No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
素人音楽愛好家です。(毎度肩書きが変わってすいません^^;)
まず,私も人から教えていただいた本ですが,古楽・バロックからの歴史的な流れの中でロマン派以降の音楽をとらえるのに好適ではないかという本を紹介して回答にかえさせていただきます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4121018168
(鑑賞またはアマチュア演奏レベルでの助けにはなっても,専門に勉強する材料としては物足りない部分が多かろうと思いますが)
---(以下,自分勝手な見解ですが)---
質問者さまがお持ちの印象については,マーラー(あるいは他のロマン派の作曲家)は,自然や人間のありとあらゆるものを音楽に書きとめる方法を手にしたいという果てしない拡大欲求を持っていた,ということに由来するものなのかもしれません。(めちゃくちゃ端折って書いていますが)
バロックや古典にあった様式美を放棄して自分の書きたいことを気ままに書いてるだけ(自分勝手?),あるいは,バロックや古典では演奏者や聴き手に委ねられていた自由な想像が,何から何まで音符にされ事細かに楽譜上に指示されることで奪われてしまった(鬱陶しい?),という印象は,ある意味妥当なものだと思います。
その自分勝手さや鬱陶しさこそが彼(ら)の目指していたものであり,機能和声・古典的形式・あるいは自我という枠をどこまでも拡大し,ついには乗り越えたところにある(かもしれない)真の自由(うまい表現見つかりません,ごめんなさい)を求めていたのではないかという印象を個人的には持っています。
19世紀以降,どうして音楽がそういう方向に向かっていったかについては,当時の政治・社会・経済の情勢や他の芸術(美術や文学)の変化を調べるのがヒントになろうかと思います。(最初に挙げた本の中でもざっと俯瞰されていたように思います)
そして,そのように発展(?)したロマン派音楽をどう感じどう表現するかについては,これは質問者さま自身が消化するしかないことだと思います。
いくつかのCDを聴いてみても,距離を置いた客観的なアプローチからマーラーの世界を浮かび上がらせようとする人(例えばブーレーズ),徹底的に作曲家の世界に没入する人(例えばワルターやバーンスタイン),独自の解釈で自分の世界を構築していく人(例えば最近ならばジンマンやノリントン),などなど,さまざまな方法があることが分かりますが,どれかが正解であとは間違いということはありません。(それは古典でも同じだろうと思いますが)
最後に,揚げ足とりみたいで申し訳ありませんが,
> 「ハイハイ、もう分かったよ。」
とは何をどう学び・感じ・考えた上で何が分かったのか,もう一度ご自身に問うてみてはいかがでしょうか。
その上で自信を持って,「オレにはマーラーなぞ分からんということが分かったから,18世紀までの音楽に身をささげる」・・・が質問者さまの音楽家としての結論ならば,それでもよいのではないでしょうか。
自分の好き嫌いを公言してはばからず(あるいは意図的にレパートリーを限定して),立派な演奏をする一流音楽家は世の中にはたくさんいらっしゃると思います。
一方で,ちょっと言葉は悪いですが,どなたかが
「作曲家は独裁者でよいが演奏家は娼婦にならなければならない」
というようなことをおっしゃっていたような記憶があります。
(確か「レコード芸術」という雑誌でのどなたかのインタヴュー記事)
質問者さまが音楽家としてどういう道を行くか,これもまた質問者さまがご自身で決めねばならぬことでしょう。
ノリントン盤のマーラーを聴いてみようと思いました。ノンヴィブラート演奏でオリジナル演奏研究家でもある私にとっては興味深いからです。
>>作曲家は独裁者でよいが演奏家は娼婦にならなければならない
ロマン主義の考えが色濃くあらわれている一節ですね。
とりあえず素でマーラーの世界に接してみたいと思います。
No.4
- 回答日時:
私も相当に素人で、ロマン派音楽全てに対してどうだこうだと述べることはできません。
