プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

日本語では、かな漢字ともに筆順が重要で、筆順通り書いていないとヘンな字である印象を与えます。

ドイツ語で手書きする時にも、望ましい筆順というのがあるのでしょうか。

手書きする時に、ひと筆書きで単語の最後までいってから、もどって、横棒や点やウムラウトを追加しているのですが、ドイツ語には長い綴りが多く、ひと筆書きで最後まで行ってから戻ると、mとかnとかuの間にiがあって、iの位置が良く分からずnの上当たりにiの点を書きそうになり、その間違えを回避するために慎重になるので、筆速度が遅くなります。

一方、ウムラウトの音節が出てくるたびにウムラウトを書いて、次に進むようにすると、ウムラウトをうつ場所に悩むことはありませんが、ひとつの長い単語が複数回中断されて、美しく見えません。

ドイツ語手書き文字の筆順に関して、ドイツやオーストリアのギムナジウムではどう教えてているのでしょうか。あるいはドイツ語は日本語と違って筆順に関する遵守事項は不在なのでしょうか。

ドイツ語の手書き文字に詳しい方より、アドバイスいただけると有り難いです。

A 回答 (2件)

きれいに見えるかどうかと筆順というのは、必ずしも絶対に関係しているとはいえませんね。


これは、日本の書道でも同じだと思いますよ。
学校では漢字の書き順を教えますが、これは教育上統一しなければいけないので、
数種類ある基準の中から一つを選んで定めているわけです。
同じ漢字でも、楷書、行書、草書では書き順が違いますし。
連綿についてはもちろんパターンはありますが、それを知るだけでは書けません。
きれいに見えるかどうかは、ほかにもメリハリ、つまり墨の濃淡や線の太さ、
字の大きさの変化や余白の使い方、墨のにじみやかすれなど様々なことが影響します。

アルファベットは、一つ一つの文字は単純ですから、一応書き順は教えますが、
それほど変えようがありません。教え方のメソードについては、かなり論争があるようです。
学校では、たとえばこのように教えます。
http://www.schulschrift.ch/d/pdf/2kl_alphabet_ue …

一筆書きで単語の最後まで行く、というのは、日本の中学校の英語の授業で最初に習うやり方です。
確かに英語圏の人の筆跡を見ると、ドイツ語と比べて、ずっとつながっていることが多いようですが、
英語圏の人でも、必ずしも同じとは限りません。途中で切る人もいます。
ただドイツ語の場合、大文字の形や、つなげるときの順番、書き始めの位置が違っていて、
これも学校で教える基本がある程度ありますので、その後各自が自分の好きな書き方に移行した場合も、
英語の筆記体とは書き癖がだいぶ違います。
たとえば小文字のtですが、前の文字からつなげて、
左下から掬い上げる様にして上ってまた降りてくるのではなく、
縦の棒を上から書き始め、横棒を書いてからその続きで次の文字に移ります。
全部を一筆書きで書いてから、あとで横棒を書き足すのではないですね。
ただ、tが二つ続く場合は、縦棒を二本引いた後、横棒を一本で通してそこから次の文字に移ります。

学校の教材は下のようなものですが、全部の文字を続けて書いていないのがわかると思います。
最近の教育現場では、続けて書く「美しさ」よりも、
「読みやすさ」の方に重点が置き換わりつつあるようです。
ドイツ語圏では、いわゆるドイツ文字の筆記体というのが昔はあって、
近代になって英語の筆記体に近くなりましたが、
今後さらに変わっていく可能性はあります。
(フィンランドなどは、筆記体を教えるのをやめ、タイピングだけになったそうです。)
http://www.schulschrift.ch/d/pdf/2kl_18_32_verbi …
http://www.schulschrift.ch/d/pdf/2kl_40_41_verbi …
http://www.schulschrift.ch/d/pdf/2kl_33_38_wortb …
http://www.schulschrift.ch/d/pdf/2kl_woerter_tex …

実際には、筆記体の書き順やつなげ方は人さまざまです。
ウムラウトを二つの点で書かず、横棒一本で済ます人もいます。
逆に、mnuvwなどが続くと切れ目がわからなくなるので、
uの上に横棒を引く場合もあります。その場合は、
ウムラウトは別の書き方にしないと区別がつきません。
筆記体は早く書くことが目的ですが、全部を一筆書きで書くのが一番早いというわけではないです。
いろいろな人の筆跡を見てわかるのは、小文字のiのところで切って点を打つことが多いということです。
ウムラウトもしばしば、そこで切ってウムラウトを書いてから先へ行きます。
行ったり来たりするより、その方が効率的ですし、慣れれば書きやすいですよ。
もっとも、職種や各場所によっても違います。
レストランのウェイターが料理名と値段を手書きする場合とか、
郵便局員が配達通知をその場で書いて入れていくような場合など、
数字も全部続けて書きますし、ウムラウトを書くとは限りません。
慣れれば読めますけれど、普通の日本人が見ても何が書いてあるかわからないでしょう。

