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RACERSと言う本を買いました。NS500を特集した本ですが、同時にフレディ・スペンサーの特集本でもありました。

その中のコラムで気になるところが一杯出てきました。

スペンサーは…

(1)「フロントブレーキを使ってリアを滑らせるとか~(p.58)」

(2)「NRでテストしたとき、私はS字で見てたんだけど転倒しそうになったんだよ。リアを滑らせて。そしたら膝をついて立ち上がっていっちゃった(p.58)」

(3)「フロントが流れた時、リアで修正する、という技術を持っていましたね(p.77)」

昔は伝説に尾ひれがついたモノだと思っていたんですが、こんなマンガみたいなテクニック、本当にやっていたとは。ていうかこんなこと本当に出来るんでしょうか?

現在、マシンがスリップダウンしたからって膝で立て直してるライダーなんてプロ・アマ見渡したっていないですよね?

(3)って恐らく進入時のテクニックを言ってると思うんですが、もし進入時ならアクセルオフだろうし、その時にフロントのスリップをリアで修正?リアブレーキ?でもスペンサーはリアブレーキをほとんど使わないからリアは飾りだって言ってたし・・・

上記のテクニックを理論的に説明できるヒトいますか?

A 回答 (7件)

スペンサーの特徴として、極端にいえばフロント(タイヤ&ブレーキ)に依存しない


ライディングスタイルであった事が挙げられます。

当時のライバルであるケニー・ロバーツが
「フロントタイヤでライディングし、リヤタイヤでステアリングする」と
いわれていたのに対して、フレディ・スペンサーは
「リヤタイヤでライディングし、リヤタイヤでステアリングする」と
いわれていました。

例として、依存の少ないフロントタイヤに関しては、
タイヤメーカー(ミシュラン)技術者が「ありえない」と驚くほどの
ソフトコンパウンドを好んで選択していると伝えられていました。

HRCのメカニックは
「マモラなどは1レースでフロントブレーキパッドをギリギリまで使い切るが、
スペンサーの場合フロントパッドの磨耗はマモラの1/3、リヤは殆ど使っていない」
と証言しており、フロントブレーキを酷使しないライディングスタイルである事が
判明しています。

また、NS500については(NSRと比べて)フロント荷重が少なく、
リヤへのマス集中により、スライドが後輪中心に起こるといわれています。
(この点からタイトなコースではNSRより有利ともいわれていた)

なお、スペンサーのサスセッティングに関しては、
フロントが柔らか目、リヤがガチガチに固め、といわれていました。


>(1)「フロントブレーキを使ってリアを滑らせるとか~(p.58)」

コーナリング中(フルバンク中)、フロントブレーキを制動ではなく
マシンの安定を意図的に崩すきっかけとして使用することで、
スライドを誘発させていたのがスペンサーの特徴といわれています。

フロントブレーキをきっかけとしてスライドし始めたマシンは、
前述したようなNS500の特性やマシンセッティングなどと相まり、
スペンサーはきっかけとなったフロントタイヤのスライドを上手くコントロールしつつ、
同時に滑りやすくセッティングされたリヤタイヤ側をより大きくスライドさせることで
バランスをとりながら、向き(ライン)をもコントロールしていたようです。

RACERS誌はこれらについて(一部省略して)指しているのではないかと思います。


>(2)「NRでテストしたとき、私はS字で見てたんだけど転倒しそうになったんだよ。
リアを滑らせて。そしたら膝をついて立ち上がっていっちゃった(p.58)」

スペンサーが膝でマシンを立て直す話は有名でした。

長い手足(と膝)を有効に使い、股の間で500ccのモンスターマシンを
まるで50ccバイクのごとく自在に操るスペンサーのライディングスタイルについて
「膝を第三の車輪として活用している」といわれており、
前後輪ドリフト時にはマシンを膝で支えてバランスを取る場合もあったようです。
(膝について、フロントタイヤより酷使しているという見方さえあった)

なお、ハングオフの確立者であるライバルのケニー・ロバーツが
膝のバンクセンサーをあくまでタッチセンサーとして使っていたおり、
(殆ど減らない事から)当時は膝にガムテープを張っていただけなのに対し、
膝を積極的に酷使するスペンサーはガムテープでは間に合わないため、
レースでは厚い革製のバンクセンサーを採用し
それがレース終了後には大きく磨耗してしまう状況でした。


