わたしは文学研究などしたことがなく,文学作品を読んでもただ面白かった,つまらなかったぐらいの個人的な読み方で終わります。
大学生だったときも文学研究の授業は取りませんでした。
その一方で,文学作品(特に現代)を研究対象として何らかの分析を行う場合(例えば大学での授業などで)があるかと思いますが,
その際,なんらかの理論的枠組み(ニュークリ以降様々な理論←聞きかじりですのでどのようなものか分かりませんが)を前提にして行われているのでしょうか?
つまり,(わたしのような)単なる感想・印象的な語り方と,研究論文とを分かつ境界線は,
単に実証的あるいは論理的な語り方の違い,あるいは新しい解釈にあるのか,
それとも理論的枠組みが前提となったうえでの語り方の違いにあるのか。
そのあたりのことをご教示くださる方,
またはこんな本を読んでごらんなどのアドバイスでもいいのでよろしくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
NO.3です。
もしや、dddluidddさんの質問の意味が、「文学作品の良し悪しを決める物差しがあるのではないのか?」という意味もあるのではないか、というふうに思ったので、再度、書きます。
私も、大学に入るまでは、「私が、この小説をいいと思ったら、他の誰がなんと言おうと、この小説はいいんだ」というふうに、思っていますた。
文学とは、情緒でいいんだと。
「文学史」というものがあります。
文学史の本は、どこの書店でも売っています。
どれも、似たようなものです。
たとえば、白水社は、イギリス文学史や、フランス文学史、ドイツ文学史、といった本を出しています。(たぶん、日本文学史もあります)。
文学史を勉強すればわかることは、文学には流れがあり(歴史と不可分です)、ときどき、画期的な作家や、画期的な作品が現れるということです。(これが、有名作家であり、有名作品です)
これは、個人が、その作家や作品が、好きとか嫌いとかとは、関係ありません。
また、いい作品、たいして良くない作品、というのもあります。
より古い作品、より新しい作品というのもあります。
これも、個人の好き嫌いとは関係ありません。
誰が、それを決めるのかと言えば、読めばわかることです。
まともに文学を勉強している人の間で、作家や作品の良し悪しが、問題になることはありません。
もし、文学を勉強してみたいと、お思いになったのなら、どこかの大学の聴講生になるとか、放送大学で勉強するとか、自分で本を読んでもいいと思います。
簡単なのは、白水社の文庫本で、まず、歴史を通読してから、文学史を読み、文学史の中にでてくる作品を読んでいくことです。
たくさん読まなければ、相関関係がわかりません。
ひとつの作品は、必ず、前の時代の作品の影響を受けています。
文学の切り口は、いろいろあり、論文にも、良し悪しがあります。
知りたければ、どこかの大学の文学研究の雑誌を借りて読むことです。
テーマも、大きなものから、小さなものまで、いろいろあります。
No.4
- 回答日時:
私も、そういうモノがあるんじゃないかと思って、文学部に入りました。
体系、はありません。
ただ、歴史抜きに、文学は語れないので、歴史は、勉強します。
古語(外国文学なら、そこの国の昔の言葉)も勉強します。
また、その国の文学に影響を与えた、外国の文学も勉強しないといけません。(その国の言葉や歴史も)
また、作品の時代背景も、知らないといけません。
ジャーナリズムや、政治、当時の習慣、価値観等、知れば知るほど、奥が深くなります。
文学では、自分の価値観、文章が、大切です。
文章で書かれたものは、全て、研究対象なので、勉強しようと思えば、いくらでも勉強できます。
自分の得意分野を広げることもできます。
No.3
- 回答日時:
理系文学待望論 ~ さらば、余りに文系的な文学談義 ~
わたしは中年をすぎて自伝に着稿して、読みそびれていた尾崎 一雄
