
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
海水中の塩分濃度は約3.3%~3.5%。
カニの体内の塩分濃度は約0.9%。
海水の塩辛さの正体はナトリウムイオンが主体ですが、ナトリウムイオンは、二つの面で生物に対して害を与えます。
一つめの害は、ナトリウムイオン自体の毒性。
カニの細胞内にナトリウムイオンが入り込んでしまうと、血圧を押し上げるなどの悪影響を及ぼします。
そのため、すべての生物細胞(我々人間も)の細胞膜には、細胞内に侵入してきたナトリウムイオンを体外へ排出する仕組みを持っています。
この仕組みはナトリウムポンプと呼ばれています。
二つ目の害は、浸透圧による脱水性です。
海水中で生活するカニは、高い塩分濃度が持つ脱水力と戦っています。
水には「浸透圧」という特徴があり、半透膜を通して薄い濃度のものから濃い濃度のものへ移動する(濃度の低い方から高い方へ移動)性質を持っています。
カニの体細胞の塩分濃度は0.9%なので、もし海水がそのまま体内に侵入すると、エラや関節から細胞内の水が外に流れ出し、脱水状態になり死に至ってしまいます。
飲んだ海水のナトリウムイオンは胃で吸収され血液に入った塩分は、腎臓で抽出され、塩分の濃い尿として排出されます。
海水性のカニは強力な腎臓を持っています。
> カニが生息する海水の塩分濃度を変えるとカニは死んでしまうのでしょうか?たとえば、塩分濃度を二分の一、四分の一と変えてみたら。
塩分濃度は海水の75%程度まで薄めても問題無く飼育出来ます。
海水の50%「二分の一」でも直ぐに死ぬことはありませんが、繁殖は出来なくなります。
> そしてまた、真水にすれば全然生きられないのでしょうか?
「四分の一」または淡水では、今度は逆浸透圧の関係になり、カニの体内の塩分濃度の方が飼育水よりも高くなります。
このため、カニの体内にドンドン水が染み込んでブヨブヨの状態になります。
海水性のカニは、このドンドン水が染み込んでブヨブヨの状態への対応策を持っていません。
従って、体内の水分量が増えすぎて、体内の塩分量が薄まりすぎて、やがて死んでしまいます。
この回答へのお礼
お礼日時:2010/01/02 17:44
ものすごくよくわかりました。すごく参考になりました。
教えて!gooへの投稿は今回が初めてです。
質問を投稿してから、こんなに短時間で、このような詳細で専門的な回答を頂けるとは思っていませんでした。
回答してくださった方はどのような方なのかと思います。
本当にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
生物は海で誕生し進化しました。
海産無脊椎動物は、基本的に海水中で体液の濃度の調節をする必要がありません。
参考URL最下部のケアシガニのように、体液の濃度は外部環境に左右されます。
淡水や陸上で生活する動物は体液の濃度調節が生死を左右します。
しかも腎臓には塩分を濃縮して排出する能力が無いため、われわれは海水ではなく真水を飲む必要があります。海水しか飲めない脊椎動物は塩類細胞または塩類腺を持っており、余分な塩分を排出します。
干潟に住むカニや河口域に住むカニは環境の塩分濃度が変化するため、体液の濃度を調節する能力を発達させてきました。エラや触覚腺が濃度調節に役立っています。
参考URL:http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_ …
No.2
- 回答日時:
通りすがりですが, x530様すみません
<海水中の塩分濃度は約3.3%~3.5%。
<カニの体内の塩分濃度は約0.9%。
ですが,甲殻類の体液は淡水産で約0.2%(ミズムシとか・・・)
海産で海水と等張約3.3%~3.5%です。
<カニの細胞内にナトリウムイオンが入り込んでしまうと、血圧を押し上げるなどの悪影響
ですが,「ナトリウムイオンが入り込んでしまう」様な状態では
その個体は高張の環境にいることとなり,高張環境に対して塩分
調節機構を持たない甲殻類の細胞は,むしろ環境と等張となります。
つまり,エウスタキオ菅による中耳の気圧調節同様高圧下でも
血圧のように外部に力を及ぼしません。無論体液も細胞もそれなりに
高張です。
<海水性のカニは強力な腎臓を持っています。
ですが,甲殻類の排出器官は触角線と腸です。共に淡水環境で
よく働き,余分な水分を排出します。前者の活動は目に見える水流で,
後者の活動は肛門の開閉で確認できます。
ちなみに海産の甲殻類は浸透圧に対し受動的で,窒素排出を
除くと,積極的には働いていないようです。
正月早々すみません。 ではでは
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