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先日、古代ローマのアピキウスという美食家が残したレシピ集の翻訳本を買い、読みました。
「ガルム」や「シルフィウム」といった、レシピの中でも頻出するけれど、現在ではもう廃れてしまった調味料に関しては注釈が載っていたのですが、同様に頻出する材料に「脳」という材料があります(何の動物の脳か、注釈はありませんでした)。
古代ローマではどういった動物の脳をよく食べていたのでしょうか?
気になるので、ご存知の方教えてください。

A 回答 (2件)

脳を食べるというと日本では奇妙な感じがしますが、例のプリオン病問題の前はイタリア料理やフランス料理の店で羊の脳のソテーは普通に出されていました。

今のレストランでは見た目も似ているタラの白子を代用にしているみたいですが。

1980年代の米国で出版された家庭向けの料理書(専門書ではなく地下鉄駅の売店で6ドルいくらかで売られているペーパーバック)にもブタやヒツジ、子牛の脳の調理法が書かれています。

アピキウスのレシピのラテン語原文では「脳」がcerebrumではなくてcerebellumとなっています。現代の医学ラテン語ではcerebellumは「小脳」なのですが、アピキウスでは「小さな脳」「小ぶりの大脳」です。多くのレシピで複数形のcerebellaとなっていますから一皿の料理に数頭分の脳が必要となる大きさのものです。この点からも羊、豚、子牛などが考えられます。

またプリニウスの「博物誌」には小児に歯が生える際の痛みには羊の脳が効くと記録されています。こうした記述からも家畜の脳はごく普通に食材として入手できたと考えるのが自然です。

もっとも、プリニウスにはフクロウの子の脳の薬効についても書かれていますが… 確かに珍しい鳥の脳への信仰の様なものは古代ローマにはありました。

でも珍しい生き物の脳なら原典にも注釈にもそれなりの記述がされているはずです。翻訳本に注釈が無いのは「現代」はともかく、翻訳者が参考にした注釈書が書かれた時代の西欧での常識とそれほどかけ離れていないと解釈できます。今の日本で料理の本に「レバー」とあれば牛か豚の肝臓なのと同じことです。
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この回答へのお礼

>でも珍しい生き物の脳なら原典にも注釈にもそれなりの記述がされているはずです。
>翻訳本に注釈が無いのは「現代」はともかく、翻訳者が参考にした注釈書が書かれた時代の西欧での常識とそれほどかけ離れていないと解釈できます。
なるほど!
ヨーロッパでは羊などの脳はありふれた材料なのですね。
納得がいきました。

お礼日時:2009/03/16 00:34

アピキウスがヤマネや豚の調理法について詳しく書いていることからも分かるように、いざ食べる際には肉から内臓までいろいろ手を出していたようですが、特に鳥は脳髄まで食べてしまうことがあったみたいです(といっても、こういった特殊な食材は一部の貴族が好んだケースもあったというだけで、一般にまでそう普及していたとは思えませんが)。


パトリック・ファース『古代ローマの食卓』、東洋書林(2007年)にはこんな話が載っていました。

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皇帝エラガバルス(紀元二〇四~二二二年)は贅の限りを尽くして客をもてなした。
彼は、アキピウスにならって、駱駝の足やら生きている鳥から切り取った鶏冠やらを定期的に食べていた。こういうものを食べていれば疫病から免れると思われていたからである。彼はまた帝国の廷臣たちに何枚もの巨大な皿に盛りつけたウツボの肝、フラミンゴの脳味噌、山鵲の卵、ツグミの脳味噌、鸚鵡や雉や孔雀の頭を供した。
(中略)
この皇帝は吝嗇ではなかった。誰にも十分な楽しみを与えた ―― ある時には一回の食事に六〇〇羽の駝鳥の脳味噌を供したのであった。
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エラガバルス(ヘリオガバルス)はアキピウスより後代の人物ですので、アキピウスの記す「脳」とこれらの食材は一致しないかもしれませんが、ガストロノミーが盛んとなった時代の最たる例としてご紹介させていただきます。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
鳥の脳などが好まれて食べられていたのですね。

お礼日時:2009/03/16 00:30

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