《虫のいろいろ 194801・・ 新潮》を読みかえし、ラフカディオ・ハーン
もまた同じような感想を述べていることに興味を抱きました。
── これは、真の「昆虫世界のロマンス」への、ほんの序説に等しい。
── Hearn, Lafcadio《虫の研究・蟻》
── 小泉 八雲/平井 呈一・訳《怪談 19650916 岩波文庫》P180
つられて、ファーブル《昆虫記》を読んでみると、これこそまさしく
文学作品なのです。昆虫のように人間を観察すれば、ほんとうに意味の
ある(科学的根拠のある)理系文学が出現するのではないでしょうか。
── 人間を低くし、動物を高めて、接触点を作り、次いで同視する点
を設ける。これが現在流行している高遠な学説の一般的方向であった。
また今日でもそうだ。ああ、この至高の学説──これは今の時代の病的
流行である──の証明の中には、大学者エラズマス・ダーウィンのあな
ばちのようにお笑い草に終るものがどれくらい、堂々と主張されている
ことか、実験の光に照らしてみたらわかることだろう。
── 山田 吉彦・林 達夫 訳《ファーブル昆虫記(一)19930616 岩波文庫》P149
かつての“女子大生亡国論”のように、われわれは文学を落としめ、
いやしく虚しい興味に奉仕させてきたのかもしれません。
さらにこのことを確信したのは、つぎのテレビ番組でした。
◇
鼎談 ~ シンポジウムの三賢人 ~
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3922420.html
以下は、上記の質問の回答として書きつけた未完草稿です。
「ある時ふと、おばぁちゃんのことを思いだす。この現象はなにか?」
ヒトに関する数々の不思議のなかで、最後の謎は“記憶”ではないか、
という利根川教授の提言である。
これに対して、大江氏は「科学を賞賛しつつ疑いもする思想」を紹介、
「これからは、ダライ・ラマのような神秘的な思想家に期待すべきでは
ないでしょうか」さすがに、司会の立花氏も苦笑しながら、とりなした。
「ダライ・ラマは、選挙じゃなく、3歳のころに儀式で選ばれたんです。
お菓子とお金と数珠を並べておいて、数珠を選んだから、という理由で」
すると大江氏は「あぁ、そうですか」と答えただけだった。
そこで利根川教授は、すこぶる興味ある事実を述べた。
「わたしの研究室では、来年の課題を“文学”と決めることもできます」
これには、作家とノンフィクション作家も、黙りこんでしまった。
── 大江 健三郎・利根川 進・立花 隆(司会)《21世紀への創造
~ ノーベル賞受賞者フォーラム(十回記念)東京第3セッション ~
19981118 専修大学 1119 札幌グランドホテル》読売新聞社&NHK(共催)
(注)
利根川教授は、ノーベル文学賞作家が“化学”というテーマでは小説
を書けないことを、ずばり指摘してしまったのです。
もちろん悪意は感じられませんが、致命的な揶揄ですね。
わたしは、学生時代は理系劣等生でしたが、社会人となって、情緒的
な感性が、しばしば問題をややこしくすることに気づきました。
偏差値の格差には疑問がありますが、論理学は理系の領域でしょうね。
わたしは最近、東京工業大学で文学概論を講じた作家の、現役引退後
のWeb日記を沐読(もっぱら浴槽内で読書)しています。
《源氏物語》の恋愛は「ほとんど事後承諾のレイプだった」などなど。
秦 恒平 作家 19351221 京都 東京 /保富 康午の義弟/秦 建日子の父
http://umi-no-hon.officeblue.jp/iken15.htm
闇に言い置く 私語の刻 20021001-1231
No.2
- 回答日時:
私が知り合いの文学教師に質問者さんと似たような疑問をぶつけたとき、彼は以下のように答えてくれました。
Q.作品を読んで面白いか、つまらないかなんて、読者によって違うとしたら、文学研究ってどんな意味や価値があるの?