>(3)「フロントが流れた時、リアで修正する、という技術を持っていましたね(p.77)」

「慣性ドリフト」によるコーナリング中の話だと思います。

コーナリング中、フロントが流れるとアンダーステアになりますが、この状況から
意図的にリヤタイヤ側をより大きく流せるマシンセッティングを生かして
一転オーバーステアへと修正、と同時にマシンの向きをイン側に変えていたのが強みでした。
(ローソンなどはフロントが流れた際、パワーリフトさせてアンダーを消していたが
マシンの向きはそれ程変わらない)


なお、スペンサーの速さについて、片山敬済選手は
「私やマモラはマシンがコーナーへ向くのを待っているが、
スペンサーはマシンより体を先に向けている」と証言していました。

どういう事かというと、
通常のライディングは充分に減速しコーナーに進入するのに対し、
スペンサーはオーバースピードのままコーナーへと進入し、
長い手足(や膝)を使って強引にマシンを振り回すように向きを変える。

するとタイヤは遠心力を支えきれず外側に滑り出します(慣性ドリフト)が、
この時スペンサーは、タイヤと路面のアドヒージョン(摩擦)を利用し
スピードを落としていた。

つまり進入速度が速い上に、マシンの向き変えと減速を同時に済ませていた事が、
スペンサーの速さのひとつであったといわれています。

では、なぜ他のライダーが同様のライディングをしなかったのか?

当時(1983年まで)のタイヤは、構造や性能が(ラジアルタイヤに比べて)不安定で、
寿命も短くレース中盤には“終わってしまう”バイアスタイヤの時代であり、
そのようなバイアスタイヤを派手にスライドさせて酷使した上で
レース終盤まで自在にコントロール出来たのは、唯一スペンサーだけであったため
といわれています。
(スペンサーはレース終盤、タイヤが終わりきっているハズのに
ファーステストラップを叩き出した事もあったように記憶します)


>上記のテクニックを理論的に説明できるヒトいますか?

ここまで書いて矛盾するようですが、理論的に説明できる人は殆どいないように思います。
(もちろん私も含めてですので、参考意見としています)

当時、本場のGPを長年追い続けて目の肥えた幾人ものヨーロッパ人ジャーナリストが、
スペンサーのテクニックを解明しようと試みましたが、
結局、誰一人として理論的な説明は出来なかったと聞いています。
(挙句の果てに「彼の周囲だけ物理的法則が働いていない」などと結論づける者までいた)

なお、ジャーナリストがスペンサーに対して、
「あなたの前後輪スライド走行は、どのようにコントロールしているのですか?」
と質問すると、スペンサーは常々こう答えていました。

「僕のスライドは神様によってコントロールされている」
「何も特別な事はしていない ただ一生懸命走っているだけだ」と。

これらの答えについて「自分のテクニックを明かしたくないため誤魔化している」
という見方もありましたが、どうやらスペンサー本人に質問をはぐらかそうという
意図があったというよりも、ライディングの天才であり、
また敬虔なクリスチャン(朝夕の礼拝を決して欠かさない)である彼は、
「神に祈る事で、マシンを速く走らせることが出来る」と
常日頃から本気で信じていたためだと聞いています。


参考資料:
「HONDA 2CYCLE EVOLUTION」ライディングスポーツ別冊 1985/DEC
ースペンサーはなぜ速いのかー


#RACERS誌は読んでいないのですが、面白そうなので私も購入してみようと思います
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この回答へのお礼

非常に丁寧な解説ありがとうございました。

>「リヤタイヤでライディングし、リヤタイヤでステアリングする」

ダートラの走り方をそのまんまGPの走りに使っていたと考えればよいのでしょうか?
突飛すぎて「その走り方って速いの?」と思ってしまいそうですが当時のGPでは速かったんでしょうね…。
周囲に同じ走り方をしているような選手など誰もいない状況で、根本的に違うライディング体系でチャンピオンを取ってしまうのですから非凡という言葉だけでは語りつくせませんね。

お話を聞けば聞くほど才能が際立ったライダーだったんだという事を感じます。
しかし、ヤマハでのスペンサーはその特異なライディングを導入したのでしょうか?
導入しても勝てなかったのか、ヤマハのその時代のYZRがスペンサーのライディングを拒否したのか?
ではRVFでは?