途中で切ってきれいに見えないというのは、やはり書く量がまだ少ないとか、
視覚の美的センスが足りないとか、単純にそういう問題もあると思います。
まねるのも大事ですから、いいと思う筆跡を模写してみるのもいいでしょう。
日本の書道でも、古典の臨書から入りますが、これは分野に限りません。
作家は過去の作家の文体を真似して修行し、画家は古典の名画を模写し、
作曲家や演奏家は、やはり過去の偉大な音楽家の作風や演奏スタイルをまねるところから始めます。

また、語の途中で中断しても、次の文字の書き始めの線を前の文字にくっつけて書けばつながります。
しかし、長くつなげて書くよりも、少しずつ切る方が書きやすいので、
iやウムラウトの箇所だけでなく、ほかの場所でもところどころ切り離して描くと、全体が統一的になります。
私がドイツ語を必死にやり始めたころは、まだパソコンがありませんでしたので手書きです。
最初からドイツ風の筆記体で書いていましたし、書いた量が半端ではなかったので、さすがに慣れました。
英語を書くときは、やはり昔、英語の筆記体とともに単語を覚えているので、
ドイツ語とは違う書き方をすることもあります。
有名作家の筆跡を少し見てみますか。

ギュンター・アイヒという作家のものですが、1行目は文の途中からなので、
どうしても解読できない箇所が一つだけありました。あとは全部わかります。
この人の場合、nとuを区別するために、uの上に横棒を引きます。
ウムラウトは、点二つでも横線でもなく、時計回りの三角形に近い円形になっています。
小文字のiは、つづりの短い単語の場合はあとから入れていますが、少しでも長くなると、
iの縦棒を書いたところで中断し、その上の点の位置から次の文字に続けて書いているので、
中断しているようには見えないわけです。
2行目のistなどは、最初のiを書くときに縦棒だけを書き、その上からsを書き始めています。
その直後のdieseも、次の行のnicht、その次の行のeigeneもそうです。
ウムラウトは、5行目のgenügendの箇所では、
genüの箇所でuの末尾から左斜め上に向かって行ってウムラウトを表す渦巻きを書き、
gegendはあらためて書き始めているので、隙間は空いていますね。
次の行のwürdeは、全部を書いたあとでウムラウトを入れていますが、
最後の2行のWünschenとGünterは、先にウムラウトを書いてから、次の文字を離して書き始めています。

Celans begeben (?) haben,
wie es deutlich ist, diese Lehr-
zeit noch nicht beendet.
Die eigene Substanz ist noch
nicht genügend erkennbar.
Ich würde Ihnen deshalb
Raten, mit veröffentlichungen
Noch zu warten.
Mit guten Wünschen
Günter Eich
http://www.antiquariat-fetzer.de/s/cc_images/tea …

回答No.2に続きます。
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この回答へのお礼

Tastenkastenさん、いつも期待以上の内容で、ご回答いただきありがとうございます。

私は、英語教育の通弊を克服できずに、ドイツ語の長い単語でも英語のPenmanshipにしたがって、一単語を一気に書く努力をしないといけないと、勘違いしておりました。

少年時代の英語教育の影響は恐るべし、と言うべきか、一度学んだことをUnlearningできずに、他の言語に無条件適用していた我が身を恥じるべきというべきか。 

私は、美しさとか、芸術的な個性を求めているのでは無く、ただ、ドイツ語の文章をノートに書き写す時に、ブロック体で書き写すよりも筆記体の方が時間効率が良いと思い、その方向に最適化するには、つまり最高の速度でテキストを転記する方法は何かを考え、自分なりに施行錯誤をしておりました。

当面、テキストとノートの間を行き来する視線の移動が速度低下の原因になっている事に気付き、できるだけ長い文章、せめて次のコンマまでの文章成分を塊で一時記憶に入力し、入力した文章(文章成分)はテキストに目をやることなく、一気に書きあげるのが速度維持に効果的であることを発見して、その様に努力しています。

この方法は、たんに転記速度を維持・向上するだけでなく、形容詞の語尾変化を文法的に判定し、一時記憶を補完しながら書き出すので、内容の理解(特に名詞の格の理解)を深める副次効果があって、なかなか良い方法と満足しております。

また、上記の様に視線移動を最小化したうえで、次の段階は、ペン先の移動距離、紙に接している距離と空中を動く距離の合計距離の最小化が、転記速度の維持向上に効果的であると判断し、この方向にもっとも有効な筆記体はどんなものか、模索しておりました。

