例えば映画評論家とかなら映画に詳しい人と言う感じで分かるのですが、
「若手批評家の~」などのように対象なしで批評家と呼ばれる人は何者なのかな、と思いまして。
東浩紀さんや宇野常寛さんのように「何かを評価するときに"これは誰々さんの書いた何々と言う本に載っているほにゃららという論"と同じで~」という言い回しを見る限りでは解説者というよりは、
従来は大学の研究室などで思想学を研究してた人が表に出てきたようなものなのかな、と思うのですが・・・。
でもやはり研究ではなく何かを語りたい人という印象も受けます。
いったい何者なのでしょうか?
A 回答 (6件)
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No.6
- 回答日時:
映画学はあるけれど、批評学はないですね。
しかし批評家と言われる人がいます。何なのでしょうね。外国語に訳してクリティークというと研究手法などを意味するから、学者ではない「批評家」は日本独特に思います。現代思想を研究していた人が、表に出てきたというのは、その通りだと思います。東浩紀はデリダに関する論文で、サントリー学芸賞をとっていますものね。しかし、もはや研究をしているわけではありません。批評家らは何をしているのか。私の印象では、批評家とは、
・そもそも厳密に論証できないテーマを、
・学術の見地を踏まえつつ論じ、
・人の判断を導く道筋をつける人(1)、
というものだと思います。
例えば、今、目の前に起きたことを綿密に学術的に論じるのは不可能です。将来、資料が集まってくれば、学術的に論じることもできるでしょう。しかし、今はパッといわなければならない。そういう時、学者は批評を行います。例えばベストセラー小説に関する書評。論じようと思えばできないことはないが、限られた時間で、新聞などの紙幅に収まるように書くためには、そもそも厳密に論じていられない。「批評」する他ないのです。
とはいえ、この批評家を更に発展させていくと、別の姿が見えてきます。特に先の批評家について私が列挙した要素で、最後の(1)を拾えば、エドワード・サイードの述べる民衆を導く「知識人」になると思います。しかし日本では、学者崩れが大衆を上から目線で導くというのは馴染みません。だから「批評家」と呼ぶのかな、と思います。とはいえ東浩紀氏の本音は、知識人として、どんどん社会に問題提起をしていきたいというところにあるような気がしています。それにしても憲法のアイディアは酷いものでした。彼にはもうちょっと勉強してほしいです。。。
>私の印象では、批評家とは、
>・そもそも厳密に論証できないテーマを、
>・学術の見地を踏まえつつ論じ、
>・人の判断を導く道筋をつける人(1)、
>というものだと思います。
なるほど…。
>とはいえ、この批評家を更に発展させていくと、別の姿が見えてきます。
>特に先の批評家について私が列挙した要素で、最後の(1)を拾えば、エドワード・サイードの述べる民衆を導く「知識人」になると思います。
>しかし日本では、学者崩れが大衆を上から目線で導くというのは馴染みません。
民衆を導きたい感は確かに彼らから感じます。しかし、いざ先導者として見るとそれにふさわしい品位と言うか、実体的或いは(彼ら自身の)経験的論拠を感じられません。
そういう見方で言うと、どちらかと言えば彼らに近いのは新興宗教家の感じを覚えます。
No.5
- 回答日時:
限られた時間内で代案をだして物事や解釈を改造してしまうような、
場やら面子を潰す者、そういう人ではないでしょうね。
いや、そういう人か?(笑)
非難してみせることは2歳の子供にだって、頭の都合が相当悪い者にも出来て
ほとんどの人と共有しうることを言えば
納得され盛り上がって人気者になれるんじゃないかなと思う。
「あなたは誰?」と聞いてみたいですね。
>「あなたは誰?」と聞いてみたいですね。
本人たちに聞いてみたいですが、彼らはそういうのを適度に言いくるめて面子を保つのも仕事の内としているような感じもします(笑)
No.4
- 回答日時:
批評および批評家は、19世紀なかばすぎのヨーロッパに誕生したのですが、
背景をみると、その存在のきっかけや理由がわかることでしょう。
まず産業革命後の社会には、注目すべきポイントがあります。
(1) 生産力があがり、消費層が厚くなり、投資が活発になり、金融は流動性を高め、資本経済が確立した。