A.面白いと思ったからには、面白いと思わせた原因・理由が必ずあるはずだから、それを徹底的に明らかにしたいと思うヤツが文学研究に溺れるのよ。
学生のレポートだって、こういう動機で書かれていれば面白いし、エライ文学博士の大論文だって、こういう動機に裏打ちされていないものは読んでいてつまらないよ。
*読み手毎に違った読み方をするのは当然のことで、正しい一つの読み方があるわけではないし、それに一本化する必要もないようです。
ただ、各自にそれぞれの読み方をさせた原因・理由がある以上、それを深く追及していけばいくほど、結果的に一つの作品解釈に近づいていくのだと思います。
Q.ニュークリティシズム、構造主義、脱構造主義、テクスト論、フェミニズム、心理的、社会的、歴史的方法等々、いろんな研究・分析理論があるらしいけど、どれが一番有効だと考えている?
A.どの理論を用いても、結局その理論の鏡に映った作品像しか見えてこないさ。
でも、バカなヤツほど、どの理論が一番実証的だとか、優れているとかということばかり言いたがるんだ。
理論的、厳密であると言ったところで、流行の理論を振りかざしたり、その提灯持ちになることではなく、自分の導き出した自説なり、主張なりに対して、どれだけ徹底してその根拠なり、理由なりを追及しようとするかどうかの問題にすぎないんだ。
*要するに、どんなに立派な理論(公式)を適用しようと、それに依存して、考えるのをサボってしまうのでは、文学研究に限らず、立派な研究なんて生まれないようです。
とすれば、やはり最後に頼るべきは、自分の活き活きとした旺盛な懐疑精神になるのかな、という気がします。
>(わたしのような)単なる感想・印象的な語り方と,研究論文とを分かつ境界線は,
単に実証的あるいは論理的な語り方の違い,あるいは新しい解釈にあるのか,
もちろん、専門分野にはそれなりの専門用語や約束事があるとは思いますから、それに多少でも通じていた方が便利だと思いますが、こと文学となると、他でもなくわれわれが使用している言語を媒介なり、素材にして構成されていますから、誰でも専門家以上の分析なり、批評なりができる可能性を持っているような気がします。
もちろん、「単なる感想・印象的な語り方」が「研究論文」より劣っているなどということはありえないと思います。
ただ、私の経験では、自分で「単なる感想・印象的な語り方」だと思い込んでいたところ、友人から、「お前のは本当の自分固有の感想や印象ではなく、そこいらに転がっている凡俗な型にはまった読み方を、そうと自覚しないで拾い集めてきただけ」と言われて驚いたことがあります。
本当の意味での自分の「感想・印象」となると、それを見つけるのは実は大変難しいのだと感じさせられた次第です。
>どの理論を用いても、結局その理論の鏡に映った作品像しか見えてこないさ。
>でも、バカなヤツほど、どの理論が一番実証的だとか、優れているとかということばかり言いたがるんだ。
うーん,納得です。
>本当の意味での自分の「感想・印象」となると、それを見つけるのは実は大変難しいのだと感じさせられた次第です。
こう感じられるのは,やはり対話からしかありませんね。
最近の批評はなんとなくひとりよがりとしか思えないものが目についていたので,今回の質問に至ったのかもしれません。
回答ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
先ずはシンプルに興味、好みで読む、触れる部分は前提で良いと思うんですよ。
それとは別の部分で視点やその時代背景、テーマなどを意識しながら作品を吟味咀嚼する事で漠然とした読み方に変化をつけることが出来ますし、メッセージ性についても向かい合う事が出来ますからね。そこをさまざまな視点から考えていく事が研究やディスカスのテーマにもなりますから☆
「唯一の正しい」解釈というものが存在しないように思われる以上,
大学での文学研究は結局のところ解釈の過程が重要になってくるのでしょうね。
不毛なようでいて面白そう,面白いけど不毛,そんなところでしょうか。
回答ありがとうございました。
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