彼ほど興味の尽きないライダーはいませんね。

お礼日時:2009/11/08 02:14

本人のものとは無関係ですが、肘をついて走っているシーンです。


MotoGPのそれは何処で見たのか履歴を見ても見つけられず残念です。

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この回答へのお礼

これだけ極端に身体をずらしていればヒジとヒザでバイクくらい支えられるのでないかとも思いますね。

しっかし凄いフォーム。
最近のバイクがこういうフォームを可能にしたのか、ライディング理論が突き詰められてこういうフォームに到達したのか…

いや~…どっちにしても「カッコ悪いフォーム」…ですね~。
昔、峠でNSR50とかに乗ってたライダーが「俺サ」に載りたい一心でこんなフォームで走っていたのをよく見ていました。

あれはあれでギャグやノリでやっている事が明白だったので、それなりに見られましたが、プロのワークスライダーにコレをやられるとさすがにツライものがあります。
そのうち「ヘルメット擦り~」とか始まったりして。

ケニーやスペンサー、平やシュワンツ、ローソン、レイニー。彼らの華麗なライディングフォームのかっこ良さに魅了されて、バイクに乗り始めた私(たち?)から見ると、たとえこういう風に走るのが速かろうと、痛すぎてあんまり真似したくないフォームではあります。

自分がバイクに目覚めた頃、サーキットでは知っているライダーがみんなこんなフォームで走っていたら間違いなくレースになんか興味は示さなかったでしょうね~。

こんなフォームが今のGPシーンで幅を利かせているんですから…残念です。

お礼日時:2009/11/10 03:14

GPの公式戦は90年代(いつだったか忘れました)でほんの数週走っていました。


このときは予選をあまり走らずに手首の調子が芳しくないというコメントを残していたようです。
僕が印象に残っているのは83'の鈴鹿でGPの公式戦ではなく2&4か何かでの招待選手として来た時の走りでした。
確か当時の全日本チャンプは平忠彦さんでタイムが2"21'くらいでしたが彼が練習初日に20'台を出してどきもを抜き、平さんも20'台を記録して追いついたと思ったら公式予選で2"19'の半ばを記録して「恐ろしい」と思ったものでした。

彼がチャンプを取った83年(つまり82のシーズン戦)はミシュランのラジアルタイヤは彼のみにしか供給されておらず、この辺も一因としてあるようには思います。

膝での立て直しは案外バイアス育ちの僕らの世代では「意識せずとも助かった」事があります。
何人かのライダーもそれでこけずにすんだと言ってましたからハングオン様様ですね。
街中の話ではないですが......
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この回答へのお礼

言葉が足りませんでした。
「全盛期の」スペンサーが日本で走ったのは1度だけ、です。

>2&4か何かでの招待選手

そうそう、これが全盛期のスペンサーが日本で走った最初で最後のレースだったのですね。
ヤマハに移籍してYZRを走らせたり(確か89年、ローソンがホンダに移籍した年です)、8耐でRVFで走っている時のライディングはホンダ時代のものと同一なのか疑問だったので。

>膝での立て直しは案外バイアス育ちの僕らの世代では「意識せずとも助かった」事があります。

そ、そうなんですか?
そんな事、出来るんですねー。路面に突起物があったら股が裂けそうです。

お礼日時:2009/11/08 23:52

1-進入の早い時点からバンクを開始しています。


ブレーキは彼本人が常に「レート」と言っています。
ステアリングの動きはカウンターかと思いきや、内に切れたままでブレーキを戻しきらずにアクセルを開けているようです。
リヤでフロントを押す形みたいです。
後は荷重をフロントに集めてリヤを振る一般的技術も交えているようです。
2-膝はバランサーの役割をしていたようです。
常にゆらゆらと動かしていて何かを探っていたような感じでした。
彼は不思議なほど上体がリラックスしたフォームでしたが膝の役割にその秘密がありそうです。
スライドバランスと言うそうですが、この感覚が誰より鋭かったという事は聞いたことがあります。
逸話が一つあり、「クリップが一メートルずれたらラインを一メートルずらせば良い」と現役中は語っていたそうです。
僕には意味不明ですが、たぶん3の質問のヒントがこのコメントにあるのかも知れません。
どういう理由かは定かではないですが、スライドの基準がフロントにあるように感じるコメントが多くフロントのグリップを必要以上に抜かないため安易にスライドを起こせるリヤタイヤを積極的に使うとしか考えようもないです。
彼はカウンターアングルが小さい事でも知られていて僕自身、生観戦数度で注目していましたが大カウンターの当たるところはまず見れませんでした。
ランディ.マモラはテールスライドの達人(笑)で、いたるところでカウンター当てて遊んでいましたねぇ。
さすがにあれだけ高度な技術を解明する事は僕程度では不可能ですが、彼の走りから「二輪ドリフト(両輪が滑っている状態)」が維持できるモノなのかと脳みそがひっくり返った事はあります。
殆ど慣性ドリフトの世界......
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この回答へのお礼

