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ドボルザークのStabat Materの第Ⅸ曲冒頭の歌詞、”In flammetus et accentus"が、"Flammis ne urar succensus"となっている資料があります。両者の相違の経緯についてご教示ください。

A 回答 (2件)

どちらもラテン語です。

ただし、最初の方の歌詞“In flammetus et accentus”は“Inflammatus et accentus”の間違いです。確認してください。
宗教曲の歌詞には異なるヴァージョンがあります。ドヴォルザークが作曲に使用したテキストは“Inflammatus et accentus”の方で、“Flammis ne urar succensus”ではありません。細かい文献的なことまではわかりませんが、“Inflammatus et accentus”は、13世紀ごろに作られたオリジナルのラテン語のテキストによるもので、もう一方の“Flammis ne urar succensus”は、16世紀以降にローマ・カトリック教会の聖歌集としてまとめられた“Graduale Romanum”のテキストです。この「グラドゥアーレ・ロマヌム」は、日本では「公教会祈祷文」として訳されているもので、通常宗教曲の歌詞として紹介されるのはこちらの方だと思います。しかし、Stabat Materはいろいろな作曲家によって書かれていますが、テキストは細かいところで違いがあります。ドヴォルザークは、ざっと見たところ「グラドゥアーレ・ロマヌム」のテキストを用いているようなのですが、“Inflammatus et accentus”の部分だけオリジナルのラテン語のテキストを使っています。たぶんその一か所の違いを見逃して、標準的な「グラドゥアーレ・ロマヌム」のテキストを誤ってそのまま掲載してしまっているものと思います。もしかすると、専門家による正確な資料ではないかもしれません。
ドヴォルザークがなぜそこだけオリジナルのラテン語テキストを使ったかについては特に記録は見当たりませんが、何人かの作曲家のStabat Materを比較してみると、“Inflammatus et accentus”を用いている作曲家がほとんどのようです。「グラドゥアーレ・ロマヌム」は、1577/78年にパレストリーナなどによって編纂され始めたようですが、そのパレストリーナ自身のStabat Materでも、この部分は現在の「グラドゥアーレ・ロマヌム」の“Flammis ne urar succensus”というテキストではなく、13世紀以来のオリジナルである“Inflammatus et accentus”を使っています。そのほか、ペルゴレージ、ロッシーニ、また新しいところではプーランクなども“Inflammatus et accentus”を採用しており、作曲に際してはこちらの方が標準的ともいえます。比較的新しい方の“Flammis ne urar succensus”というテキストは、今まで私が見て比較した作品の中ではヴェルディだけが使用しています。ちなみに、ハイドンのStabat Materも「グラドゥアーレ・ロマヌム」のテキストのように見えますが、この部分は上の二つのヴァージョンとはさらに違い、“Flammis orci ne succendar”となっています。現在オリジナルのラテン語テキストとして流布しているものにしろ、「グラドゥアーレ・ロマヌム」にしろ、多数の異本を比較編纂しているわけで、もともと何種類ものテキストがあるので、作曲家によって微妙にテキストに異同があるのは当然のことと思います。
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この回答へのお礼

詳細なご説明を頂きありがとうございます。心から感謝申し上げます。
しかし、ドヴォルザークの作曲は実に美しいですね。

お礼日時:2016/10/10 21:34

前者はフランス語、後者はラテン語では?

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