

硫酸第一鉄と硫酸アンモニウムからモル塩を合成する時の質問です。
モル塩(硫酸鉄IIアンモニア六水和物)を再結晶させるとき、モル塩を硫酸を少し加えた蒸留水に溶かすのは塩を加水分解させないためと聴きましたがどうして加水分解しなくなるのですか?
イオン積の関係で硫酸イオンの濃度を増して、鉄やアンモニアをイオン化させないためですか?
もしそうならモル塩を再結晶するとき塩に閉じ込められた不純物(鉄、アンモニアイオン)が析出してしまい、純度を上げることにはならないと思うのですが、教えてください。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
> どうして加水分解しなくなるのですか?
硫酸の添加によってpHが低くなる(水素イオン濃度が高くなる)からです。
■モール塩の溶解
Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O + 大量のH2O → Fe^2+ + 2NH4^+ + 2SO4^2- + 大量のH2O
モール塩は、「塩」という名前がついていることから分かるように、イオン結晶です。イオン結晶は、結晶をつくっていたイオンがばらばらに ばらけることで水に溶けます。ここで起こっていることは、塩化ナトリウムが水に溶解するときに起こっていることと同じです。
NaCl + 大量のH2O → Na+ + Cl- + 大量のH2O
この時点では、まだ加水分解は起こっていません。
■モール塩の加水分解
塩の加水分解とは、溶解したイオンと水分子との間のプロトンのやり取りのことです。
鉄(II)イオンの加水分解[注1]
Fe^2+ + H2O → [Fe(OH)]^+ + H^+
アンモニウムイオンの加水分解
NH4^+ H2O → NH3 + H3O^+
硫酸イオンの加水分解
H2O + SO4^2- → OH^- + HSO4^-
反応式をみると、塩の加水分解とは、溶解したイオンとH2Oの間の酸塩基反応であることが分かります。たとえば鉄(II)イオンの加水分解の反応式では、鉄(II)イオンがブレンステッド酸、水分子がブレンステッド塩基です。
[注1]鉄(II)イオンの加水分解の反応式は
[Fe(H2O)6]^2+ + H2O → [Fe(OH)(H2O)5]^+ + H3O^+
のように錯イオンで考えたほうが分かりやすいかも。
■再結晶させるときに加水分解させないようにするのはなぜか
鉄(II)イオンの加水分解で生じる[Fe(OH)]^+が、不可逆的に反応して不純物になるからです。たとえば水に溶解した酸素に酸化されて鉄(III)イオンになったりします。詳しくは#1さんの回答を読んでください。
■硫酸の添加で加水分解が抑えられるのはなぜか
鉄(II)イオンとH2Oの間の酸塩基反応は可逆反応なので、ルシャトリエの原理を使って化学平衡の位置をずらすことができます。反応式の右辺(生成物側)にH^+があるので、溶液に硫酸を加えてpHを低くすれば(水素イオン濃度を高めれば)、[Fe(OH)]^+の生成(とNH3の生成)が抑えられます。
一方、硫酸イオンの加水分解は、逆に促進されます[注2]。ですので、あまりにも濃い硫酸を使うと、もしかしたら硫酸水素イオンが不純物として再結晶した塩に取り込まれてしまうことがあるかもしれません。しかし、希硫酸からの再結晶ではそんなことは起こらないことが、実験の結果から分かっています。あるいは逆に、そのようなことが起こらないくらい薄い濃度の希硫酸を再結晶に使うのだ、と考えてもいいです。
[注2]水のイオン積が一定だとすれば、[H^+]が大きくなれば[OH^-]は小さくなる。反応式の右辺にOH^-イオンがあるので、[OH^-]が小さくなれば平衡は右側(生成物側)に移動する。
No.1
- 回答日時:
辞典にはモル塩ではなくてモール塩(Mohr's salt)として載っています。
モール塩だと検索でもたくさん見つかります。
(辞典では「硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物 Fe(NH4)2SO4・6H2O」となっています。)
http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/ubung/yyosuke/uebung …
は京大の学生実験のサイトのようです。
参考になるのではないでしょうか。
その中に
>再結晶溶媒に、水ではなく希硫酸を指定してあるのは、空気酸化を防ぐためである。容量分析で用いるモール塩溶液に、硫酸を入れるのも、このためである。硫酸を加えないと、鉄(II)が空気酸化を受けて液性が塩基性となり、そのことによってさらに空気酸化が進み、鉄の水酸化物あるいは硫酸鉄の塩基性塩の沈殿が生じて、溶液が濁ったりする。
という文章があります。
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