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西洋においては近代哲学の父と呼ばれているデカルトによる合理的精神の確立が何と言っても大事な出来事でした。
デカルトはそれまでに西洋人の間で決着がついていたとされたこの宇宙についてのキリスト教的な理解が、カソリックとプロテスタントとの間の血を血で洗う殺し合いによって、全て吹き飛んでしまった状況に耐えられませんでした。そこで、キリストの権威に頼らない世界観の再構築を考えました。そして、神の代わりに、人間の理性を中心に置くことを思い立ったのです。その理性を納得させるための論理思考が合理的思考と言うわけです。もちろん、歴史な経緯上、デカルトは神を抹殺することができず、妙に神にこだわって論理を展開しており、神から与えられた理性などと言うわけの判らない論理を使ってはいますが、それでも実質は神を越えた理性を持ち込んだわけです。ですが、この合理性の認識は我々日本人には関係ない世界観を持った西欧と呼ばれる地球の片隅に起こった出来事ですので、我々日本人がデカルトの合理的精神を金科玉条のごとく戴く謂れは在りません。日本でも、西洋の合理的精神に勝るとも劣らない発展がすでにデカルト以前に在りました。例えば、デカルトより少し早い時期の16世紀後半の人で、『破切支丹』を執筆した鈴木正三に代表される何人かの日本人が、その当時すでにキリスト教の教義を理論的に批判しております。『日本思想大系25キリシタン書・排耶書』岩波書店を参照して下さい。その論旨は、キリスト教には奇跡と呼ばれる魔術が多すぎる。そんな魔術を使ってその価値を認めさせようとする宗教は、子供や無知な連中だけに通用する未熟な宗教か偽物である。それに対して日本の仏教は生き様や死に様に関する世界観を魔術に頼らずに認識することが中心課題であり、子供だましのキリスト教と比べてはるかに優れた宗教である、と言うものです。この発想は、日本にすでに合理的精神が確立していなくては出てこない発想です。
事実、鈴木正三の誕生より前の戦国時代では、すでに商業都市の堺が大名から独立して大変は勢力を得ていました。ご存知のようにビジネスは合理的でなくては出来ません。その当時の堺では、現在の銀行業での営みのほとんどの物が創出されていたとのことです。まさに合理的精神が確立していなくては存在できなかった都市なのです。ですからデカルトの出現を待つよりも数十年ないし百年ほど前に、日本ではすでに合理的精神が確立していたという証拠です。現在の日本人は、西洋人に教わるまでもなく、我々の祖先の築き上げてきた合理的精神を連綿と受け継いでいるわけです。
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