No.2ベストアンサー
- 回答日時:
マーラーはブルックナーに師事していた時期もあり、マーラーがブルックナーの交響曲第3番をピアノ版に編曲したりなどもしています。
しかし、マーラーの作品の中のブルックナー的な部分というのは、見つけるのが困難です。それだけマーラーにもブルックナーにも個性があるということだと思います。
むしろブルックナーは構造的、マーラーはテーマ的というような違いを見つける方が簡単だと思います。
どちらも日本で浸透してきたのは1960年代ですから、ademu2さんの言う通り、これも関係するのだと思われます。
あとは系譜の問題。つまりワーグナー。ワーグナーを心から尊敬していたブルックナーと、若い頃ワグネリアンであったマーラー。同じワーグナーの影響下と言っていいと思います。しかしマーラーはシューマン→ブラームスの系譜にも決して否定的ではなかったようです。
マーラーと比較するのであればR・シュトラウスでも構わないはずですが(シューベルトのリートの系譜)、なぜかブルックナーとひとくくりにされているのが実際のところです。
あとは、オーケストラを聴く醍醐味の1つとして、金管楽器を聴くというのがありますが、そういう意味でマーラーもブルックナーも楽しめるという共通点が挙げられるくらいでしょうか。
No.7
- 回答日時:
まじめなお話は皆さん書かれていますので、余談をひとつ。
#2さんも書かれているように、
マーラーから見てブルックナーもブラームスも「先生」の
世代なのですが、
マーラーが「これこそ作曲家マーラーの最初の作品」と
意気込んでコンクール(その名もベートーベン賞)に出した
カンタータ「嘆きの歌」は、ブラームスの鶴の一声で落選
になったそうです(結構後々まで恨んでいたらしい)。
マーラー自身は(同じベートーベンを理想としても)自分の
目指す音楽がブラームスとは違う方向(その時代の流れだ
とブルックナー方向)だいうことを自覚していたのでしょう。
あと、ブルックナーとマーラーの交響曲はただ「長ったら
しい」だけではなく、編成がやたら大きいことも特徴です。
(これは「退屈なこと…」とは逆に、ドラマチックな効果
を狙うことにつながるのですが…)
演奏サイドから考えると、ブルックナーやマーラーの曲を
アマチュアオケで演奏できるのは、それだけ大規模なもの
を組めるだけ団員数が増えたから、という要素もあります。
金管やパーカッションの人がやたらあぶれる選曲よりも
皆に優しい(???)ですし。
商業公演でも、「派手な曲をやる」集客効果が人数を確保
するコストを上回れば、流行るのかもしれません。
ただし、あまり大編成なのも考え物で…。
死ぬまでにマーラーの交響曲第8番「千人」は歌いたいの
ですが、なかなかそんな大掛かりな曲をやる機会はないも
ので…。
大編成というキーワードをいただき、これで締め切りにさせていただこうかと思います。
ワーグナー崇拝者のブルックナーと、Judeaのマーラーが一くくりにされているのも興味部会ことです。
こうなると軽々しく述べられるべきものでもないので勉強期間をいただきとうございます。
ありがとうございます。
No.6
- 回答日時:
一言でまとめられるほど、また書ききれるほどわたしの意見はまとまりそうにないので、是非図書館かどこかで「ブルックナー/マーラー事典」(東京書籍刊)の前書きをご参照いただければと思います。
少なくともわたしはかなり納得しました。
買え、とは申しません。こんなもの(6800円したと思う)買う人間は専門家とわたしのような好事家だけで充分ですから(笑)
早速図書館へ行って参りました。
ご紹介していただいた図書はございませんでしたが
なんだか明日からマーラー評論家になれそうです。
ありがとうございました!!!