(2) 欧州の国力が増大し、オスマントルコの勢力に対抗しての戦争と、周辺の覇権をめぐる戦争が増加して、景気の変動が激しくなり、強大な投資家を産みだすとともにいっそう資本経済が活性化した。
(3) 各国の国力があがると、産業博覧会という催しが生まれた。博覧会は国際的な催しになり、また、愛国心と表裏一体の民族研究を駆り立てた。民族のルーツを求め、異国の文化や、未開の文明や、打ち捨てられていたギリシャローマの文明を発掘する活動が盛んになった。これは、ロマン派という芸術の潮流にとってインスピレーション源となった。
(4) 大量生産が主流になったために、職人の技術や意匠が急速に失われ、無学な工場経営者が日用品のデザインを市場に送り出すことになった。いっぽうで情報が豊かにもたらされるために、様式や伝統はすっかり混乱し、過去のものも異国のものも広く遠く理由もなく混ざりあった。
(5) フランス革命などの市民革命が起こり、ブルジョワジーの勢力が増大した。
(6) 鉄道網の発達と、新聞と雑誌の配達域の欧州全土への拡大によって、人々は自宅や近場で情報を楽しむことができるようになり、価値を共有できるようになった。メディアが誕生した。
(7) 旧体制が備えていた価値観が崩壊した。すなわち国王の権威や正当性を大げさにアピールするために存在した歴史と宗教を、大画面のキャンパスに描く必要はなくなった。また、芸術を貴族階級が庇護することができなくなったかわりに、市場に芸術が晒され、市民が芸術の市場価値を決めることになった。
(8) 画家や音楽家とはまた別に小説家は新聞掲載で金銭と名声を稼ぐことができ、特異な地位を獲得した。登場したばかりの写真もやがて市場広告と報道記録の仕事によってその地位を確立した。
こういう状況において、文筆業としてはじまったのが批評です。
批評家は、ブルジョワ市民が絵画を見たり、本を選んだり、流行の服を買ったり、音楽会に行ったりするときに情報を差し出したのでした。
つまり、国王や貴族の時代の価値観ではなく、市場経済によって動いていく情報と価値観をすばやくとらえ、市民に提供したのです。
今日の批評家も同じでしょうか? どうでしょうか? この160-170年ほどの間に、価値はいっそう多様化してしまいました。それに、市民は自分で選べるようになりましたね。企業は動向分析をより精緻にし効率よくスピードも上げなければなりません。
まだ批評家に仕事はあるのでしょうか? 彼らは金利生活ブルジョワジーの名残りにすぎないかもしれません。でも、メディアが滅びるまではその本質を共にして存続するのかもしれませんね。
なるほど、芸術的価値観と主体の変遷(王侯貴族→富裕市民)に伴った歴史的経緯から情報提供者の必要性が生まれ、批評家と言うものが誕生したのですね。
大変参考になりました!
>今日の批評家も同じでしょうか?
今日の批評家はどこか「上方向」に対して語っている感じがありましたが、それが「ブルジョワサイド」に対してだとしたらあの一般人に対する居丈高さもなんとなく分かる気もします。
No.2
- 回答日時:
僕の前半生では批評家とか評論家という
言葉も人物も聞いたことがなかったです。
小学生のころテレビの日曜洋画劇場という
番組のラストで解説をする淀川長治という人
が何かの雑誌に「映画評論家」と紹介され
何だかとても新鮮な感覚を覚えました。同時に
確かに人生すべてを映画に捧げた人ですから
だれしも納得です。
以後、僕の後半生、やたらに○○評論家、
批評家なる言葉が氾濫しました。ずっと不思議
な気がしてなぜ・どこからそんな職業の人が
急激にあらわれたのかと悩みました。
で、結局理解したのほ彼らはTVや新聞など
マスコミの必要からちょいと呼び出された、
ほとんどが素人同然の人たち、せいぜい一般人
よりは少しだけその分野に知識がありますよ
というだけの人たち、もっと言えばTVで必要な
時間しゃべり続けられる能力、新聞に必要な
行数の文を話せる能力があれば誰でもよい
のだと気づきました。
淀川長治さんお懐かしいです…。
あの頃の映画評論家の方にはある種の信頼性を感じることが出来ました。
やはり評論対象に対する愛情が備わっていたからでしょうか。
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