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化学系専攻の学生ですが、カーボンナノチューブのエアロゲルシートのポアソン比が10以上あった、という論文(Science Vol. 323. pp. 1575 - 1578)を読みました。
材料力学に関しては知識不足ですが、調べてみるとポアソン比が0.5以上になるのは熱力学的にあり得ない、というのが常識とのことです。
しかし、この論文のナノチューブシートや、その参考文献(Science Vol. 279 pp. 1522 - 1524)には、テルルやセレンの結晶も0.5以上のポアソン比を持つと書いてあります。
このような現象の原因は流体静力学的に負の線形圧縮性を持つからだと説明されていますが、どのようなことか理解できません。
材料力学に詳しい方がいらっしゃいましたら、解説をお願いしたいです。

A 回答 (4件)

材料力学に於いてポアソン比γが0.5を越さないとしてある事は、材料が


均質で一様に充填してある物質という前提があります。
こういう物質が負荷を受けた場合は-1<γ<0.5が成立します。
(通常は>0ですが、マイナスの物質もあるので限界値の-1まで拡張してあります。)
変形時に体積が変化せず、γ=0.5に近い値を示す物の代表例がゴムです。

内部が不均質だったり、充填材が含まれていたり、空孔を含む異方性の物質に
付いては、この前提から外れるために、γ<0.5は常に成立するものでは
ありません。

一例として、(X/a)^2 + (Y/b)^2 = 1の楕円がすっぽり納まる矩形の平面材を、
短軸Yの方向にbからaの長さまで伸ばし、その際に長軸Xの長さはaからbに
変わったとします。
この時、楕円の納まる矩形の面積は変形の前と後で4abと変わりません。
(体積変化無しに相当。)
この例では、ポアソン比γは((a-b)/a)/((a-b)/b)=b/aとなります。
つまり、初期値aとbの取り方次第でγが0.5以上に成るようにできます。
言い換えれば、矩形に納まる楕円の変形に、こういう変化が観察される
構造なら見掛けのポアソン比は0.5よりも大きく成り得る訳です。
代表例はハニカムフィルタで、その特殊な構造の為にγは0.5以上の値を示します。

エアロゲルシートでは変形時のボイドの体積変化が影響するとも
考えられます。ナノチューブの場合にはチューブの持つ強い異方性または
その中空形状が原因と考えられます。

しかし、エアロゲルシートのポアソン比が10以上という報告で、この大きなポアソン
比が現れる機構に付いてどう記述しているかは興味が有ります。
「このような現象の原因は流体静力学的に負の線形圧縮性」の記述は、ポアソン比の
定義から現象的にそうなっているというだけで、負の圧縮性=膨張の単なる言い換え
と思えます。原因の説明には成っていません。
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この回答へのお礼

詳しい回答ありがとうございます。
原因の説明になっていない・・・薄々感じていましたが、納得することができました。
ポアソン比の前提条件についても、わかりやすく説明して頂きありがとうございます。
この条件からいきますとナノチューブの配向膜、かつエアロゲルですと全く当てはまりませんね。
この論文ではポアソン比が10以上の理由については記述していないようです。内部の詳細な構造についても記載がありません。
楽しみがてら、続報の報告も読んでみようと思います。

お礼日時:2010/11/13 13:29

カーボンナノチューブのエアロゲルということは、要するに綿のような構造ですよね。


引っ張ると空気が抜けて体積が縮むのではないでしょうか。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
私も初めそのような理由だろうと考えていました。
しかし真空中での実験も行っており、その条件でも可逆的に伸縮していたため、この考え方は却下されてしまいました。
背景を省いてしまいすみませんでした。

お礼日時:2010/11/13 13:11

<回答ありがとうございます。


しかし、私の質問の仕方が悪かったようです。
ポアソン比から、引っ張ると体積が減少する、という現象は理解しています。
ただし、体積減少に転じる0.5以上の数値が熱力学的に否定されているという説がある一方で、このような0.5を越える物質が存在することに矛盾を感じ、この質問をさせて頂きました。
この矛盾を説明するにはどのような考え方があるのか悩んでおります。>


