
1kWのDC-ACインバータを実験的に作っています。
構成はDC200V電圧をフルブリッジに入力し、サイン波になるようなPWM波形を出力します。
フルブリッジから出力されたPWM波形をコイルとコンデンサによるフィルターで平滑し、
60Hzのサイン波にしています。PWM波形の周波数は20kHzです。
出力電圧はAC100Vなので1kWの場合、10Aの電流が流れます。
今回の質問はフィルター部のコイルについてですが、フェライトコアにギャップを
入れたコイルの場合、5Aに達する前に飽和してしまいます。
フェライトコアはPC40EI60で、ギャップは1mmです。この時のインダクタンスは1.4mHです。
手元に□70mmぐらいの珪素鋼板のコアとボビンがあったので、これを使って1.5mHのコイルを
作製し試したところ、飽和はしないのですが効率がやけに悪くなります。またコア自体もかなり
熱を持ってしまいます。
アモルファスやセンダストのコアは直流重畳特性が良いので試そうかと考えましたが、
定格電流10A~15Aぐらいの既製品はインダクタンスが100μH前後と小さいものしか見当たらない
ので、まだ試していません。(入手するのも難しそうですし・・・。)
1kW以上のインバータのフィルターにはどのようなコイルが使用されているのでしょうか?
高周波特性の良く、直流重畳特性の良い特殊な物が使われているのでしょうか?
それともアモルファスやセンダストを使ったコイルを、何個も直列に繋いでインダクタンスを大きく
して使っているのでしょうか?
ご教授のほどよろしくお願いいたします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
> 数十kHzのPWM波形を50Hz/60Hzの正弦波にするフィルター用としては
> 数百μHのインダクタンスが一般的なのかどうかが正直わかりません。
前回バターワース特性のフィルタにしたらどうかと書きましたが、無視したんでしょうか?
2次のバターワース特性はQが1/√2だから、特性インピーダンス√(L/C)を負荷10Ωの√2倍にすればOKです。
例えば、カットオフ周波数1kHzとすれば、L=2.25mHでC=11.25μFとなります。
丸めれば、L=2mH、C=10μFでしょう。
コンデンサは耐圧400V以上でリプル電流を流せる物が必要だから、こんなのがエエんじゃないでしょうか?
http://www.rubycon.co.jp/catalog/j_pdfs/film/j_P …
カットオフ周波数がスイッチング周波数の約1/20で2次のローパスフィルタだから、スイッチングノイズは約1/400になります。
> パワーコンディショナー用のリアクトルなんかを調べてみますと、
> 200μH~300μHほどのリアクトルがほとんどです。
ここを見ると、「ACL」が推奨されていて、3kW出力では1.2mH~1.4mHになっています。
http://www.tamura-ss.co.jp/electronics/pdf/PV_RE …
電流定格が18A~21Aになっているのは、出力電圧が200Vだからです。
ただしパワーコンの負荷は商用ラインそのもの(負荷インピーダンスはゼロ?)だから、フィルタ設計は別の考え方が必要でしょう。
参考になるのは、パワーコンではなく、正弦波出力のUPSだと思いますが。
ところで、設計には電気回路と電磁気学の知識が必須です。
フィルタも信号源インピーダンスはゼロだから、電気回路の基本に立ち戻らないと定数が求められません。
磁束密度Bは、総磁束をΦ、巻き数をN、コイルの断面積をSとして、ファラデーの法則からコイルの電圧Vを求めると(符号省略)
V=dΦ/dt, Φ=BNS ∴V=NSdB/dt
インダクタンスをL、コイルに流れる電流をIとして、コイルの電圧Vを求めると(符号省略)
V=LdI/dt
∴B=LI/NS
当然のことながら、Iはピーク値を採用します。
また、最大磁束密度とSはコア材メーカーに聞く必要があります。
ついでに、ギャップ(空隙)を付与したときのLとNの関係も聞かないと設計できません。
電気磁気学の教科書を見れば、コイルに蓄積されるエネルギーはほとんどがコアではなくギャップに蓄積されるのが了解できるでしょう。
