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パワーアンプのCrown D-45を使っていて、気に入っているのですが、やはりプリアンプがないと不便だと思い、探しています。第一候補はやはりヴィンテージのCrownのIC150か150Aと考えていたのですが、試みにアメリカのオーディオ掲示板をいくつかのぞいたところ、最悪、救いようのないクズアンプ、生涯ワーストワンなど、ともかく惨憺たる評価ばかりです。高い評価など一件もありません。これは日本でのこのアンプの評価とは白と黒と言っていい違いで、どうしてここまで違うのか、戸惑うばかりです。そこで実際にご使用の経験のある方に、忌憚ないリアルな印象をお教え願えればと思います。よろしくお願い致します。

A 回答 (1件)

「救いようがない」とは或る意味当たっているかと思います。



IC-150A は 20 年以上前に New York の中古 Audio Shop で見ただけで、その時点で既に Junk 扱いの中古品でしたから・・・スミマセン、見ただけで音は聴いていません。

調べてみたら IC-150 が 1968 年 (54 年前)、IC-150A が 1974 年 (38 年前) に発表され、1983 年 (29 年前) には市場から姿を消した製品です。

20 年以上前に何の修理も行われていないものが Junk 扱いになっていたのも当然ですね。

30 年以上前の Amplifier ともなれば既に Condenser の容量抜けが生じているだけでなく、Cable 皮膜の加水分解や金属部品の酸化腐食も進んでいて、修理をしても初期の音質など期待できないものでしょう。


IC-150 は世界初の Consumer 向け DC (Direct Couloing) Amplifier ですが、それよりも注目すべきは LF356 Ope'Amp' IC Chip を採用していること。

IC Chip 製品は Digital 製品と同様に年月の経過と共に価値が激減する製品です。

PC やデジカメなどは新古品状態でも 4 年で価格が半減し、PC は 8 年もすると Software が入手不可能になってただの箱扱いになりますが、デジカメは 8 年落ちのものなど開封していないものでも初期価格に較べて数分の一以下の価値になっているものです。

National Semiconductor LF356 は今でも DIP (Dual Inline Package) 8pin Type のものが入手可能な Ope'Amp' IC Chip だと思いますが、1980 年代には数千円の予算で作る自作 Amp' 回路でよく見かけた JFET 入力 IC Chip で、1990 年代には様々な電子回路で極普通に用いられる安価な IC Chip になっていましたね。

現在でも後継 Chip の LM Series を用いた自作 DAC (Digital Analog Convetrter) とか Headphone Amplifier などを見かけますが、製品化されているものでも 1 万円前後の製品ですので IC-150/150A の中身を見れば、何万円も払いたくないと思うのも当然かも知れません。

現在、この部分を修理するのであれば、より高性能な TIBB (Texas Instruments Burr Brown) 社の OPA Series 辺りに換装するだろうと思いますが、OPA604/624 にしたところで 3 万円ほどの DAC 付 Headphone Amplifier に他の高性能 Ope'Amp' IC Chip と共にうじゃうじゃ使われている IC Chip です。・・・珍しい Can Type の OPA604 はもう入手不可能だろうと思います。

従って現在新品で販売されている最も安価な Pre-Amplifier にも劣るカス呼ばわりされても致し方ないといえるでしょうね。


日本では 1980 年代に日本 Marantz 社が Ope'Amp' IC Chip を Amplifier に投入し始めましたが、数年で価格が半減する IC Chip を用いると製品価値がすぐに下がってしまうことから「超高速オペアンプ」などと如何にも特別な高級回路のように呼んで Ope'Amp' IC Chip との差別化を必死に行なっていましたね。

結局、他社も製造 Cost を低減できる上に物理計測性能も引き上げられる IC 化に進まざるを得なくなったのですが、1990 年代末になる頃には同じ IC Chip が TV などにも普及してしまい、Digital と IC の波に高額商品の差別化ができなくなって続々と業界が統廃合されてしまった歴史があります。


Vintage 品というもののは常用するものではなく、飾っておくもの・・・入念に手を入れて慈しみ、初期の音が出なくても愛おしむものですので、冷めた評価で「クズ」と言われようとも動じない愛好家でなければ手を出さないシロモノです。

当時の American West Coast Sound ならば McIntosh 社の Amplifier に通じる音がする筈だと容易に想像が付くものですが、現在もなお製造されていて当時の Sound を安価に得られるものとして定評があるのが御質問者さんも愛用されていらっしゃる D45 を始めとする D Series であり、IC-150/150A は過去の遺物、そのままではクズ・カス扱いの Junk 品ですし、修理しても到底初期の音など望めない Vintage Antique 品というものでしょう。

腰の抜けた 60 年代 70 年代の JBL Speaker Unit を Edge を貼り替えて使い続けている超 Mania の人でもなければ修理して使おうとは思わない年代物の Amplifier ですし、修理しても Original の Sound は得られないと判っていてもなお、古い JBL Speaker System と共に愛おしむ人達でなければ手を出さない Amplifier だと思いますよ。


D45 と Desgin 的にも合いそうなのは SL Series ですが、SL Series って、多分 New York の Studio で使われていた筈だろうとは思うものの、見たという記憶はさっぱりありません(汗)・・・Mark Levinson LN Series ほど目立つ Design ではありませんし、滅多に用いられることのない Pre-Amplifier ですから製造台数も少ない筈です。


ちなみに、日本で Vintage 扱いされる舶来品は $1=¥360 とか¥240 だった時代の製品であることにも留意すべきです。

http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.a …

上の Microphone は私が New York にいた頃に愛用していたものですが、私が Audio 小僧だった頃の昔は¥180,000 なんて値段がする雲の上の存在でした。・・・US では $400 でしたが、$1=¥240 以上で換算した上に舶来 Margin が乗ればそんなものですよね。

愛用していた McIntosh C34V も日本では 58 万円でしたが US では定価 $2500、店頭価格 $2000、日本 Marantz PM99SE よりも格下の Amplifier でした(笑)。

Vintage 品に手を出す際にはそうした当時の社会背景にも目を向けてみれば、また別の方向からの価値観に気付くものです。

素敵な Audio Life を(^_^)/
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この回答へのお礼

早速にご回答ありがとうございました。
圧倒的な知識とご経験、文章の品格に感嘆しました。深く感謝致します。
なにしろ方や宇宙まで届く異次元のアンプなどと言い(日本)、方やただのゴミと言う(アメリカ)のですから、これほど極端に評価が違うアンプも珍しいと思います。アメリカではあまりにありふれたアンプだったからかな、とも思ったのですが、ご説明を読み、劣化の問題は深刻だな、と思いました。日本での思い込み評価に踊らされないようにしなければ、と思います。とはいえ、ちなみに私は1962年製のJBLのシステムを使っているので、IC150/150Aを使う資格は十分ありそうです(笑)。と、ここでますます悩みは深くなってしまいます・・・ともかくもご回答、ありがとうございました!

お礼日時:2012/10/21 13:54

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