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レポート執筆中に以下のような記事に出会い、重要度が高そうなのですが理解できません。
どなたか解説していただけると助かります。

「発展途上国の場合、生産性の絶対水準が低いだけではなく、産業間の生産性格差が大きく、産業間で資源再配分を行うだけで先進国並みの所得水準に追いつけるほどだ。にもかかわらず、ラテンアメリカなど多くの中所得途上国では、資源再配分の失敗が産業内生産性の上昇を帳消しにしている。」
(資源再配分の必要性(十字路)2012/05/24 日本経済新聞 夕刊 5ページ)

また、この記事に関連して以下の疑問もあります。

(1)ラテンアメリカ諸国における、資源の再分配とはどのように行うのか?
(2)ラテンアメリカにおける「資源再分配の失敗」とは、何か?
(3)「資源再配分の失敗が産業内生産性の上昇を帳消しにしている。」とはどういう意味か?

どなたか一つでもいいので答えていただけると助かります!

A 回答 (2件)

南米の実態にも、経済学にも、私は詳しくありません。


 
関西学院大学国際学部高阪章教授の新聞コラムは、「長期デフレから日本が脱出するには産業構造の変化が必要だ」と、日本の60年前後の高度成長期と発展途上国とを例に挙げて説明し、日本の現状で産業構造の変化をもたらすには、産業間の資源再配分を阻害している現状の政策的規制を変える必要があること、それが日本経済再生のカギになると言っているようです。
 
この主張のポイントは、(1)労働生産性(資本生産性も含むのかな)は一時期の一国・一地域をみても同じではないこと、(2)生産性が低いところから生産性が高いところに労働力(や資本)を移動させることで、その社会全体の生産性があがり経済を成長軌道に乗せることができる、との二点のようです。また横道というか補足で、需要が伸びないと生産や販売は意味がないので、生産性の高いところに労働力も資本もシフトできないこと、そういう状況があるときには生産性の低いところに資源を配分し底上げさせることで、長期的な視点で国民経済を厚生に向け、持続的成長を期待できるようにする施策もあると書いてあるのだと思います。
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このコラムの中の記載の意味の、私の推定です。
「発展途上国の場合、生産性の絶対水準が低いだけでなく、産業間の生産性格差が大きく、産業間で資源再配分を行うだけで先進国並みの所得水準に追いつけるほどだ」
アジアの発展途上国など場合、先進工業国向けの工場製品の製造関連の生産性は、農業などの生産性よりも遙かに高いのでしょう。農業人口を工業に回して輸出で稼げれば、国全体は先進国並みの所得水準を期待できるということでしょうか。中国の最近10年の状況を思えば、そんな感じもします。日本も田舎から若い労働力を集団就職などで移動させ工業生産で高い生産性を実現させることで戦後の経済復興や高度成長を果たしました。なお、私は、アジアの発展途上国の国内各産業の生産性がどの程度なのか、全ての低生産性産業から資源を高生産性産業に移動させてその生産物を販売するとなった場合に国際的にどのような事態が想定できるのか、発展途上国の所得・生活水準が先進国並みになったとして世界のエネルギー資源その他がどうなるのかなどを知りません。このコラムで書いてあることが妥当かどうかわかりません。
http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa198101/b …
http://www.cap.or.jp/~toukei/kandokoro/html/03/0 …
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/ …

「ラテンアメリカなど多くの中所得途上国では、資源再配分の失敗が産業内生産性の上昇を帳消しとした」
ラテンアメリカでは、産業内で事業主体別の生産性格差はとても大きいそうです。同じ農業や製造業の中でも大企業と零細事業者では使用している設備、労働力の質も相当に異なり、産業内生産性はまったく違うそうです。ラテンアメリカでも高い生産性を獲得している事業者は、先進国との取引でも収益を上げています。
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/R …
http://www7a.biglobe.ne.jp/~hakatabay/tvsyoukai3 …
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/ …
一方、産業内での格差の縮小はまったくうまくいかないので、高生産性事業者が事業を伸ばし続けても、それはそれだけで終わってしまい、その国の産業全体や社会全体の成長、経済発展、一人あたり所得レベルに向上には繋がっていないらしいです。
うまくいっていない状態、格差の大きさ、その原因などは色々とあるようです。
http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/okawa/hou …
http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ro …
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/users/nishijima/ERC …
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/users/nishijima/Kok …
 
「資源再配分の失敗」というのか、とにかく階層や知識技能、既に存在している蓄積や組織の差は巨大で、政府や行政の志向とか、住民の生活感情とか、教育や医療、インフラに関わることも色々あって、移動や参入、交替がうまくいかないことは確かなようです。もちろん規制や法制度で、現状の権益を守るということが、既に高い収入を得ている人にとってだけでなく、周辺の多数の人にとってもとても大事であるように感じられているということはあるはずです。政府、公務員、大金持ちとその取り巻きが悪であるという単純な発想では、おそらく事態改善の糸口も見つからないでしょう。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ro …
腰を据えた地道なことをしないと、経済の計算だけではうまくいかないのだと思います。
http://home.hiroshima-u.ac.jp/cice/hirota.PDF
 