そもそも、私はロマン派自体あまり好きなほうではありません。複雑なことは、既に#1~#3で書き尽くされてしまっているようですし、私には書けませんので、私はその辺については省かせてもらいます。それで、聴き方についてですが、マーラーの音楽は、特に複雑なことは考えない方が良いです。私も作曲をやっているのでなんとなくはわかりますが、残された楽譜を見て、後世の人間(特に音楽評論家)は楽譜をあら捜しして、ここはこうだあそこはああだ、と複雑なことを言います。しかし、実のところ、作曲家は大抵、自分が思いついたままに書いているだけなのです。マーラー自身で言っても、交響曲第七番の冒頭の旋律を思いついたのは池でボートに乗っていたときだとか。
ですので、私としては、特に聴き方なんてものはないと考えています。ほかの時代の音楽と区分けするとすれば、バロックなどの時代が音そのものを楽しんでいたのに対し、ロマン派の時代では、その内面を重視していたという点だと思いますので、強いて聴き方があるとすれば、その内面を捉えることでしょうか。
No.3
- 回答日時:
ほぼ完璧な素人です。
音楽はたまに聴くだけ。マーラーファンでさえありません。ですから青臭くもかったるい謬見に終始し、それこそもういいよとうんざりされるかもしれません。けれどもそうした者の話も聞いてみようというご質問と受け取り、管見述べてみます。
マーラーの音楽はしばしばとてもナイーヴだと思います。
世間での雑用や見すぎ世すぎにもまれて心がそれとなく皺くちゃになっているとき、あるいはもっと漠然と、埃っぽい街衢の喧騒をかたわらにぼんやりと立ち尽くしている自分を見い出すとき、いつのまにか無数につくってしまっていたらしい胸の引っかき傷や擦り傷、そうした傷に滲みこんでくるような音楽です。これはレトリックではなく、実感としてそうです。
彼は疲れている。疲れきっている。はやく眠りたい。できるだけ長く、ほとんど永遠に近いほど長く眠りたい。
と願う心の一方で、やみがたい憧憬が突き上げてくる。
眠りと憧れが組合わさると、それは彼岸への願望ということになりますが、直截にその方へ向かうということには必ずしもならなくて、現世への執着もなかなかに根強いのです。
今ある世界にあって、心は傷つきやすく、結局は自分個人は無力の別名にすぎないとしても今すぐ降板するわけにもゆかず、ここではないどこかへの逃避行に疼きつつ諦念に沈む。そんな錯綜、矛盾した心情を映し出した音楽ではないでしょうか。
そしてそういうところに現代に生きるわれわれが共鳴共感してしまういわれがあるらしい。
蛇足ながら、音楽ですから、そこを美しく、技術の粋を尽くし魅力的に表現されている。
*
ロマン主義とは何かということは質問者さんにはきっと釈迦に説法ですけれど、話の都合上簡単に書きますと(というか、実は詳しく語れないだけ)ヨーロッパにおける文学をはじめとする諸芸術から思想上にわたるきわめて大規模かつ重要な思潮運動であって、「合理主義的普遍的理性」なるものに敢然と反旗を翻し、個人の精神の解放、想像力と感性の優越を主張する自我に主体を置いたスタンス、と要約してみます。
『神による拘束がなくなり、自意識の健全な働きを保証する精神の均衡は自分という未知で親しいものの果てしないと思われる領域が自意識を介して提供するものの魅力に勝てなくてこの領分にこそ新しい世界があると信じるに至るのは十九世紀までのヨオロッパの事情からすれば一つの自然の勢いであって、それが浪漫主義である』
以上は吉田健一「ヨオロッパの世紀末」より引用。
音楽においては、文学や絵画における場合と異なって、ロマン派というものがそれに先行・並立・後続する思潮運動とはげしく対立・断絶するということはなく、それ以前の富を穏やかに継承し、また受け継がれていったと見ることができると思います。これは音楽というものが、外界の具体的なものを本来何もあらわすことがなく、言葉を超えた感情世界を抽象的に表出する、もともとロマン的な時間芸術であることから来ていると思われます。
つまりロマン主義を特に主張しなくても、元来がロマン的なのです。
ただ、ロマン派はウィーン古典派がそうであったような、徹底した形式原理からは遠ざかった。
これはたとえばベートーヴェンの第5交響曲という典型を想起すれば容易に了解されるところだと思います。