ありがとうございます

>生観戦数度で注目していましたが

記録によればスペンサーが日本で走ったのは1回だけだったはず。
その1回に現場にいたんですね。羨ましい限りです。

慣性ドリフト、頭では理解できますが、ほとんどマンガの世界ですね。
レースの現場で彼の伝説を目の当たりにしていたライダーたちでさえ、彼のライディングを真似しようとした人間が誰もいなかった事を考えると、彼の才能はほとんど突然変異の領域ですね。

バイクの歴史は続いていっても彼を越える(才能の)ライダーはもう現われないのでしょうね。
私たちは恐ろしい時代を見ていたものです。

お礼日時:2009/11/08 02:20

理論的な説明は、勘違いや間違い


そこからの論議を呼びそうなので、関わりたくないですが
まずは極端なセッティングが必要です。
(1)は状況が全く解りませんが
アクセルをブレーキより遅らせて戻すのが有効か
あるいはコーナーで立ち上がりの際にバンクが立ってきた時に
フロントブレーキをを一瞬か、あるいは一瞬の連続、でかけるのか?
(2)は良くある事で珍しい事ではないです。
(3)はセッティングによりアクセルオープンで修正できます。
慣れたら楽ですが、タイムに結びつける技術ではないと思われます。

通常に良いタイムのレベルでは、まねをする事はできそうですが
精神力が消えて行きますし
人に勝てる速さは単純には出せないと思います。

とりあえず、低レベルでまねをするならイン~アウト~イン
のコース取りで走るとそっくりな事ができます。
フロントブレーキもあまりかけなくても良いです。
セッティングは2サイクルで2人乗り設定のノーマル車なら
タイヤを触るだけで良いと思います。

積極的に不安定な状況を作って走っていたのではないでしょうか。
バランス感覚が普通人とはやや違う。と思います。
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Youtube MotoGPの中に、膝とひじで倒れたバイクを持ち直すシーンがありました。

観客にガッツポーズみたいにしてアピールしてるシーンも。
さながら、補助輪付きみたいなんですけど。

スペンサーの話は本当なのではないでしょうか?
無論、我々常人は無関係なところにいると思いますけど。
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この回答へのお礼

>シーンがありました

現在でも実践しているんですか。知りませんでした。公道で使えるテクニックなんでしょうか?…無理なのかなぁ

ありがとうございます

お礼日時:2009/11/08 02:04

理論的な解説は分かりませんが・・・フレディ・スペンサー自身もその理論的な解説はしていないはずです。



当時からの話ですが子供の頃かダートトラックレースに親しんでいて前輪後輪が流れるなんて当たり前の世界をそのまんまロードレースに持ち込んだ走りだったとの事です。
ロードレースでコーナーであもいきりバンク中でも前輪が流れようがお構いなしです。後輪に至っては「流れている時はまだ加速できる」なので流れっぱしでフルコントロールして全力で加速です。
使えるものは何でも使うので膝を使って立て直すことしばしば見られます。
彼にとってはそれが当たり前なんでしょう。
NR500なんてバイクも彼だから乗れたかもしれません。
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この回答へのお礼

ありがとうございます

ダートラはケニーもマモラもやっていたはずなのですが。やっぱり才能なんでしょうか?

NR500は乗るだけだったら乗りやすいマシンだったそうです。パワーバンドの広さはNSの比ではなかったそうですし。それを他の2St並に走らせる事が至難だったんですね。

お礼日時:2009/11/08 02:01

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