No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは.
共分散分析ですか…
分散分析は心理学や社会科学などでメジャーな分析法ですが,共分散分析は教科書によっては説明されていないいささかマイナーな手法ですね.
この教科書に説明されていないというのが問題でして,どんな計算原理で行われるかについては簡単ながらも説明されていますが,【実際の計算過程がよくわからない】ために,また,統計ソフトに必ずしも実装されていないことが多いなどいまいち使い勝手が悪い手法だと常々感じています.
> また,3要因を手計算でするのは無謀でしょうか?
そのため,上の質問については,「具体的に計算式をどこかの本で見つけているのならばできるかもしれないけど,そもそもその計算式を発見できるのか?」と回答させていただきます.
石村貞夫『分散分析のはなし』,岩原信九郎『教育と心理のための推計学』に計算式が少しばかり説明されていますが,一要因(対応なし),一共変量のについての説明はされていますが,二要因,二共変量以上の場合には計算の原理が説明されている程度で,具体的な計算過程については自分で組み立てないといけません.自分で組み立てるためには,分散分析,回帰分析などの数理的な側面を理解していなければなりませんのでかなり難しいと思います.普段統計解析法を数理的な観点から勉強していない人にとっては正直無謀のような気もします(私もまだまだ数理統計学は勉強中なので,途中で止まってしまいます…).
さらにはこれらの本には「対応なし」についてのみ扱っており,「対応あり」については触れられていませんので,もしお望みの三要因の共分散分析が「対応あり要因」を含むものならば,すぐに共分散分析を使わなければならないのであれば諦められた方がよいと思います.なんとか,共分散分析が使える統計ソフトを使いましょう.
ひとまず,共分散分析の基本的な考え方についてだけ,ごく簡単に説明します.共分散分析は「回帰分析+分散分析」の分析法だとよくいわれます.このため,共分散分析を使うためには,分散分析の他に【(重)回帰分析も理解していなければなりません】.ここでは質問者さんが(重)回帰分析を理解されていることを前提として話を進めます.
とりあえず説明データとして,以下のような,2×2の分散分析データ,共変量が二つというもので説明します.
独立変数(原因);A要因(a1,a2水準),B要因(b1,b2水準)
従属変数(結果):Y
共変量:Z1,Z2
このデータでふつうの分散分析を行うのであれば,共変量のZ1,Z2を無視して「A&B→Y」という二要因分散分析を行うでしょう.
分散分析は,そのデータを収集する時には「A」「B」要因以外の要因(剰余変数)からは大きな影響が出ないような形で,データ収集をしなければなりません(例えば,Yが学力データであるならば,「学習場所(A)」「教科(B)」以外は統制されたものでなければなりません).しかし,データによっては別の要因の影響が大きい,というものもあります(学力はその人本来が持っている知能に影響を受けますが,「A」「B」に知能要因が含まれていない場合は,知能要因の影響はない形,つまりは知能はほぼ一定の人から被調査者に協力してもらわなければなりません).そのようなデータ収集はいわゆる失敗なのですが,しかし,何とか統計学的にそのような剰余変数の影響を(回帰分析の力を借りて)処理しよう,というのが共分散分析です.
簡単に言えば,そのままでは従属変数であるYが(剰余変数の影響を受け)データとしては不適切なので,回帰分析をすることでYをY’に修正して,その修正値であるY’に対して分散分析を行う……これが共分散分析といえます.
このことから,共分散分析は計算上,大きく二つの段階に分かれます.
1)(重)回帰分析による従属変数の値の修正
(重)回帰分析も分散分析同様に,原因-結果の観点でデータ分析を行いますが,この修正作業の段階においては
共変量(原因)→ 分散分析の従属変数(結果)
として,重回帰分析モデルを作ります.先の例で言えば,本来は平均であるIQ100の人たちを被調査者全員とした方が望ましいのですが,ある人はIQ120,IQ90などのようにバラバラになっている場合はモデルを作り,本来IQ120(90)の人がIQ100であった場合のデータ……のように,修正を施せるようなモデル式を作るわけです.
ただし,この修正のためのモデル式がデータによっては有効ではない場合もありますので(実は,学力は知能の影響を受けていない,など),共分散分析においてその回帰分析モデル式が有効であるかを調べなければなりません.kのため,(重)回帰分析の重要な数値である「回帰係数」が有効であるかとして「回帰係数の平行性の検定」「回帰係数の有意性の検定」などを調べなければなりません.これで有効でなければ,回帰分析による修正が行えず,単にふつうの分散分析を行うことになります(詳しくは,先に挙げた参考資料を見てください).
2)修正値に対する分散分析
この過程は【基本的には】分散分析と同様で,結果も通常の分散分析とほぼ同じような感じで出力されます.「A要因の効果」「Bの要因の効果」「A×Bの交互作用」などです.共分散分析では,これに加えて「共変量の効果」という項目も併せて算出されます.
.
ありがとうございました.
回帰分析は,完璧ではないですが,多少は理解しているつもりでした f(^^;
アドバイス,とてもわかりやすかったです.
回帰分析+分散分析というのは知っていたのですが,共変量がよくわからなかったんです.
やっぱり手計算は無理ですよね.ソフトを使えるはずなので,ソフトに頼ります…
ところで,岩原信九郎『教育と心理のための推計学』がアマゾンや紀伊国屋で見当たらなかったんです.
手計算は無理だと判明しましたので,もしよろしければ
計算方法はなくても,わかりやすく書いてある本を紹介していただけませんでしょうか?
No.2
- 回答日時:
再度登場です.
> アマゾンや紀伊国屋で見当たらなかったんです.
あれ? 念のためにAmazonで確認をしてみました……
「分散分析のはなし」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4489003 …
「教育と心理のための推計学(新訂版)」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4821062 …
と,在庫がありました(2004/02/04,20:09時点).質問者さんが検索された時に,在庫が切れていたのかも? もしかすると「~のための推計学」の無印を探されたのでしょうか? 申し訳ありません「新訂版」の方です.
.
共分散分析の説明としては「分散分析のはなし」が読み物としてはわかりやすかったです.
参考URL:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4821062 …
ありがとうございました.
「分散分析のはなし」を読んでみたのですが,けっこうわかりやすくていいですね(^-^)
共変量が何なのかもわかるようになりました☆
いろいろご親切にありがとうございました.
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