検討の結果、当然、「一筆書きで最後まで書いてから戻る」方法は、ペン先の空走距離を長くし、ペン先移動総延長を長くするので不効率であるという問題に直面していたところです。

この点では、単語の一筆書きに拘らない方が、ペン先移動距離の無駄を排除できるので、転記速度の向上に貢献できるのですが、今度は読むときに美しくない(nicht sauber程度の意味です)のが気になっていました。

(続く)

お礼日時:2018/03/11 14:26

(続き)



次は、シュテファン・アンドレスという作家ですが、iやウムラウト以外の箇所でも、
単語の途中で適宜切っています。iやウムラウトは、やはり中断して先に書いています。
この人の場合、kがほぼ完全にhに見えます。

Ihr
Stefan Andres
Bitte schicken Sie das Exemplar des
„Gefrorenen D.“ an Herrn
Dr. Böschlin Winterthur Landbote
Danke bestens!
http://3.bp.blogspot.com/_1cEVe93gG78/TUbMy9V_B8 …

カフカの筆跡も有名で、ファクシミリが出版されているくらいです。
tの横棒が太く力強いのが特徴です。iやウムラウトは、やはりそこで中断して先に書いているのがほとんどです。
これは有名な『審判』で、ネットでも読めるので冒頭だけ書きますが、
Jemand müßte Joseph K. verläumdet haben, denn ohne daß er etwas Böses getan hätte
https://lustauflesen.de/wp-content/uploads/2015/ …

ゲーテやシラーの時代の筆跡はさすがに読むのは難しいので、活字と一緒に紹介します。
これは、シラーのHero und Leanderというバラードの冒頭です。
http://www.deutschlandfunk.de/media/thumbs/0/0e7 …
活字版
http://gutenberg.spiegel.de/buch/gedichte-9097/61

ここから先は、字を書くプロを紹介しますが、書き方のテクニックは様々です。
Bという字一つをとっても、書き順のヴァリエーションがたくさんあり、
縦の棒を先に書く場合もあればあとから書く場合もあり、方向も下から上と逆に書くこともあります。


下の動画でも、つなげて書かずに頻繁に中断しているのがわかります。
開始から2分の箇所に出てくる女性は、ゲーテやカフカの筆跡をコピーできる人です。
後半に出てくるのはフランス人なので、ドイツ語ではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=_BSi43v6Jbs

最後は、Sütterlinという昔のドイツ文字ですが、やはりiを書くところで中断しています。
ただし、次の文字を書き始めるとき、前の文字に触れたところから書き始めます。
これはもう筆記体というより、カリグラフィーという書道と同じようなものです。
https://www.youtube.com/watch?v=ejHRKGoZkC8

ところで、私はドイツ語フェチでも言語学フェチでもありませんよ。
仕事と勉強のために必要だったので、仕事では複数の言語と付き合わなければいけません。
ドイツ語で文章を書かなければいけない時、和独辞典で見つけた単語をそのまま使うと必ず間違えますので、
語の正確な意味を把握するには、しばしば語源まで確認しなければいけないのです。
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この回答へのお礼

(続き)

ご教示頂いた情報から、基本的に音節単位で点や横棒やウムラウトまで完成してから次の音節に着手する方法もアリだと思うようになりました。

しかし、ウムラウトはともかく、頻出するiをどの段階で完成させるかは、依然としていろいろと疑問が残ります。

iを完成してから次に行くというルールを厳守するとなると、
mitbringenでは、mi+tbri+ngenなどと変則的な分断が生じて、継ぎ目を円滑化する労力も半端ではありません。
mit+bringenという単位で完成させるのが良いか、
mit+brin+genなどと音節単位に部分を完成させるのが良いか、今後も検討したいと思います。

ひと筆書きの単位とは別に、頂いた情報を見ていて気付いた点は、文字の罫線上の位置、と縦方向の傾斜角度の整列です。
私が手書きするとき、ノートの罫線の上に書こうとしながら、罫線から0.5ミリほど浮いたり、また罫線に沈みこんだりすることが多く、この上下の位置修正をすると、ひとつの単語の中の文字の位置が上下にずれて、sauberではなくなります。
また、縦方向の傾きの一貫性も重要であるのに、一語一語に集中していては達成不可能で、文章全体を俯瞰しながら縦方向の線成分を書かないといけませんね。

これらの注意事項を全部守りながら書くとなると、転記速度向上という初期目標と相いれない部分も出てくるのですが、これはやはり書く量をこなす中で習熟してゆくしかないのかもしれませんね。

私の大目標はドイツ語の書物をギムナジウムの学生と似たような速度で読めるようになり、かつ内容も彼らと同等以上に良く理解できる能力をつけることですが、その学習過程で、ドイツ語の手書き文字が美しく(sauber)書けるようなれば言う事無しです。

どうもありがとうございました。

お礼日時:2018/03/11 14:37

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