回答者としてはあまり適しているとは思えませんし、材料力学の問題でもなさそうです。
しかし、次のように考えています。 鶏の卵よりはましな話です。

御質問の材料についての知識は全くありませんが、微小スプリングが膨大な数含まれているとした材料を
考えてみます。

このスプリングは圧縮状態でしかもラッチがかかっていて自由に伸びることが出来ません。
しかし、圧縮を契機に圧縮スプリングのラッチが外れるものがあるとしましょう。

空想上 (imaginary or ideal) のシリンダー内に材料を入れ、上にピストンを置いたとし、
それで安定状態にあるとしましょう。

その安定している状態のピストンの上に追加の重りを載せると、ピストンは下がる筈なのに
じわじわと上昇するような材料が存在するというのは事実のようです。

これは、追加の圧力によりスプリングのラッチが外れたものがあり、そのために膨張したと考えれば
何ら問題ではありません。

問題とすべきは、このスプリングとラッチに相当するようなメカニズムが存在するかどうか、また
存在すればどのような機構かということでしょう。

この怪しげなスプリング―ラッチ理論のよいとことはエネルギー保存則を前提としていることでして、
このような現象が繰り返して起こすことが可能なら、熱力学の法則というよりエネルギー保存則に反します。

全てのスプリングが伸びてしまえば、このような現象は起こりえません。

よくお勉強をなさっているような方に対して失礼ですが、素人ならこのように考えます。
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この回答へのお礼

またしても回答ありがとうございます。
スプリング-ラッチ理論・・面白いですね。不可逆な系を考えれば何とかなりそうですね。
しかし、厳密なポアソン比の定義のようなものからは反してしまうんでしょうか?
私も全くこの分野のことはわかりません・・
この論文、テーマ自体は私の専攻とは全く関係なく、この問いがわからなくても問題はないのですが、素材として面白そうだったので手に取った次第です。

ということで私も厳密なことは無視して、「引っ張ると小さくなる構造」を考えてみました。
「螺旋状に巻いたリボンに気体が閉じ込められてる物質を考える。
これを螺旋軸方向に引張れば、直径方向には負の圧力が発生し、気体がリボンから圧力を受けるため総体積は減少する。」
エアロゲル・・というのは要はゲルの分散剤を気体に置き換えたものということなので、このように考えてみました。
気体と固体が組み合わされた構造を考えれば、いくつか上手くいくような気がするんですが。。。
やっぱり詳しいとこを勉強しないと、確かなことは言えませんね^^;

お礼日時:2010/11/11 10:10

材料力学に詳しくはありませんが・・・・



縦横高さがそれぞれ1000mmの正方形があったとして、高さ方向に引っ張ると10mm伸びる
つまり歪が10/1000だとする。

横方向の歪はポアソン比が0.5なら、5/1000つまり5mm縮む。
縦方向の歪はポアソン比が0.5なら、5/1000つまり5mm縮む。

つまり、高さ方向に引っ張ると体積は
1000(1+10/1000)×1000(1ー5/1000)×1000(1ー5/1000)
≒1000×1000×1000×(1+10/1000-5/1000-5/1000)
=1000×1000×1000

のように変化しないことになる。

引っ張ると体積は増えると考えるのが常識だが、ポアソン比が0.5を超えれば体積が減る。

逆にいえば、流体静力学的に圧縮すれば膨張する材料が存在するということ。

孵化直前の鶏の卵に外圧をかけてやると、卵が割れヒヨコがでてきてしばらくすると体積は膨張するのでないかと思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
しかし、私の質問の仕方が悪かったようです。
ポアソン比から、引っ張ると体積が減少する、という現象は理解しています。
ただし、体積減少に転じる0.5以上の数値が熱力学的に否定されているという説がある一方で、このような0.5を越える物質が存在することに矛盾を感じ、この質問をさせて頂きました。
この矛盾を説明するにはどのような考え方があるのか悩んでおります。

お礼日時:2010/11/10 14:04

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