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「此奴には血が無い」と中也が嫌ったリルケ

ルー・アンドレアス・ザーロメというla femme
fatale を愛した、ロダンの付き人
岩波文庫のリルケ詩集は持っています
彼の恋愛詩の題名を教えて!
新潮文庫のは実家にあるかも
他、全文を引用してくださると嬉しいです

孤独すぎるリルケがどう青い炎を燃やしたのかな。

質問者からの補足コメント

  • うれしい

    二人ゐて何にさびしき湖umiの奥に
      かいつぶり鳴くと言ひ出づるはや
    (旧仮名遣いに改変)

    作者、高安国世先生の謦咳に接した者で
    ございます
    ご回答ありがとう存じます。

      補足日時:2017/03/04 04:17

A 回答 (1件)

特定の詩をお探しでしょうか? 


それとも、リルケの恋愛詩全般ということでしょうか?

日本語訳のリルケの恋愛詩を集めるのは結構面倒なのです。
リルケは、若いころにかなり多くの恋愛詩を書いていますが、
自己批判から、その頃の詩集の再刊を生前は許可しませんでした。
ドイツ語で「リルケの恋愛詩」と検索するとかなりの数の詩が出るのですが、
その多くが若いときの詩集に収められているものです。
たとえば、『夢を冠に(Traumgekrönt)』という詩集には、
全くそのまま『愛(Lieben)』という題名の連詩もあります。

私は、むかし彌生書房というところから出た『リルケ全集』を持っていて、
そのうち3巻が詩に当てられているのですが、
リルケ自身が認めていた最初の詩集、『初期詩集』以前のものはまったく収録されていません。
解説によると、それより前の詩には、リルケ独特の詩風はまだ表れていないということです。
そのため、リルケらしい詩を集めるとなると、その辺の詩はどうしても少なくなると思います。
文庫版はどれも持っていないのでわかりませんが、
日本語訳で『初期詩集』以前のものが読めるのは、
のちに河出書房から出た新しい方の『リルケ全集』で、
『第一詩集』をはじめ、大体のものが収録されているのではないかと思いますが、
どちらの全集も今は入手不可能ですので、図書館で探す以外にありません。

ドイツ語で検索するとかなりの数出ると書きましたが、
困ったことに、収められている詩集の名前を明記してあるサイトがほとんどなく、
出典を探し出すだけでもかなりの手間がかかります。
そして、やっと見つけると、初期の詩集からのもので、
手持ちの『リルケ全集』では照合できません。

さらに厄介なことに、リルケには、題名のない詩を連詩としてまとめた詩集が多く、
そういうものの中のひとつを引用紹介したものは、
目次などから探し出すことができません。

そういうわけで、ドイツのサイトなどでよく紹介されている初期の恋愛詩は確認できないので、
それ以外のものをいくつか抜粋で取り上げることにします。

ルー・アンドレアス・ザロメの名前が出ているので、その関連から始めます。
『時禱集』という詩集に収められている『巡礼の書』という作品があります。
これも連詩で、一つ一つには題名がありません。
その中の特に有名なのが、下の詩です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私の眼を消してごらんなさい。私はあなたを見ることができます。
私の耳を塞いでごらんなさい。私はあなたを聞くことができます。
そして足が無くても私はあなたへ行くことができ、
口が無くてもなおあなたに誓うことができる。
私の腕を折ってごらんなさい。私は手でするように
この心臓であなたを掴みます。
私の心臓をとめてごらんなさい。そうしたら私の脳髄が脈うつでしょう。
そしてその脳髄にあなたが火を投げ入れたら、
私は私の血であなたを選ぶでしょう。

(彌生書房『リルケ全集』第1巻 尾崎喜八訳)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『巡礼の書』と題されているので、この連詩自体のテーマから言うと神への愛ですが、
この詩はもともとルー・アンドレアス・ザロメに宛てて書かれた恋愛詩です。

『形象詩集』にも、ドイツのサイトで恋愛詩として紹介されているものがあります。
『しずけさ』という詩で、全部引用していると長くなるので書き出しの部分だけですが、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
きこえるか 愛する人よ 私は双手をあげる――
きこえるか このざわめくけはいが……
(生野幸吉訳)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この詩の前の二つも恋愛詩といえます。やはり題名と書き出しだけにします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『恋する女』
そうなのです わたしはあなたを慕っています ひとりでに
われを忘れて手の指から滑りでてしまうのです
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『花嫁』
呼んでください 愛する夫よ こえ高くわたしを呼んでください!
あなたの花嫁を いつまでも窓辺に立たせないでください
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『新詩集』の中で恋愛詩として紹介されているのは以下のような作品です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『恋歌』
私は私の心をどのように保てばいいのでしょう、
私の心があなたの心に触れないようにしえておくには? どうして
あなたの向こう側にある物らに私の心を届かせたらいいのでしょう。
(中略)
どのような楽器に私たちは張られた絃なのでしょう、
どんな奏者が私たちを弾いているのでしょう。
ああ美しい歌。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『最後の夜』(ノンナ夫人の所有から)
そして夜、遠い轍の響き。出動する軍隊の
長い列が庭園の横を通りすぎていた。
だが彼はクラヴサンから眼をあげ
まだ弾き続けながら、鏡をのぞき見るように

彼女の方を眺めやった。
彼の顔には若さが満ちみち、
彼女が彼の悲しみを負うていることを知っている。
それは一音ごとに美しさを増し、悩ましく心を誘う。
(後略)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『恋する少女』
あれは私の窓。私は今ちょうど
うっとりと眼がさめたところだ。
なんだか漂っているみたいだった。
どこまでがこの私の生身で、
どこからが夜なのだろう。
・・・・・・
(以上 『リルケ全集』第2巻 高安国世訳)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ほかに、『C・W伯爵の遺稿より』という詩集もあるのですが、
私の所有する全集には収められていませんので、
京都大学の論文を紹介しておきます。
有名な『ドゥイノの悲歌』も、全体が長いので、
こちらの論文の引用を参考にしてください。
上に紹介した、『私の眼を消してごらんなさい…』の詩の別の訳や、
『恋する少女』の全訳も出ています。
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bit …
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この回答へのお礼

Uraltes Wehr von Mehr
Mehr Wind von Nacht
太古の海の風
たいこの海の夜のかぜ

今も口ずさみます
辞書はありませんが......。

お礼日時:2017/03/11 22:49

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