論理学について,以下の記事が面白く書かれていたので読んでいたところ,
ヘンペルのカラスの説明について,ふと疑問が生じたため質問させてください.
http://kokonoko-philisophy.hatenablog.com/entry/ …
「すべてのカラスは黒い」を証明する⇒対偶をとる⇒「黒くないものはカラスではない」を証明する
という点で,ヘンペルのカラスは擬似パラドクスに相当する,という点については納得がいきました.
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%98%E3%83%B3%E3% …
しかし,上記記事にある2例目のように,
「Aさんは神である」を証明する⇒対偶をとる⇒「神でないものはAさんではない」を証明する
というのは,1例目のヘンペルのカラスとは異なる問題をはらんでいるように感じます.
つまり,「神である」ものの集合が空集合だった場合についての問題だと考えており,
さらに場合分けで考えて,①は理解できたのですが,②の場合どのように考えるべきか悩んでいます.
①「神である」ものの集合が空集合であることが既知ならば,対偶を採った時に,空集合の否定で全集合となるので,「【全集合】でないものはAさんではない」となり成り立ちます.
②「神である」ものの集合が空集合であることが未知ならば,,,どのように考えるべきなのでしょうか.
そもそも証明をしようとしている最中の手続き中において,対偶をとることは,空集合である可能性がある場合でも,理にかなっているのでしょうか.
よろしくお願いします.
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
ANo.3へのコメントについてです。
> xは集合ですよね,自分自身であるような集合の集合が
せっかくRusselのパラドクスを知っているのなら、その知識を使わなくちゃ。使えない「知ってる」はただの丸暗記に過ぎません。
x=x とは要するに「xによらず必ず成り立つ述語の一例」です。なのでX={ x | x=x }は「「あらゆるもの」を集めたもの」ってことです。しかしXは集合ではない。
なぜなら、もしXが集合であれば、分出公理によって
A = { x | x∈X かつ x∈x}
および AのXに対する補集合
B = { x | x∈X かつ x∉x}
がどちらも集合になる。だからRusselのパラドクスが起こる。
> 私の理解が間違っているか書き方が悪いか,のどちらかだと思うのですが
理解はどうだか知りませんが、書き方は論外のレベルです。意味のはっきりしない単語をぱらぱらまき散らすだけで文になっていないのは、自分で何を書こうとしているのかを分かっていない人に特徴的な書き方じゃないかな。そんなもの書き散らしているんじゃあ、論理にも集合論にも、歯が立つはずがありません。
> 命題:∀x(Px ⇒ Qx)-① > の真偽値を知りたい,ということを前提と考えておりました.
そんな意図だとは、まったく想像も付きませんでした。が、了解です。
> 未だ誤りは生じているでしょうか.
∀x(¬Qx⇒¬Px)と ∀x(Px ⇒ Qx)が同値だということは既に回答したわけで、それをまた繰り返すというナンセンスなことをなさるのだから、きっと、よほど酷く混乱なさっているんでしょう。
> 現実とは切り離し,数学や論理学において納得したいです
そういう意味でしたら、カラスだの神なんか持ち出して「たとえ話」の世界を漂っていてはだめですね。「納得」するには、一階述語論理をきちんと学ぶことです。また、集合論については数学基礎論を学ぶ。まずは教科書を何冊も買い込むんです。ネットなんか見てちゃ駄目。
しっくり納得できるまでには相応の時間が掛かるでしょう。でも、なかなか納得出来なくても「たとえ話」には逃げないようにね。
おかげさまで,理解をわずかながら進めることができました.
自宅にある教科書を読んで勉強を進めていきたいと思います.
根気強くご回答いただきありがとうございました!
No.3
- 回答日時:
ANo.2へのコメントについてです。
> 提示いただいた以下もパラドックスの一種と言えるのですね.
