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学識あるドイツ人が書いた文章を読んでいたら、 im höchsten Gradeという記述に出会いまして、
一瞬、複数形で in der höchsten Gradeの間違えかと思いましたが、Gradの複数形はGradenであることが辞書で分かり、加え、 im höchsten Grad(e)と気住されており、語尾にeをつけることがあるとわかりました。

そこで質問です。
男性名詞 三格の語尾に e をつける書き方はどのような場合にするのでしょうか?
名詞ごとに可、不可がきまってるのでしょうか、それともどの男性名詞でも三格の語尾には e をつけることがあるのでしょうか。
また男性弱変化名詞との関連はあるのでしょうか。

ドイツ語の語形変化に知見のある方よりアドバイスいただけるとありがたいです。

質問者からの補足コメント

  • あらためて辞書を確認しましたら、Gradの複数形はGradeでした。
    すると、複数形の定冠詞の三格で in der höchsten Gradeとしないと文法的には誤りであるということになりますか?

      補足日時:2019/10/20 11:10
  • × 気住されており、
    ○ 記述されており

      補足日時:2019/10/20 12:57

A 回答 (1件)

ここはもう質問が出ないので、三か月ほど前から回答をやめてあまり見ていませんが、


たまたま気がついて、このまま無回答が続きそうなので、久しぶりに回答します。

3格の語尾 –e は、古形が慣用句などに部分的に残存しているだけで、文法規則によるものではありません。
それよりもまず、初級文法から。

複数3格の定冠詞は der ではなく den です。そして、複数形名詞3格の語尾には –n が付くのもお忘れです。

単数3格
im höchsten Grad(e)
複数3格
in den höchsten Graden

結構長くドイツ語をやっている人、留学したような人でさえも、
Grade という綴りで女性単数名詞を連想するのか、これと複数形が混乱して、
in der höchsten Grade などとうっかり書く人がいるので注意。
それから、弱変化名詞とも関係ありません。弱変化名詞は御存じでしょう。たとえば Student。
単数でも複数でも、3格の語尾は –en、もしくは、名詞が –e で終わっている場合は –n。

単数
der Student
des Studenten
dem Studenten
den Studenten
複数
die Studenten
der Studenten
den Studenten
die Studenten

der Bote(使者)も弱変化名詞なので、単数3格は dem Boten です。
単数3格の語尾が –e になるのは強変化名詞の方です。

本題ですが、3格のこのような語尾に今まで気が付かれなかった方が不思議です。
Grad 以外にも、3格で語尾 –e が付きやすい語はいくつかあります。
ドイツ語を初めてすぐに覚える慣用句にも、zu Hause というのがあります。
慣用句だからそのまま暗記するだけで、そのまま理由は考えないものですが、
Haus は中性名詞で、3格では im Haus, aus dem Haus と、現代では –e を付けないのが普通です。

ドイツ語ではかなり早くから冠詞が使われてはいますが、最初期には冠詞は存在せず、
格を示すには、ラテン語と同様、名詞の語尾を変化させていました。
古高ドイツ語ではすでに冠詞がありますが、名詞の語尾はまだ残っています。
ただ、強変化名詞の単数は、現在の活用とほとんど同じ。

der Gast(客)の単数の活用(大文字表記はまだありません)
der gast (= der Gast)
des gastes (= des Gastes)
demo gaste (= dem Gast)
den gast (= den Gast)

ちなみに複数形は、現在とはだいぶ様子が違います。

dia gesti (= die Gäste)
dero gestio (= der Gäste)
dēm gestim (= den Gästen)
dia gesti (= die Gäste)

格の表示は次第に冠詞だけに任されるようになり、名詞の語尾は消滅していきますが、
男性・中性の2格や複数の3格などに残りました。
単数3格の語尾 –e も、慣用句など一部に残っています。
普段ドイツ語の書物に触れていると、単数3格の –e は、20世紀前半までは結構残っていたという印象です。
実際、Google Books Ngram Viewer を使って、現在の標準形と古形の使用頻度を比較してみると、
大半はやはり1950年ごろを境に入れ替わっています。
例えば、dem Kinde という書き方は古い書物や詩でよく見ますが、その使用頻度は、
1960年ごろには dem Kind に抜かれています(Ngram の数値はあくまでも大まかな参考にすぎませんが)。
https://books.google.com/ngrams/graph?content=de …

im Grad と im Grade を比較してもだいたい同じ。
https://books.google.com/ngrams/graph?content=im …

しかし、aus dem Wege という慣用句になると、aus dem Weg に抜かれるのはだいぶ後で、
現在でもかなり使用頻度は高いという結果です。am Tage と am Tag も似たような結果が出ます。
https://books.google.com/ngrams/graph?content=au …

このように、20世紀前半までは、単数3格の語尾に –e がまだかなり使われており、
19世紀まではこちらの方が標準なので、vom Gelde や im Buche などいくらでも出てきますが、
現代ではこれらはもうほとんど使われないと言ってよいでしょう。

しかし、「感覚」「考え」「意義」などを意味する男性名詞 Sinn には、
「その意味で」「この意味で」に当たる in dem Sinne や in diesem Sinne という慣用句があり、
これは現在でもこちらが標準です。
https://books.google.com/ngrams/graph?content=in …

「法律の精神にのっとって」などと言うときも im Sinne des Gesetzes ですが、
それ以外の普通の文章中では Sinn が標準となっています。
aus dem Sinn kommen(忘れる)とか、nach dem Sinn fragen(意味を問う)などです。
「田舎に」という意味の慣用句 auf dem Lande も同様で、今でも Lande が多く使われています。

古形というのは格調高い表現で、文章語では今でも随時使われます。
『風と共に去りぬ』のドイツ語訳は Vom Winde verweht です。
日常会話で「風に飛ばされる」なら vom Wind verweht で問題ありませんが、
Win-d verweh-t と t音が繰り返されるよりも、Winde verweht の方が響きがよいということはあります。

Vom Winde verweht
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I …
vom Wind verweht
https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/no …

im höchsten Grade という言い回しも同様で、現在でも Grade の方が Grad より多い傾向があるように見えます。
間に höchsten が入らないと、im Grad の方が im Grade より多いのは先ほどの Ngram の統計どおりです。
時には、同一の著者が同一の書物の中で im Grad と im Grade の両方を使っていることもありますが、
使い分けの理由はほとんど見出すことができません。
前置詞 von を使った場合では、間に序数が入った場合などに、vom ersten Grade の形の方が多くなるようです。


文法で分けられるようなことではないので、上記のような内容になりましたが、多くの使用例を見るしかないかと。
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この回答へのお礼

有難うございます。

ご指摘のとうり、複数形と女性形を混同しがちです。
基礎ができていないのに難しい論文を読んで苦労しています。

zu Hause
im Sinne
は知っていました。言われてみると知ってたという感じです。

読むだけで、自分で書いたり、話したりする事はないので、細部がわからないままになってしまいました。

今回の疑問に関しては、慣用的にeを付ける表現がいくつか残っているという事で了解しました。

コーパス言語学は専用のコンピュータ環境が使えないとできないものと思い込んでいましたが、Googleはパブリックドメインで素晴らしい情報を提供しているのですね。
こちらも少し使える様になりたいと思いました。

重ね重ね、詳細かつ包括的なご回答に感謝いたします。

お礼日時:2019/10/21 00:20

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