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単細胞生物である原生動物(アメーバーやゾウリムシ等)にも、刺激反応的活動の中に感情(情動emotion)の原理が含まれている。それは原生動物の活動を観察すれば、環境刺激に対する反応様式が定型的であったり、刺激の強弱によって異なり、また反応様式が記憶されることからもわかる

とあったのですが特に、環境刺激に対する反応様式が定型的 反応様式が記憶される ことが感情の原理に含まれるのはどうしてでしょうか?

A 回答 (2件)

こんにちは。


#1です。回答をお読み頂きありがとうございます。
生理反応が情動を引き起こすのではありません。環境からの入力によって大脳辺縁系に発生した情動反応が状況に応じた適切な生理反応を選択します。このように、情動反応の結果が自律神経を介して身体に表出されることを「情動性自律反応」といいます。
我々はこのような生理的変化を体性感覚のフィードバックとして知覚します。そして、そこで初めて自分に何らかの感情が発生したことを自覚し、状況判断を踏むことにより、それが喜怒哀楽、如何なる感情であるかを分類・認知することができるわけですが、これを大脳皮質における「情動の原因帰結」といいます。ですから、自分は泣いているから悲しいということになるわけですね。そして、大脳辺縁系が我々の情動の中枢であることが解剖学的に判明したことにより、J.ランゲに端を発する長年の論議には既に一応の決着が付けられたことになっています。

感情の機能が環境との相互作用によって発達してきたものであることはほぼ間違いありません。我々の祖先は繰り返される環境からの刺激に対し感覚と運動の間に中継細胞を設け、そこに学習機能を発達させました。これにより、より柔軟な環境適応能力を獲得したことは系統発生的に記録されています。但し、これも飽くまで進化の結果であるため、言うまでもなくひと世代で適うことではありません。
前回から気になっていたのですが、生物が新たな能力を獲得するためには学習ではなく、進化が必要です。微生物は環境からの刺激を記録し、とありますが、これではまるで、本能行動(無条件反射)は遺伝情報に従うものであり、生後環境においては絶対に改変されないという前提と真っ向から矛盾することになります。
私も微生物における心の発達という記事は何処かで読んだこともありますが、それは個体が生後に学習するのではなく、環境に応じた反応の進化がコロニーの特徴として反映されるということではないでしょうか。果たしてそれならば感情の原点として扱うことに吝かではありません。但し、実際にはどういう仮説なのか私は良く知りませんが、何れにしましても、この辺りは恐らくもう一度きちんと調べ直してみた方が良いのではないかと思います。
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この回答へのお礼

詳しい説明ありがとうございました。

お礼日時:2013/09/18 17:03

こんにちは。


神経接続を有する多細胞生物の行動は以下のように分類されます。
「本能行動:入力―本能中枢(脳幹~脊髄)―出力(本能行動)」
「情動行動:入力―情動中枢(大脳辺縁系)―出力(学習行動)」
「計画行動:入力―理性中枢(大脳新皮質)―出力(知能行動)」
このように、多細胞生物では入力と出力の間に必ずや「中継中枢」が存在します。そして、我々高等動物に於いては大脳皮質が発達しており、この三系統の神経接続が並列に機能しています。
これがどういうことかといいますと、本能行動の反応様式といいますのは生得的に定められたものであり、生涯に渡って変更することはできません。ではそこに、学習機能を有する中継中枢を介したバイパス回路が並列で働くため、我々は生後体験を基に本能行動として定められた以外の多彩な反応や行動を習得することができます。

単細胞生物に於いては入力と出力が直結しており、そこに中継細胞やバイパスは存在しません。ですが、生後体験に基づく反応の様式がそこに記録されるというならば、この点に関しましてはそれが学習行動であり情動であるという見解もあるかも知れません。
では、我々が生後環境において苦痛という刺激を体験したとします。これに対しましては全ての生物が回避行動を選択しますが、情動機能を有する動物はそこに「恐怖」という感情を学習します。そして、この恐怖という感情が発生することにより、次からは実際に苦痛を与えられる前に回避行動を選択することができるようになります。
同様に、単細胞生物が苦痛という刺激を学習し、固定したとしますならば、それ自体は生後体験に基づく情動の習得と呼ぶことはできるかも知れません。ところが、その学習結果は実際の反応には反映されるかも知れませんが、感情中枢を持たない単細胞生物においては苦痛を与えられる前に情動反応を発生させ、これを回避するということは絶対にできません。

纏めますと、単細胞生物にも生後体験における結果を記憶し、反応に反映させることができるということですから、それを情動学習の本質と考えることが可能であるということですね。ですが、これでは苦痛を与えられる前に回避行動を選択することはできません。このため、それはここで述べる我々の感情というものの最も重要な役割と比較しますならば、果たして全く掛け離れたものであると考えます。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。情動中枢というお話があったのですが、ジェームズ=ランゲ説のような泣くから悲しい という説は生理的反応(泣く)が入力になって情動中枢に伝わるというイメージでしょうか?

こういった説は生物的にはどうなのでしょうか?身体心理学という分野では単細胞生物を例にし、こころの起源を末梢に還元し、外皮系での環境からの刺激を記憶し、次に効率良く対応するためにこころを発達させてきた。という説明がされています。回答者様はこういった説はご反対でしょうか?

補足日時:2013/09/18 00:36
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