> q = { x |∃x(x∈∅)}
えーと、申し訳ないけど、まず訂正です。ANo.2の
>> q = { x | x∈y かつ ∃x(x∈∅)}
というのはチョンボでした。正しくは
q = { x | x∈y かつ x∈∅}
でなくちゃいけません。(これでq=∅になります。 x∈∅となるxはないからです。)
また、
>> q = { x |∃x(x∈∅)}
もチョンボでした。これじゃ、" | "の右側が(述語ではなく)命題になっていて、つまり
q = { y | 偽 }
と書いたのと全く同じ。つまり " | "の右側はyについて何も規定していませんので、そもそも式になっていません。
ここに書くべきだったのは、" | "の右側に来る述語P(x)が
∀xP(x)
であるようなもの、たとえば
q = { x | x=x }
でした。で、このように訂正した上で本題に戻りますと、
> ◆疑問点1
q = { x | x=x }とするとどんなxでもx∈qとなります。が、qは集合ではない。なぜならqが集合だと思うと、qは「あらゆるものの集合」になり、Russelのパラドックスが発生するからです。
ご参考 → https://oshiete.goo.ne.jp/qa/3290945.html
> ◆疑問点2
> ・前提:
>命題:∀x(Px ⇒ Qx)
意味が分かりません。これを「∀x(Px ⇒ Qx)という命題の真偽値は(命題なんだから真か偽のどちらかだが)どちらとも決まっていない」という意味でお書きなのか、それとも「∀x(Px ⇒ Qx)が成り立つということを前提とする」という意味でお書きなのか。
>対偶:∀x(¬Qx ⇒ ¬Px)が真である,と与えられた
意味が分かりません。 ∀x(¬Qx ⇒ ¬Px) は、既に説明した通り、何の対偶でもありません。
> --仮に「カラス」なるものが存在する場合
> ⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真
「存在」とは何のことでしょうか。現実世界における存在なのか、それとも数学の概念として存在するということなのか。前者ならば、あくまで「常識的判断」というほどの意味でしかなく、もちろん、(数学や論理学における)証明の対象になりえません。
後者ならば、「xはカラスである」という述語の(現実とは無縁の)定義を与え、さらに命題 ∃x(xはカラスである)を証明することによってのみ、「「カラス」なるものが存在する」と言えます。
> 本来のヘンペルのカラスは,この帰結について違和感がある,というものだと理解しています.
ご自由に理解なされば良いかと思います。stomachmanとしては「かの議論は、数学や論理の証明ということがよく分かっておらず、かつ物理のイロハもよく分かっていない人たちが、よくわからん話をして、よくわからんと言っている」という以上の意味はないように思いますが。
> しかし,論理的に正しいのは明らかなので,私は次の点についてのみ疑問を持っていました
意味が分かりません。「論理的に正しい」とはどういうことなのか。また、何が「論理的に正しい」と仰っているのか。(なお、現実においては、白いカラスや白黒まだらのカラスの存在が知られています。)
> --一方,「カラス」なるものが存在しない場合
> ⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真,
> この場合,命題の前件Pxは常に偽なので,命題は常に真.よって問題
> はないと捉えればよいのだという理解に至りました.
数学的な意味で「カラス」なるものが存在しないならば、「カラスであるx」について何を言っても真です。すなわち、一般に、P, Aを勝手な述語として、
(¬(∃x Px)) ⇒ ( ∀x(Px ⇒ A(x) ))
は真です。
=================
なお、ANo.1は「xはカラスである」が(現実世界において)そもそも述語になっているのかどうか、ということを問題にしているように思います。何がカラスで何がカラスでないか、ということは、そう簡単な話じゃない。
たとえば「カラスを捕まえたとしよう。そのカラスの羽を1本むしって、さて残りはカラスなのか。そのカラスから目玉を取り除いて、さて残りはカラスなのか。そのカラスから頭を取り除いて、さて残りはカラスなのか。そのカラスに水を掛けると、それはカラスなのか。そのカラスに濃硫酸を掛けると、それはカラスなのか。…」と尋ねられただけでも困るっしょ。「xは黒い」も同様に、論理的・数学的に扱えるような概念じゃないでしょう。
この件についても、上記のURLで多少の議論をしています。
再度ご回答いただきありがとうございます!
再再度質問がございますのでご回答をお寄せいただけると幸いです.
◆疑問点1について
なんと,q = { x | x=x }
でもパラドクスが起こるのですか!驚きました.
xは集合ですよね,自分自身であるような集合の集合が,パラドクスを起こす
というのは正直想像しがたいのですが
初歩的な質問を繰り返すのも申し訳ないので,理解できるように勉強します
#リンク先を拝見させていただきました.じっくり3回読み,少しは理解できたと思います
◆疑問点2について
私の理解が間違っているか書き方が悪いか,のどちらかだと思うのですが
今一度ご確認いただけると幸いです.
まず
命題:∀x(Px ⇒ Qx)-①
の真偽値を知りたい,ということを前提と考えておりました.
