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The Aspern Papers の見所を教えてください。

A 回答 (1件)

"The aspern papers" (邦題『アスパンの恋文』)は、ヘンリー・ジェイムズの作品の中ではめずらしい、「何が起こったか」がはっきりとわかる作品です。


「見所」というご質問で何がお聞きになりたいのかよくわかりませんが、まずは一人称の語り手に導かれるままに、さまざまな出来事を経験していくのが良いかと思います。

そのうえで、この作品で従来から問題になってきたのは、「わたし」をどう評価するか、という点です。

・偉大なるアメリカの詩人アスパンに心酔している熱心な研究者で、彼の謦咳にふれたい一心で、彼が若き日に書いたラヴ・レターを読みたいのか。
・アスパンのプライヴァシーを暴こうとする詮索好きなジャーナリストなのか。

ここから当然、語り手の信頼性の問題も絡んできます。
後者であるならば、彼が自分の都合の良いように話をねじまげている可能性も十分にあります。

さらに、それを踏まえて" Miss Tita " ミス・ティータをどう見るか、という問題も派生していきます。

・ミス・ティータは純真でけなげなヒロインなのか。
 →「わたし」はその好意につけこんだのか。
 →結果として好意につけこむような羽目になり、とまどっているのか。
・ちょっと好意を見せられて舞いあがってしまった世間知らずの滑稽なオールドミスなのか。
 →手紙を餌に、結婚を迫ったのか。
 →実は「わたし」が自己弁護のために、わざと彼女のそういう面を強調しているのではないか。

こうしたことが最後の彼女の行動をどう評価するかに関わってきます。

ヘンリー・ジェイムズはきわめて慎重な作家ですから、言明はしません。
けれども、「わたし」についても、ミス・ティータについても、さまざまな解釈が可能なヒントがあちこちに散りばめられているので、それを丁寧に拾っていけば、自分なりの「わたし」像、ミス・ティータ像を作り上げていくことができるのではないかと思います。

さらに細かい点で不明な箇所がおありでしたら、わかる範囲で答えます。
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