具体的なご回答をいただき、ありがとうございました。
またバターワース特性のフィルターに関しましては、私の理解が浅かったようです。
本当に申し訳ございませんでした。
今回お教えいただきました内容もとても為になる事ばかりなので、とても感謝して
おります。
お教えいただいた事やアドバイスいただいた内容を踏まえ、自分なりにもう一度計算
してみます。
No.2
- 回答日時:
> フェライトコアにギャップを入れたコイルの場合、5Aに達する前に飽和してしまいます。
それは磁束密度が大きすぎるからです。
一般にPC40材の磁束密度は最大電流(ピーク値)で280mT以下に設定します。
> 手元に□70mmぐらいの珪素鋼板・・・飽和はしないのですが・・・
珪素鋼板が厚すぎて鉄損が大きすぎたんでしょう。
コイル(リアクトル)の定格電流は、線材の太さを考えるときは10ArmsでOKですが、飽和を考えるときはrms値の2~3倍程度を考えておきます。
とゆうのは、負荷が順抵抗だったら正弦波電流rms値の√2倍で全く無問題ですが、一般の電子機器を負荷にすると波高率(クレスト・ファクタ)が大きくなっているためです。
真っ当な設計法は専門書に載っていますが、日本語の本がないんでしかたなくAmazonで"magnetic transformer inductor"とでも入れて検索すると一杯出てきます。
僕も何冊か購入しましたが、設計法にはkg(銅損)法とAP(エリア・プロダクツ)法があるとゆうことはわかりました。
実際には、コイル屋さんにお願いして作っているため、打ち合わせができる程度の知識があればOKなんで、専門書は斜め読みです。
これで珪素鋼板の厚みを0.05mmとすれば分散ギャップでエエんじゃないでしょうか?
http://www.sht.co.jp/products/?id=1283154000-213 …
磁気飽和もだらだらですから、最大電流はrms値の1.5倍程度にしても無問題です。
なお、分散ギャップにすると、巻き線の渦電流損が小さくなります。
フィルタとしては、負荷を100V/10A=10Ωとして、カットオフ周波数が数kHzのバターワース特性にしておけばOKでしょう。
ご回答をいただき、ありがとうございます。
設計に関する具体的な手法をお教えいただき、とてもためになりました。
私が使用していた珪素鋼板の厚みは0.5mmほどなので、高周波用のコイルを作るには
厚すぎたようです。
あと以下の内容につきましても何がご存じであればお教えください。
ご紹介いただきましたホームページのリアクトルは、インダクタンスが数mHほどですが、
パワーコンディショナー用のリアクトルなんかを調べてみますと、200μH~300μHほどのリアクトル
がほとんどです。
ただ数十kHzのPWM波形を50Hz/60Hzの正弦波にするフィルター用としては数百μHの
インダクタンスが一般的なのかどうかが正直わかりません。
実際に300μHほどのコイルをつくり、小さい負荷をつけて試しましたが、正弦波にする
にはコンデンサーを30μFほどにしなければいけませんでした。
あとコイルに流れるリップル電流もかなり大きくなってしまいます。
(実験結果では、リップル電流が大きいと効率も落ちてしまいました。)
誠に漠然とした質問で恐縮すが、PWM波形を商用周波数にするためのコイルとしては一般的に
どのぐらいのインダクタンスか使用されるのかご存知でしたら、ご教授ください。
No.1
- 回答日時:
珪素鋼板のコアでも使用している鋼板の厚さ、方向性か否かで各種あるかと思います。
薄い方向性鋼板やアモルファスなどの磁性材料テープを巻いてカットしたカットコアが主流かなと思います。
http://www.nihon-cutcore.co.jp/cutcore_inf.htm
http://www.nihon-cutcore.co.jp/m&m_inf.htm
ご回答いただき、ありがとうございます。
珪素鋼板の厚みも重要になるんですね。
また、カットコアの資料もお教えいただきありがとうございました。
とても参考になります。
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