この時
各要素の【<-追記しました】対偶:∀x(¬Qx ⇒ ¬Px)が真,と与えられた-②
> ∀x(¬Qx ⇒ ¬Px) は、既に説明した通り、何の対偶でもありません
という点についてですが,A2で頂いた以下の内容から
>∀x(xはAさんである ⇒ xは神である)
>∀x(xは神ではない ⇒ xはAさんではない )
>と同値です
∀x(Px ⇒ Qx)
∀x(¬Qx⇒¬Px)
は同値ですよね.
但し全体の対偶をとったわけではなく,全称量化の中身についてのみ対偶をとった,という意図で上記追記しました
その上で,②∀x(¬Qx⇒¬Px)が真 ということが明らかであるのならば
①∀x(Px ⇒ Qx)も真である
という推論は成り立つと理解しているのですが,未だ誤りは生じているでしょうか.
>「存在」とは何のことでしょうか
後者です.現実とは切り離し,数学や論理学において納得したいです
そのためANo1に関するカラスの判定については「可能」,単なる述語であると割り切って考えています
また「論理的に正しいのは明らか」というのは全く曖昧な言い方でした.ごめんなさい
表現したかったのは,「私のような初学者にとっても論理的に正しい,という帰結が容易に導かれる」という意味でした.
逆に以下の点については「容易ではなかった」のです
> (¬(∃x Px)) ⇒ ( ∀x(Px ⇒ A(x) ))は真です。
承知しました!この点では一歩だけ理解が進められたと思います
No.2
- 回答日時:
いくつか問題があります。
[1] 述語で定義される集合について
> 「【全集合】でないものはAさんではない」
「【全集合】の要素であるもの」と「【全集合】」との区別が正しく出来ていないように思われます。これはただの初歩的誤りなのか、あるいは、「【全集合】」なる概念がひどく混乱しているために出てきたものなのか。多分後者だろうということで、以下の回答を付けます。
> 「神である」ものの集合が空集合
命題を集合と関係づけるには、「神は存在しない」という命題を、述語「xは神である」を用いて
∀x(¬(xは神である))
と表わす必要があります。すると、
∀x(x∈X ⇔ xは神である)
は「Xは神であるものの集合である」という述語(「述語」とは、「Xに具体的な対象を代入すれば命題になる」ようなもの)です。
命題
∀x(¬(xは神である))
から、命題
∀X( ∀x(x∈X ⇔ xは神である) ⇒ X=∅)
が出せます。「「Xは神であるものの集合である」ようなどんなXも、空集合である」ということです。
[2]対偶という概念について。
命題
∀x(xはAさんである ⇒ xは神である)
は
∀x(xは神ではない ⇒ xはAさんではない )
と同値です。
ただし、後者を前者の「対偶」とは呼びません。これは用語だけの問題で、本質的なことではないのですが。
A ⇒ B という形の命題ならば、その対偶は ¬B ⇒ ¬A です。なので、xが定数(すなわち「何かある対象」)である場合には、A(x) ⇒ B(x)の対偶は¬B(x) ⇒ ¬A(x)。ですが、∀x(A(x) ⇒ B(x))には、対偶なんてものはありません。
[3] 集合の否定はできない。
> 空集合の否定で全集合となるので
間違いです。「空集合の否定」という概念はそもそもありませんし、定義もできません。
命題なら否定ということができます。すなわち、xが「対象」であるとき
∃x(x∈∅)
という命題なら、その否定
∀x(x∉∅)
は意味を持ちます。
ご質問に出て来る「集合の否定」なる(誤った)概念は、おそらく、「補集合」と「否定」とを混同なさっているのだろうと思います。
一般に、述語P(x)の内包 p={ x | P(x)}が集合であるとき、pと、ある集合yとから
q = { x | x∈y かつ ¬P(x)}
と作ると、これは集合であり、このqを「pの(yに対する)補集合」と言います。
[4] 「全集合」なる概念は成り立たない。
∀x(x∉∅)は真で、∃x(x∈∅)は偽なので、P(x) = ∃x(x∈∅) としたとき、
q = { x | x∈y かつ ∃x(x∈∅)}
は空集合です。しかし、yを指定せずに
q = { x |∃x(x∈∅)}
とやりますと、qは集合になりません。(内包が何でも集合だと考えることはできません。で、この場合はまさしくアウトです。「Russelのパラドックス」として有名です。)
[5] 現実の世界、物理的世界において「集合」は意味をなさない。
ここが最も重要な問題です。数学(この場合は「集合」の概念。なお、論理は数学ではない)と現実とを安易なアナロジーでつないで済んでしまう場合は、ま、それで良い訳ですが、その結果としてラジカルな結論が導かれたときには、数学と現実の関係の付け方について再検討すべきです。
さて、カラスを一羽捕まえてきて「これはカラスだ」というとき、そのカラスは、少なくとも分子のカタマリとしては1秒前のカラスとは別ものです。「物の同一性」は、数学における対象とは全然違う概念である。ここからして、対応付けが破綻しているんです。
丁寧にご回答いただき,ありがとうございます!