住民の大部分に労働意欲と勤勉さ、近代的就業に必要な知識や技能を持たせ、有利な就業先や居住先を選ぶことが可能で、産業や事業でも参入、撤退、事業拡大、事業縮小が経済原則だけで動けるようになれば、社会全体でも、生産性の向上が実現でき、産業間、事業主体間の生産性格差は縮小し、需要も全体として大きくなるのでしょう。そうできれば、経済は活気をもち、住民の経済生活レベルは向上するはずです。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/2009/1211nk/pdf/09 …
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fu …
 
http://www1.tcue.ac.jp/home1/k-gakkai/ronsyuu/ro …
このP6の(最富裕層10%/最貧層10%)の所得比率のグラフ、P12の記載「ボリビア国サンタクルスには日本移住地が2つある。その一つに沖縄系移住者によるコロニア・オキナワがある。この移住地が中心になり周辺部の村落を包含してオキナワ村という地方行政区ができていて、地名もオキナワでボリビア国の地図に地名が載っている。このオキナワ村は約11、000人の人口で村長にはボリビア人がなっている。この村の人口10、000人が貧困層で、1、000人が富裕層、この1、000人のうち800人がオキナワ移住地に住む日系人である。ここの格差の要因は、日系人は移住当初より土地が所有でき、原始林を開墾し熱心に働いたことにより裕福になったといえ、ボリビア人はあまり労働に熱心でないこと、また、その日の生活ができれば十分と考えているようで、格差が生じたといえることが現地調査で分かった」とか、
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/users/nishijima/ERC …
このP8~10は重要なのでしょう。
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コラムの主張の主眼は日本の経済回復ですから、ラテンアメリカの事情は直接関係がないのでしょうが、勤勉で自助努力で高所得を得ようとする気風が減り、既存の生活環境で手慣れたストレスの少ない仕事を大事にし、共助、公助、高福祉、平等で生活重視を求めるのが基本の生活感覚や政治になると、「生産性の高いところに労働力を移動させる・必要な知識技能を身につけさせる・就業地は労働需要のあるところに移動して」という政策は難しくなるでしょう。
企業も解雇や雇用、配置転換をダイナミックに行うし、労働者も年々新しい知識や技能を磨き上げ、高所得の得られるところで働くことを追求し続ける社会でないと、高生産性のところに資源再配分していくことを目論む経済政策もうまくいかないように思います。
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私はラテンアメリカ経済の専門家ではないので、具体的なことはわかりませんが、引用されている記事の意味はわかります。


まず注意しておきますが、「分配」と「配分」は英語で言うと、distributionとallocationの違いで、意味が少し違います。新聞記事では資源「(再)配分」となっているのにあなたご自身の文では資源「(再)分配」となっています。ここで、資源とは労働、資本、その他自然資源等を指し、ラテンアメリカでは産業間の生産性格差が大きく、ある部門(産業)では生産性が非常に高い一方、他の部門・産業では非常に生産性が低く、そこに労働・資本が集中しているという事実が(新聞記事によれば)あるようです。したがって、生産性の低い部門を縮小して、そこで使われていた資源を生産性の高い部門へ移動させるような政策をとれば、つまり資源の再配分を行えば、経済全体の生産性は高まり、国民の所得水準は高まるはずです。経済全体の生産性は各部門の生産性の加重平均であり、一国の平均所得水準は一国全体のの平均的生産性をによって決まるからです。
(1)ラテンアメリカにかぎらず、資源がなぜ生産性の高い分野に移動しないかというと(この事実は日本でも同じ)、たとえば厳しい政府の規制があって、資源が生産性の高い分野へ移動しないといういうことが考えられます。したがって、そうだとすると、資源再配分の重要な政策の一つは規制緩和で、規制緩和によって生産性の高い分野へ、あるいは成長産業へ資源を向かわせることができます。
(2)しかし、規制緩和は規制から恩恵を受けている産業からの反対が強く、実行が難しいのも事実です。規制緩和を行えば、経済全体の生産性を高めることは分かっていても、ポピュリスト(大衆迎合的)の政府では規制緩和は行えません。日本でもTPP協定への参加に根強い反対があることはなぜだか考えてごらんなさい。
(3)資源が生産性の高い分野への移動がなければ、ある一部の分野で生産性が上がっていても、資源の各部門への配分が変わらなければ、一国全体の生産性への影響は限られている、ということです。
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