaisenさんが質問の「純文学・大衆文学」にこだわって理解を深められたいなら(2)の方法で作品を読むとよいかもしれません。
単に宮本作品を読んでみよう!と思われたのでしたら、『ここに地終わり海始まる』『錦繍』がよいかも。
また全集が出ていますので、それを順に読まれてもよいかもしれませんし、
映画化された作品が多々ありますので、それらをご覧になってもよいかもしれません。江角マキコ主演の『幻の光』、岸谷ゴロウ(漢字分かりません)出演の『わたしたちのすきだったこと』などあります。
<<漱石・鴎外について>>
鴎外は『舞姫』かな?
漱石はわたしも『こころ』がよいかと思います。
<<純文学の暗さについて>>
生と死はどうしてもエンターテインメントなしに語ると自然と暗くなりませんか?
だから意識して暗くかいてるわけじゃないと思います。
ただ海外の純文学は日本のものより明るいイメージを抱くことが。
芸術作品を作り上げる際に影響するだろう、国民性の違いでしょうか?
No.5
- 回答日時:
ライトノベルというのは、ちゃんとした定義はないかもしれませんが「軽い小説」、気軽に読める小説を指すようです。
とりあえずティーンズハートやコバルトシリーズも含みますし、ソノラマ文庫・富士見ファンタジア文庫などで出ているヤングアダルト向けファンタジー(昔の言葉でいえばジュブナイル)、さらにハーレクインシリーズ、ポルノ小説、ボーイズラブ系(やおい系と言った方が通りがいいかな?)など全般を含む言葉として使われているようですね。こうした作品群が人間の深みを描いていない、と決めつけては失礼かもしれませんが、本来の目的は気軽に読み捨てられるという点です。想定読者層の分化が進んでいますから、誰でも楽しめるというわけではないにせよ、「大衆小説」の定義にはぴったり当てはまるのではないでしょうか。
No.4
- 回答日時:
皆さんが言われているように
ある種の思想・思考を追求したのが「純文学」
それ以外が「大衆文学」
こんな分類だと思います
「書く前に読もう超明解文学史」三田誠広著・集英社文庫を
読んで以下のように理解したのですが
昔の「物語」に対し主人公に感情移入出来るようにしたのが
「小説」のそもそもの始まりであった
そのためには怪獣(竜)を退治したり・月世界に戻るより
隣のお姉さんを好きになったり・なんで自分は何故生まれたんだ
を書いたほうが読む人が感情移入しやすい
そこから発展して人間(自分のこと)をより自然により写実的に
描くことが「小説」の本流に成っていった
その一方で「物語」の発展系のちょいと東海道を歩いてみました風に
読む人に単純に楽しんでもらうのが目的の流れがあった
そこで「小説」を書いている仲良しグループ(文壇?)の中から
”あんなのは小説(文学)じゃない”の声が高まり
もともとプライドの高い・知的な人たちだから
”売れればいいてもんじゃない”
”俺たちの書いているのはもっと純粋な小説なんだ”と・・・・
No.3
- 回答日時:
芥川賞の対象となるのが純文学で、直木賞の対象となるのが大衆文学です。
ってのは冗談ですが(^^)。実際のところ、既に垣根はなくなっているんじゃないかと思います。とか言うと怒る人もいるのかな?
でも、大衆文学と言われるものにも芸術性・思想性に富むものはたくさんあるし、テーマの点でもさほど差があるとは思えないし。
昔は子どもの読み物だったマンガにだって、今では深い人間分析と高度な表現技術を持つ作品が生まれている時代です。「純」と「大衆」を区別することこそナンセンス。無理に区別しようとすると「これは難解で暗くてわかんないから純文学」という定義になってしまいそうで、かえって純文学の人気とレベルを落としちゃう気がします。
私としてはこんな意見ですが、いかがでしょう?
