例えば認知心理学の実験をした方ならお分かりかと思いますが、2つの条件を2つのグループに分けて試行したとき、条件2つを各グループ同士で順序を逆にして試行しますよね?この「カウンターバランス」は「課題遂行の順序による影響を相殺するために、被験者の半数で順序を逆に」するそうですが、なぜ「順序による影響があるのか」が、いまいちよくわかりません。
参考まで、以下はストループ効果と逆ストループの実験の例です。
Aグループ・・・CH条件(色文字読み)⇒CO条件(色文字命名)
Bグループ・・・CO条件(色文字命名)⇒CH条件(色文字読み)
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
再度こんばんは。
frauさんの状況がよくわからないのですが、どこかの分野の心理学実験を行なって、それにもとづいてレポートを書いているのですか? だとしたら、
> カウンターバランスを行っても先行研究(仮説)と同じになるなら
> 仮説はより真実性に近くなる、ということなのでよいのでしょうか?
> (お分かりになる範囲で結構です)
私の意見としては、
「カウンターバランスをとることで、実験手続きはより妥当な(独立変数の影響を検証でき得る)ものとなった」
「今回の実験結果は、先行研究の主張や仮説を支持する結果であると言える」
ということは言えるかもしれませんが、
私自信はその実験について詳しく知らないので(その実験や仮説に関する研究が何かわからないので、そして実験の隅々まで確認のしようがないので)、本当に真実に近くなったかどうかはアドバイスできません。なので、わかる範囲でできる範囲のアドバイス。
心理学実験では、独立変数と呼ばれるものを操作することによって、その変数が、知覚や記憶のような人間の特性にどのような影響を与えるかについて検討します。その際に、独立変数の他に実験結果に影響すると考えられる変数を、影響しないように統制するのが、実験を組み立てる際に重要となってきます。その統制方法のひとつがカウンターバランスです。
たとえば先行研究でカウンターバランスをとっていなかったとしたら、「その実験結果は、独立変数以外の変数の影響なんじゃないの?」という批判がでてくるでしょう。そこで次の実験で、独立変数以外の変数について影響がでなくなるようにカウンターバランスをとってみて、それでもやはり課題の成績や反応時間などに条件間で差がでたなら、さて、どう考えればよいでしょうか?
先行研究の結果と同じになった場合でも、論文やレポートの考察で述べるべきは多くあります。「先行研究と同じになりました、仮説が支持されました、めでたしめでたし」として何も書かないのはマズいということ。
○先行研究と違った結果になった場合
→今回の実験状況に何らかの問題があった、新たに設定した操作が影響してしまった可能性がある、カウンターバランスの操作は意味がなかったのか、あるいはその操作が逆に影響してしまった?
○先行研究と同じ結果になった場合
まず「今回の実験結果は、先行研究の主張や仮説を支持する結果であると考えられる」などと、今回の結果について、序論や実験目的の部分で提案した仮説が支持されたかどうかを、まず確認する必要があります。
そのうえで、
1)今回カウンターバランスをとった他に、「実験結果に影響すると考えられる変数」が存在するかどうか、そしてその変数がまだ統制されていなくて、それを統制したら実験結果は変わるのかどうか
2)今回の実験結果は、あくまでも先行研究や今回の実験での条件下での結果であるため、もう少し実験条件が違った場合にはどうなるだろうか
3)今回の独立変数の効果以外に、検討した人間の特性や実験課題に影響する重要な変数はあるだろうか、それを独立変数として操作すると結果はどうなるだろうか
↓
上記の内容について考察した後で、それを確認できる(仮説が正しいかどうかをさらに確認できる)ような新たな実験を提案してみる
単に実験の追試をするだけではなく、そういう多くの実験を積み重ねていくことで(そしてやはり仮説が支持されることで)ようやく、より「真実に近づいた」と言えるのではないでしょうか。
この回答への補足
再度のご回答ありがとうございます。
只今お察しの通りレポートで非常に苦労しております(苦笑)。
「仮説がくつがえされた結果の考察」
http://okwave.jp/qa2759327.html
ここで質問しておるとおり、今回の実験結果では、黒文字読みと色文字読み課題の逆ストロープを検証する2つの独立変数は仮説に反しまして他の独立変数の3水準の中で反応時間がもっとも遅いという結果でした(もちろんカウンターバランスを行いました)。そのt検定は
「有意差」について」
http://okwave.jp/qa2759126.html
で提示しているとおりです。
ここでも大変ご丁寧な解説を頂戴しているのですが(これまた読むのにも大変で)、要はnsがあるときには「有意差なし」ということだろうと思うですがどうでしょうか?
「逆ストループ」は仮説が支持されなかったわけですが、「>先行研究と違った結果になった場合」ということになり、カウンターバランスの操作自体に何かしらの問題があった、という考察でよろしいのでしょうか?つまり「相殺の回数が足りなかった」「時間帯が影響した」などの可能性をレポートの「考察」に載せることとなりますか?