ご回答により,私の推理は根本的に間違い,ということがわかりました.
恐れ入りますが,回答を踏まえて,追加で2点質問がございますので,よろしければご回答お寄せいただくと幸いです.
【理解に至った点】
[1]空集合を表すための正しい論理式に書き下すべきである
[2]∀x(A(x) ⇒ B(x)) の量化子を含む全体の式には、対偶は存在せず,
対偶は,量化子の中の命題についてのみ有効である
[3]集合の否定はできない(ご指摘の通り,誤って補集合をイメージしておりました)
[5]そもそも現実世界で同一性は扱えない
◆疑問点1
[4]「全集合」なる概念は成り立たない。
Russelのパラドックスは,自分自身を要素に含まない集合の集合についてのパラドクス,
という以下の理解でいたのですが,
q = { x |¬(x∈x)}
提示いただいた以下もパラドックスの一種と言えるのですね.
q = { x |∃x(x∈∅)}
細かい質問なのですが,この点から『「全集合」の概念が成り立たない』と言えるのはなぜでしょうか?
◆疑問点2
No1のlupan344様と同内容なのですが,stomachman様のご指摘をいただいて,
「カラス」なるものがそもそも実在しない場合にも,
本対偶による証明が有効かの検証を改めて行いました.
もし,本検証に誤りがあればご指摘いただけると幸いです.
・前提:
命題:∀x(Px ⇒ Qx)
対偶:∀x(¬Qx ⇒ ¬Px)が真である,と与えられた
※Pxは「xはカラスである」述語,Qxは「xは黒い」述語
--仮に「カラス」なるものが存在する場合
⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真
本来のヘンペルのカラスは,この帰結について違和感がある,というものだと理解しています.
しかし,論理的に正しいのは明らかなので,私は次の点についてのみ疑問を持っていました
--一方,「カラス」なるものが存在しない場合
⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真,
この場合,命題の前件Pxは常に偽なので,命題は常に真.よって問題はないと捉えればよいのだという理解に至りました.
No.1
- 回答日時:
ヘンペルカラスについても、対偶で命題の真偽を判断する場合は、カラスの実在性は問題にならないです。
要は、対偶だけで考えれば、カラスが識別(カラス以外のものがわかる事)できれば、対偶の真偽は判断できます。
ですから、質問文の命題にしても、対偶だけで考えるならば、神の実在性は問う必要はありませんが、神が識別できるかどうかは保証されていません。
したがって、対偶の真偽も判断出来ないと言う事になります。
質問文の命題では、対偶だけで考えても、最終的にはAさんが神か、神以外かを識別しなければなりません。
ですから、命題も対偶も同じ事を確認する事になります。(Aさんが神であるかどうかを判断しないと、Aさんが神であるか、神でないかがわかりません)
神が識別出来ないのであれば、質問文の命題の対偶で、命題の真偽を問う事は出来ません。
ご回答いただきありがとうございました.
前提が不明確で申し訳なかったのですが,「神」の判別は可能である,とさせてください.
「実在性」の疑問点を示すには,「カラス」の例だけでも十分だったかもしれない,と反省しています.
つまり「カラス」なるものがそもそも実在しない場合にも,
本対偶による証明が有効かの理解が十分できていない,というのが意図でございました.
以下のように再度自己検証しなおしてみたのですが,考えの及んでいない点等ございましたら補足をいただけると幸いです.
--仮に「カラス」なるものが存在する場合,
⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真
本来のヘンペルのカラスは,この点について違和感がある,というものだと理解しています.
しかし,論理的に正しいのは明らかなので,私は次の点についてのみ疑問を持っていました
--一方,「カラス」なるものが存在しない場合,(かつ別の黒いものが存在する場合でも)
⇒命題,「すべてのカラスは黒い」は真,
という点が,私の持つ実在性についての疑問でした.
しかし,再度考えると,「カラス」なるものがそもそも存在しないならば,
∀x (Px -> Qx) ※Pxは「xはカラスである」述語,Qxは「xは黒い」述語
前件否定(Pxは常に偽)で常に真,よって問題はないと捉えればよいのだという理解に至りました.
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