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 ある大学受験参考書で、安息香酸とエタノールからエステルを作る実験の問題がありました。まず安息香酸とエタノールと、触媒として濃硫酸を丸底フラスコに入れ穏やかに沸騰させて、一時間加熱しました。次の操作で、反応液を室温まで冷却したあと、水とベンゼンを加え、よく降った後、下層液を捨てたとありました。問題は、この操作は何の目的で行ったかというものでした。
 
回答には、これは硫酸と生成した水と未反応のエタノールを水槽に分離するため、とあるのですが、ここで混乱してしまいました。
 
エステル化は可逆反応だから化学平衡から考えると、ここで水を大量に入れるとせっかく出来上がったエステルを元に戻してしまう方向に反応が進んでいってしまいエステルがなくなってしまうのではないのでしょうか?また、そもそもエステル合成実験のように、生成物同士が分離してしまうものでは、どこがどんなふうに化学平衡の状態となっているのでしょうか。

独学で勉強しているため質問できるものがおらず困っております。拙い質問ではございますがよろしく
お願いします。

A 回答 (3件)

こんにちは。



>ここで水を大量に入れるとせっかく出来上がったエステルを元に戻してしまう方向に反応が進んでいってしまいエステルがなくなってしまうのではないのでしょうか?

なかなか良い考察ですね。でも実際にはそのようなことは起こりません。ヒントは反応温度です。エステルを合成するときにはエタノール溶液を沸騰させています。エタノールの沸点を調べてみてください。室温よりもずっと高い温度で実施しています。何故でしょう? 室温だと反応が遅いために加熱して反応の進行を促進しているのです。裏を返せば、室温であれば、エステル化及びその逆反応の進行速度は遅く、手早く精製を行うことによってエステルを分解させることなく得ることが可能なのです。

>また、そもそもエステル合成実験のように、生成物同士が分離してしまうものでは、どこがどんなふうに化学平衡の状態となっているのでしょうか。

理論的には触媒すなわち硫酸が存在する系、つまり水相での各成分の濃度及び平衡定数に支配されます。今回のご質問では、おそらくエタノールを安息香酸よりもやや多めに使っているものと思います、それはエタノールを多くすることによって、平衡を安息香酸が生成する方向へ傾けようとする理由からです。さらに言えば、「生成物同士が分離」という貴方の指摘点こそが今回のエステル化を促進させるための最大の理由であり、安息香酸エチルが水には溶けにくいために水相での濃度が下がる、つまり逆反応を進行しにくくしていることがポイントなのです。

なお、余談ではありますが、実際の合成実験の現場では、いまどきベンゼンは発がん性の問題があるので使われません。PRTR関係の規則など、環境や安全を守るための化学物質規制関連法に関するサイトを巡ってみるのも、もしかしたら楽しいかもしれませんよ。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

大変ご丁寧にご説明していただき、また補足情報まで添えていただき、ありがとうございました。かなりすっきしすることができました。
化学は机上で勉強すればするほど、実際にいろいろな反応を見てみたいという気になってしまいます。良い考察と言っていただき大変励みになりました。これからも好奇心を以て勉強していきたいと思います。

お礼日時:2010/12/11 23:50

反応には速度というものがあります。

一瞬にして平衡に達するわけではありません。水を入れて何日も放置すれば加水分解されるかもしれませんが、短時間ではそのような反応は無視できるレベルでしか起こりません。

生成物は最終的には分離させますが、反応中は均一な溶液になっています。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

なるほど。混ぜた瞬間の移動はすなわち微々たるものだということですね。確かに僕の中では移動というのはすぐに起こるものだと想像してしまっていました。反応速度という視点を与えていただきありがとうございます。大変参考になりました。

お礼日時:2010/12/11 23:42

ん~, できた安息香酸エチルはどっちに入るんでしょうか....

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