No.5
- 回答日時:
最近の若い音楽愛好家は皆、マーラーやブルックナーをあまり抵抗なく聴いていて、マーラー・ファンやブルックナー・ファンも数多くいます。
私もマーラーやブルックナーの音楽は大好きです。でも、昔は、マーラー・ブルックナーの音楽は、理解できないくておもしろくない、複雑で分からない、という聴衆の態度が一般的でした。
いつ頃から、このような聴衆の態度が変わって、今の時代の聴衆のように、マーラーやブルックナーを抵抗なく聴いて楽しむ、という時代になったのかの具体的なことは私には分かりませんが、かつてマーラー・ブルックナーは聴衆から避けられた存在だったのに、そうれがそうではなくなって、現在では、一般的に聴かれる時代になった、ということだと思います。
記憶に残っているところでは、1970年代に、日本でマーラー・ブームが起こって、それ以後、マーラーの交響曲が一般的に聴かれる時代になった、ようやく聴衆に受け入れられた、という話を、この時代を生きた専門家から聞いたことがあります。
ブルックナーとマーラーの共通点は、長大な交響曲という点以外では、「ベートーヴェンの交響曲の伝統をそのまま受け継ぎ、一歩、更新した」というところにあります。ロマン派の交響曲の流れを作品分析を通して勉強してどのようにソナタ形式が変化していったのかということを見ていくとこのことが分かるのですが、簡単に分かりやすく言えば、ベートーヴェンが交響曲で成し遂げたことを、そのまま受け継いで、大形式という中で、別の表現で発展させた、ということです。ブルックナーとマーラーでは、マーラーのほうが音楽史的には偉大な存在です。マーラーはソナタ形式を拡大して広げて極限の姿にまで変えることができたので‥。
ベートーヴェンが交響曲を書いて以来、その後の時代の交響曲を書いた作曲家で有名な人はシューマンですが、ベートーヴェンからシューマンまでは時代に開きがありますよね。ベートーヴェンのシューマンの間にいる作曲家で交響曲を書いたのはウェーバー、シュポーアなどですが、この人たちの交響曲が有名にならない背景には、「ベートーヴェンの存在の大きさ」「偉大さ」があります。ベートーヴェンの偉大さに比べたら、ウェーバやシュポーアなんて押しつぶされて消えてしまうわけです。だから、ウェーバー、シュポーアの交響曲は有名になれなかったんです。
ベートーヴェンの偉大さを真に理解し、伝統を受け継ごうとした最初の作曲家はシューマンですが、シューマンの交響曲へのアプローチは、ブラームスのように「ベートーヴェンの真の後継者」とは違って、ロマン派的な受け継ぎ方をしましま。ハンスリックという美学者がブラームスを「ベートーヴェンの真の後継者」と言っているのですが、マーラー‥ブルックナーもブラームスの流れの人物で、「ベートーヴェンの真の後継者」でした。マーラーとブルックナーの同時代の作曲家にはドイツでは12音技法を生みだし革新的なことをやったシェーンベルク、ロシアではロシアのアヴァンギャルドとして革新的なことをやったスクリャービン、フランスでは機能和声を放棄したドビュッシー、「私の音楽は以前とは全く異なった響きを持つようになった」と言って革新的なことをやったラヴェル、などがいますが、今あげたどの作曲家にも、過去の伝統から何らかの形で逸脱した真の「革新性」があります。シェーンベルクで言えば「12音技法」、スクリャービンは「神秘和音」、ドビュッシーは「機能和声のの放棄」です。それに対し、マーラー・ブルックナーはベートーヴェンの交響曲の伝統を守り、過去の和声言語(12音技法でもなく、ドビュッシーのような和声でもない、昔からの伝統的な和声法)を使用し続けた、アヴァンギャルドではなく「保守派」に属します。
同時代的な流れ、両大戦間の音楽の流れのなかで、マーラーとブルックナーを見た場合に、どちらもアヴァンギャルド(革新的、急進的)なことをせずに、ベートーヴェンの伝統を守り抜いた、というところで、一括りにされるわけです。
同じ同時代の作曲家でも、マーラーとスクリャービンは一括りにできないし、マーラーとドビュッシーも一括りに出来ず、やったことは全く正反対です。ドビュッシーは、音楽に初めて‘無時間’の概念を生みだし、ベートーヴェンのような直進的な音楽時間を変えたわけなので‥。
専門家ではないので、私が書けることはこの程度のことですが、何か参考になりましたでしょうか?