No.2
- 回答日時:
「中間小説」なんて言葉もあります。
大衆小説に人間描写を付け加えたもの、あるいは純文学にエンターテインメント性を付け加えたもの、いずれにしても純文学とエンターテインメントの中間にある小説として提唱されました。現在、直木賞の対象になるような作品は、ほとんどこのジャンルに含まれると思います。「大衆小説」を古い辞書で引くと「時代小説のこと」なんて定義があったりします。時代小説しかエンターテインメントが存在しない時代があったんですね。昨今の時代小説は中間小説的でなければ相手にしてもらえないので、本来の意味での大衆小説(純粋エンターテインメント)はファンタジー文庫などのライトノベル系に生き延びている、とも言えるのではないでしょうか。
ご回答ありがとうございます。
「中間小説」という言葉、初めて知りました。私が一番好きなジャンルは、多分これにあたります。物語を楽しむ中で、人生や人の持つ様々な側面を匂わせる・感じさせるような作品が好きなので。
それにしても、大衆小説がもともと時代小説とは。直木三十五が時代小説作家だということは聞いていたのですが、もともとは「大衆小説=時代小説」だったんですね。私の時代小説観は中間小説的なものだったので、逆に、純粋なエンターテイメント時代小説を読んでみたくなりました。
「ファンタジー文庫」「ライトノベル系」とは何でしょう?小中学生の頃はまった少女向け小説のティーンズハート・コバルト文庫のような系統でしょうか?(でも、これらは少女小説なので、万人向けじゃないですし・・・違うかなぁ)
No.1
- 回答日時:
未熟な時に論展開したことなので自信がありとはいえないのですが、
宮本輝という作家が純文学作家から大衆小説作家に代わっていった過程を
研究したことがありました。
まず純文学とは純粋な芸術を目指して執筆された作品のこと。
世の流行、読み手への受けを度外視した作品です。
読み手の理解力を考慮していないといってもよいと思います。
大衆小説とは、大衆の理解力を考慮し、興味を引くことをねらいに入れた
作品のことです。
一般的に文学研究においては大衆小説は純文学に劣る風潮がまだまだあります。
たとえば私が研究した宮本輝には「川三部作」といわれる「泥の河」「蛍川」
「道頓堀川」という作品があります。前2作は純文学とカテゴライズされていますが、最後の1作は大衆小説への変遷作として前2作より評価が下がっています。
しかし大衆小説の形態をとることで、多くの人に受け入れられ、テーマが伝わりやすくなった一面を私は評価したい立場です。
明るくすっきりした純文学といわれるとむずかしいですね。
読み手よりも作品の芸術性を昇華させる方向で書かれているので、
ちょっと思いつきにくい・・・。漱石の作品が強いて言えば求められているものに
近いかもしれません。どろどろの原因は人の生と死を直面視した要素が
純文学には多いからではないでしょうか。それに性がからむとなかなかきついものがありますよね。
しかし時を経て読み継がれてきた文学作品には強い魅力があります。
短い作品をよんでみられるとよいかもしれません。
個人的には鴎外、芥川などが好きです。
とてもわかりやすいご返答、ありがとうございました。
よく書店で平積みされているのを目にしつつ、(こんなに作品数が多いと選べない・・・)と素通りしていた宮本輝作品が、純文学から大衆文学へと変遷していったとは知りませんでした。(ひょっとして、大衆文学作家となってからの著作の方が多いのでしょうか?←なんとなく、純文学より大衆文学の方が執筆ペースが速そうなイメージがあるもので)。「道頓堀川」が読みたくなりました。個人的に、(程度によりますが)分かりやすく書かれた作品の方が好きなので。
私が書く側だったら、テーマが伝わりやすい描き方を選ぶような気がします。読み手の顔(?)を浮かべながら書く方がいいです。これも私の勝手なイメージなのですが、同じ書く作業でも、大衆文学を書く作業は一種のコミュニケーションなのに対し、純文学は本当に孤独な作業という感じがするんです。純文学には、読み手のうけを排除して書くからこその、つきつめられ完結された作品観があって、それが魅力となるのでしょうが、自分がそういう風に書くのは辛いです。魂を削られそうで。でも、そのようにして書かれるからこそ、人の心を打つのでしょうね。
>漱石の作品が強いて言えば求められているものに
近いかもしれません。
お薦めありがとうございます。中学一年生の頃、母の蔵書だった漱石作品(たぶん、「こころ」だったような)をめくった時は、(なんだか静かで面白くない・・・)とすぐに閉じてしまった記憶があるのですが、同じ頃に読んで、(??・・・終わり?)だった「星の王子様」が、最近再読した際、とてもよかったので、そろそろ漱石作品にも手を出そうかな、と思いました。
同時に、中学生当時、母に言われた「大人にならないと面白くない本もあるのよ」という言葉も思い出しました。あの頃は、その言葉が信じられず、(昔の人の考えたことは、大人になったってわかりっこない)なんて可愛くない事を考えてたものです。でも、母は正しかったです(笑)! 話が脱線していますが、
>時を経て読み継がれてきた文学作品には強い魅力があります。
というお言葉に、うんうんと納得できたもので・・・。人間の根本って変わらない部分、たくさんあるんですね。私はまだ、「自分は大人だ」と胸を張れるような年ではないのですが、少しづつ「年をとらないとわからないこと」がぼんやりと見えてきた気がします。ここれから、読書の幅を広げるためにも、「読み継がれてきたもの」に、じっくりと浸っていきたいです。ただ、生や死・性といった普遍的な重要テーマであっても、必ずしも重々しく書かれる必要は無いのでは?とも思ってしまうんですよ(^^;。明るい純文学ってあり得ないのでしょうか??
お礼だかなんだかわからなくなって参りましたので、さすがにこの辺で。もしよろしければ、漱石や鴎外作品の「初めの一冊」をお薦め頂けると嬉しいです(こういうリクエストは、改めて投稿する必要があるのかもしれませんが)。長文失礼しました。
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