中世フランスの爵位制度などについて質問です。
1.たとえば公爵に任じられている人が、自分の家来に爵位(侯爵など自分より低い位)を授けることはできたんでしょうか?
2.伯爵の爵位を授かっているひとが侯爵・公爵になる手段はどんなものがあったのでしょうか?
私が思いつく手段としては「男性跡継ぎの居ない公爵家に婿入りする」「大きな手柄を立てる」位なんですが、他にはあるのでしょうか?
3.貴族は、自分で新しく税の制度を作って徴税することができたのでしょうか?
あるとして、それをピンハネすることってできたんでしょうか?
4.爵位が降格することはあったのでしょうか?
5.日本や中国のように関所などの制度はあったんでしょうか?
というかそもそも、まともな地図のないこの時代、領地ってどんな要領で分けてたんでしょう?
「こっちの山からあっちの川までがお前の領地ね」みたいに地理的な要素で区切ってたって感じでしょうか?
6.「蛮族の侵入」「●●族が勢力を伸ばす」というフレーズを歴史書でよく見かけますが、これは武力などの手段で国土を奪われたということを想像すればいいんでしょうか?
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
>1.たとえば公爵に任じられている人が、自分の家来に爵位(侯爵など自分より低い位)を授けることはできたんでしょうか?
ありました。
ブルゴーニュ公フィリップは、部下のジャンを、リュクサンブール侯にしています。
リュクサンブール侯は、現在のルクセンブルクの事で、ブルゴーニュ公が、抵当権を買い取り、その後自分の領土とした土地です。
No.2
- 回答日時:
(1) 爵位は階級ではなく、個人資産であるので、譲渡はできますが、
ランクではないので格上げとか勝手にはできません。
複数の爵位を持つ貴族が親族に分与するケースはありますし、
結婚がらみで金銭による売買もあります。
侯爵以上の爵位の貴族は、平民を準爵士に取り立てることは
できました。これは通常一代限りの最下位の貴族ですが、
従者を騎士にとりたてていた習慣の名残です。
(2) 婚姻以外では、何らかの権限をもつ貴族ならばクレームをつけて戦争を起こし
実際に特定領土を占領して、講和交渉などにおいて爵位譲渡と強訴することができます。
一番有名なのが百年戦争の構図です。
しかし一般的には婚姻政策以外にはあまり有効な手はありません。
あまり不法なことをしていると破門されますし。
(3) 貴族の所領は、個人所有の土地であって、国土を管理しているわけではないので、
自分の土地の小作民に対しては小作料を決めることができました。
しかしこれはいわゆる税金とは違います。国庫に収めるものではなく、
個人との契約にもとづくものです。封建社会において
貴族は特権をもつ存在ではあっても(特別の地位についてない限り)
行政とは無関係です。だから議会とかは関係ありません。
国王は国によっては議会の制約をうけましたが、それも国税に関してであり、
私有地に関しては別の問題となります。
あと貴族が国税をピンハネをすることはできません。
国税は徴税官が徴収しており、貴族は徴収しないからです。
(多くの国で)免税特権のあった貴族は(軍事的貢献をするという以外では)
国家制度の枠外にあるのです。
(4) 最初に言ったようにランクではないので、降格とかそういう変化はありませんが、
爵位を失ったりすることはあります。
簡単な例が貴賎結婚という、貴族外と結婚する行為です。
こういう場合、爵位は別の親族の手に渡ることになります。
(5) 関所はありました。境界は、川や山、村などですが、
中世においては広く共有地や所有者のはっきりしない土地が広がっていたので
ほとんどの場合、境界はあいまいで漠然としてます。
しかし貴族の領地とは、私有地であるため、近代になって段々所有権が
明確になっていきます。
(6) ほとんどの場合はそうですが、スラブ人の南下などは、略奪後に平和裏に定着したケースもあって、
必ずしも戦争によらずとも民族の移動はおこりました。
個別のケースは言及できないので、そういう抽象的な表現になると考えたほうがいいでしょう。
戦争によるもの、引越しに過ぎないものがごちゃごちゃ起こったわけです。
爵位を階級制と勘違いしてしまっていたようですね(^^;;
大変丁寧に教えていただきありがとうございました!とても参考になりました!
No.1
- 回答日時:
>自分の家来に爵位(侯爵など自分より低い位)を授けることはできたんでしょうか?
爵位に順位はありません。
伯爵が公爵よりも地位が低いわけではありません。
格としては、公爵は伯爵よりも上ですが、命令する権限はありません。
貴族の爵位は、江戸時代の大名(親藩、譜代、外様などと)の関係と同様と考えてください。
貴族間で、主従関係にある場合は、上位者は、下位者に一定の命令はできました。
(アンジュー伯ヘンリは、妻が相続したノルマンディ公でもあり、イギリス王でもあり、ブリターニュ公の上位者でした)
>伯爵の爵位を授かっているひとが侯爵・公爵になる手段はどんなものがあったのでしょうか?
色々な方法があります。
相続する方法、買収する方法、新たに公爵領をもらう方法、戦いで奪い取る方法、領土を交換する方法などがあります。
ヨーロッパの爵位は、領土についていますから、公爵領を伯爵が手に入れれば、公爵を名乗る事ができます。(その場合以前の伯爵領も保持していれば、伯爵の称号も保持します)
スペインのオリバーレス伯爵は、長年の功績によりサンルーカル・マヨール公の称号を得ますが、オリバーレス伯爵で大貴族の特権を得ていたため、オリバーレス伯爵とか、オリバーレス公伯爵と呼ばれました)
>貴族は、自分で新しく税の制度を作って徴税することができたのでしょうか?
あるとして、それをピンハネすることってできたんでしょうか?
税は、議会で決める事であり、国王といえども議会の承認なしでは徴税できません。
>爵位が降格することはあったのでしょうか?
領土を売却したり、取り上げられれば爵位を失う事はありました。
爵位に上下関係は有りませんから、降格という事はありえません。
フランス王フィリップ2世は、フランス国王としてジョン(イギリス王)のフランスにおけるノルマンディ公とアンジュ-伯を取り上げたため戦争になり、ジョンが負けたためジョンはフランスにおける領土を失いました。
>まともな地図のないこの時代、領地ってどんな要領で分けてたんでしょう?
村ごとに分けました。
○○村は、××伯の領土といった具合です。
ヨーロッパの村々は、日本などのように密集していませんからそういった分け方で問題はありませんでした。
また関所のようなものは、常設としては無いのですが、村々や都市ごとに城門や柵などがあり、関所のような役目をしていました。
>「蛮族の侵入」「●●族が勢力を伸ばす」というフレーズを歴史書でよく見かけますが、これは武力などの手段で国土を奪われたということを想像すればいいんでしょうか?
そういった場合もありますが、「●●族が侵入してきた」程度に考えてよいと思います。
ローマ帝国に侵入した西ゴート族の場合、定住したスペインでは、人口の2%程度だったそうです。
追われるのは、支配者だけで、一般庶民には関係無い場合がほとんどです。(但し戦乱に巻き込まれたり、略奪には遭いましたが)
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