一応、音大生ですが、まだキャリアが足りなくて、専門家にはほど遠いので‥。ご参考になれば幸いです。
私のブルックナーとマーラーの質問に対し
あたかも二人を象徴的しているかのような長文でご回答を賜りありがとうございます。
12音技法とか・・・
そういうことを期待しておりましたが、保守派ということですね。
このご回答を読んで
ラフマニノフに強く興味が沸きました。
彼も変わり者なのでしょうか?
時代を考えると少数派ですね。
No.4
- 回答日時:
これまでの3人の方と解答はまさしく正攻法ですけど、これって前後の文脈をみないとなんとも言えませんよね。
というか、この2人の共通点って、ぱっと思い浮かぶのは交響曲がやたら長いということでしょう?No.1の方も書いていましたが、録音再生技術の進歩がこの二人の作品をコンサートホールから家庭に持ち出した。音楽文化史的にはこの見方だって重要な意義をもちます。あたまに、「日本でも」なんてつけば、わが国の西洋音楽受容史の話になるし、お読みになった書物の文脈を教えていただかないときちんと分析できませんね。
====リスト/ファウスト交響曲====
このCDの解説に使われていたと思います。
昨今の我が国音楽事情をさして使っていたように思います。
CD以外にも現物を確認しようと調べていてお礼がおそくなってすみません。
結局、具体的に前後の文脈を申し上げられません。
ありがとうございました。
次回からのもう少し考えます。
No.3
- 回答日時:
朝比奈隆さんの書いたものの中に、日本人がブルックナーを理解できるわけがないという偏見でドイツ人にみられたという記述がありました。
確かに、ブルックナーはこれまでなかった壮大な構成で書いており、このような宇宙規模の音楽は最初の理解までが大変であります。聴き方が明らかに他と異なります。特に、第五番については、僕は今でもわかりません。マーラーは特に好きではないのでよく知りませんが、日本人はマーラーの思想的なものをあまり共有していませんので、これも先の話と同じで、マーラーがわかるはずがない!
そういった文化的土壌の異なる日本において、「一般的に聴かれる時代・・・」になっているわけです。他にもほとんど日本では聴かれていない作曲家が沢山いるようですが、その代表格として、少し前まではブルックナーとマーラーであったのでしょう。
ありがとうございます。
「壮大な構成の宇宙規模音楽」と
「マーラーの思想的」の二点について
少々解説をしていただけると幸いです。
No.1
- 回答日時:
ブルックナーとマーラーの共通点というと長大な交響曲のみが主たる作品である(協奏曲とか器楽曲が殆どない)という点でしょう。
一般的に聴かれる時代になった背景に演奏会で取り上げる回数が増えたということ、つまり演奏者のレベルがそれだけ向上してきたということでしょう。また、それとともにCDの登場もかかせない条件だと思います。普通、70分以上の曲ですとどうしてもLP2枚になってしまうのですが、CDだと1枚に収まるので値段的にもリーズナブルだし、なんといってもひっくりかえす手間が省けるのが利点です。
1曲の演奏を椅子から立つことなく聴ける環境というのはすばらしいものだと思います。
余談ですが、CDに収録された総時間が40分程度だと詐欺じゃないかとさえ思います。
まあ、聴く人によっては長ったらしくて退屈だと思いますが、演奏している人は加えて体力的にきついです。
どうもありがとうございます。
その交響曲は長大という以外に、形式とか理論的に特徴のあるものなのでしょうか?
はっきり申し上げますと、ブルックナーの交響曲第4番、マーラーの交響曲第5番を何度か聴いた限り、当たり前に普通のような気がしました。
ブルックナーは美しかったけれど、もう少し要約してほしいと強く思いました(笑)
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