あの誰でも知っている冒頭の動機が第一楽章全体に絶え間なくこだまするだけでなく、全楽章にわたって手を変え品を変え装いも新たに登場し、一曲全体をきわめて統一感あるものにしています。それは言い換えれば、いきなり冒頭で問題を提起し、主張と説得とつみかさね、音によるドラマを作り出し、音楽的な解決に至る動的な有機的統一体となっています。反面、それだけに理屈っぽい音楽と云えなくもない。
ロマン派の音楽は、そのドラマのところ(ソナタ形式でいえば展開部にあたるようなところ)が主眼になり肥大した、と見なすのは誤りでしょうか。
聴衆は思い入れたっぷりにその曲に耳傾け、またそうあるように曲が強いてきます。シューマンなんか特にそうでしょう(交響曲第4番、チェロ協奏曲など殊に)。思い入れないとあまり楽しくならない音楽ではないでしょうか。
ブルックナーにしても、あの緩慢にいつ果てるとも知れなく続くモノローグともいうべきものにみずから好んで飛び込んでみなければ、その面白さ(というと語弊があるかな?)が分りにくいかもしれません。(いかにも分っているような口ぶりですが、言葉のあやと看過してくだされば幸いです)
古典主義に復帰しようとしたブラームスにも、あの髭だらけのおじさんがと驚くばかりの抒情や情熱のほとばしりがうかがえます。
民間のはやり歌や民族音楽を積極的に取り込んだ他の多くの音楽家たちも同様にあれこれ云えると思います。
バッハやヘンデルの活躍した時代、あるいはもっと以前の音楽家たちは、私は思うのですが、自らが作り演奏する音楽が芸術であるかどうかと問う前に、はるかに多く、自分が第一級の職人であるということに生きがいを持ち、みずから精進し誇りとしていたのではないでしょうか。
依頼されるばかりではつまらない、自発的に作りたい曲も作る、誰はばかることなく気兼ねすることなく思いっきり。となったのが、ロマン派の音楽だと思うのです。
だから演奏の方も、そうとう恣意的な解釈がまかり通っていたこともあるようです。モーツァルトがモーツァルトじゃなくなるんですから、このほうは今では考えられないことですけれども。
「自分の全ての感情と情熱を音にしてさらけ出す」ことがロマン主義の根本的な考え方な気がします。音楽家として、いや人間として本来持っている性質が素直に現れた時代やったんですね...。
私はバッハはバロック的でありながらも実はロマン的な要素があったような気がしてなりません、でなければ平均律クラヴィーア曲集という実験的挑戦的曲集を書くことはなかったはずです。
No.1
- 回答日時:
曲ができる背景は何も知らずに音だけを聴いています。
マーラーの交響曲の魅力とか,聴き方のコツを語れるほどは知りませんが,
好んで聴く方です。好んで聴くきっかけになったのは,単純な理由ですが,
聴いてみて気に入ったからです。ただ,「きれい」と感じただけの理由です。
「きれい」と感じた出会いは第4番でした。ひとつ気に入ってしまうと他の曲も
聴きたくなりますので,次々と,結局,交響曲は全部聴いてしまいました。
でも,1曲が長いので,実際のところ,今日は第3番の終楽章だけとか,
今日は第9番の後半だけとか,そんな聴き方をすることが多いです。
熱心なマーラーファンなら,そんな聴き方はしないだろうと思いますが…。
第3番の終楽章や第9番は美しくて特に好きです。
それぞれの曲や,楽章によっても性格は異なり,
また,人それぞれに感じ方はあると思いますが,
私は美しい部分のところが特に好きです。
どんな美しさ?と聞かれてもマーラー的としか,
私には他の言葉が見つかりません。
マーラー的という言葉を使ってもいいと思うのですが,
マーラー独自の旋律やオーケストレーションがあります。
ずっと以前に観たマーラーの映画の影響ですが,
人を避けるようにして森の中の湖の畔の小屋に閉じこもり,
世間に背を向け,自然とだけ,或いは自己とだけ
向き合っているような雰囲気が,
曲を聴いて感じる雰囲気と結び付くことがあります。
回答ありがとうございます。
まずシンフォニーの第4番や9番を聴いてみます。
それでは早速マーラーの世界に浸ってみますね。
>>人を避けるようにして森の中
まさにロマン派的発想ですね!印象派にも似たような傾向が見受けられます。
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