(通信大学ですのでいかんせん実験慣れ、レポート慣れしていない学生ですので今回大変苦慮しております。よろしくご教授ください)
補足です。
Behaviorismさんは専門家ということでストループ効果についてご理解いただいているという前提ですが、今回の実験過程や結果について参考が必要な場合、上の補足の回答に対しさらに詳しいデータが必要な場合おっしゃってください。
No.3
- 回答日時:
No.2です。
>>「この実験結果は本当に目的を反映した結果なのか」
>ということは、目的=仮説ということでよろしいのでしょうか?
→
「仮説を検証すること」が目的なのでしたらそれで構わないと思います。
>また「有意差」がないということは、先行研究での結果からくる一般論(または仮説)とどおりになった、ということでよいのでしょうか?
→
ここでの「有意差」はAグループのデータとBグループのデータの間に差があるかを分析した際の「有意差」ですので、
この「有意差」がないことは「課題の遂行順序による差がなかった」ことを示すだけのものであり
仮説が検証されたことを意味するものではありません。
仮説の検証には仮説を検証するための(今回の実験で得られたデータが先行研究でみられた分析結果と一致するかどうかの)
メインの分析が当然必要です。
(勘違いな回答になってしまっていたら申し訳ありません。)
再度のご回答ありがとうございます。
>「有意差」がないことは「課題の遂行順序による差がなかった」ことを示すだけのものであり仮説が検証されたことを意味するものではありません。
大切なご指摘をありがとうございました。
>先行研究でみられた分析結果と一致するかどうかの
支持されませんでした。なのでこちらとしてはその考察もしなければならず、非常に苦労しております。ですが、がんばります!
No.2
- 回答日時:
心理学実験経験者です。
カウンターバランスというのは、要するに
「この実験結果は本当に目的を反映した結果なのか」を
相手に納得させるために必要な処置なんです。
質問者さんの実験例を例にしますと、
片方の課題遂行の順番(Aグループ)だけで全てのデータをとってしまうと、
「この実験結果はストループ効果を示すものではなく、
色文字→色文字命名という課題遂行の順番の影響じゃないの?」
という意見を提示された場合に反論ができません。
しかし、データの半分を逆の順序でとっておけば先の質問に対し、
「いいえ、AグループとBグループのデータを比較しても統計的に有意差は見られませんでした、
だからこの実験結果に順序の影響が関与しているとは考えられません」
ときちんと反論ができます。
このようにカウンターバランスは「課題の遂行順序による影響がなかったこと」を相手に理解させる際にとても有効な処置なのです。
(もちろん分析して有意差がみられなかった場合にですが)
>なぜ「順序による影響があるのか」が、いまいちよくわかりません。
→
というよりも得られたデータが「見たい効果(例ではストループ効果)以外の効果の影響」を受けていないことを確認するための処置とお考え下さい。
ご回答ありがとうございます。
>「この実験結果は本当に目的を反映した結果なのか」
ということは、目的=仮説ということでよろしいのでしょうか?また「有意差」がないということは、先行研究での結果からくる一般論(または仮説)とどおりになった、ということでよいのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
こんばんは。
一言で回答するとしたら、「実験として操作する変数以外に、実験に影響すると考えられる変数の影響を排除するため」です。
たとえば、まあ質問文にありますストループ実験でも良いですけど、A条件とB条件という2つの条件を設けて、その条件間で独立変数の操作をしたとしましょう。
実験参加者(被験者)さん全員に、A条件とB条件の両方に参加してもらい、実験はA条件→B条件の順番で行いました。その結果、A条件とB条件の間には差がみられました。さてその結果の差は、本当に独立変数の効果なのでしょうか?
そこにはもっと別の効果の影響が関わっているのではないか?という反論がされると思います。具体的には、練習効果、疲労効果、順応効果などの「時間変数」と呼ばれる変数の影響です。
たとえば、A条件とB条件で非常に似た課題だという場合、A条件を行なって課題に慣れてしまったら、その後に行なわれるB条件はより容易に、より効率的に行なわれるかもしれません。あるいは、課題が非常に疲れる課題だという場合、A条件で実験参加者さんが疲労してしまって、その後にB条件をやってもらったら課題が全然できなかった、課題をこなすまでに時間がかかった、となるかもしれません。
そこで、実験参加者全員を半数ずつ2つのグループに分けて、
グループ1:A条件→B条件
グループ2:B条件→A条件
というように実験を行なう順序でカウンターバランスをとることによって、「実験条件間で」上のような練習効果や疲労効果の影響をなくす(A条件にもB条件にも同じぐらいずつ影響させる)ことができると考えられるのです。
そういう余計な効果の影響を相殺させた場合でも、A条件とB条件で、課題の成績に差があったという場合、どうやらその原因は独立変数の影響だろうと考えることができるのです。
本当の実験ではもう少し複雑だったり、上記の統制にも問題がないわけではないのですが、カウンターバランスの教科書的な説明としては以上ですかね。
ご回答ありがとうございます。
>練習効果、疲労効果、順応効果などの「時間変数」と呼ばれる変数の影響です。
なるほどです!わかりやすい回答に感謝です。
ところで別質問になるのですが、カウンターバランスを行っても先行研究(仮説)と同じになるなら仮説はより真実性に近くなる、ということなのでよいのでしょうか?(お分かりになる範囲で結構です)
今レポートをやっているのですがこれが大変で大変で!でもこれは考察にも参考になりました。
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