1. ニーチェは ソクラテスの理知的な《よく生きる》については こころよく思っ
ていなかったでしょう。たしか エウリピデスが ソクラテスの考え方を悲劇に組み込
んだといって怒っていたような。
2. 或るひとつの――問題提起のような・したがって分かりづらい――ニーチェ小論
があります。これをまづ掲げます。
3. ◆ (ニーチェの《生きる》からソクラテスのそれへ) ~~~~~~~~~~
4. ニーチェの思想に対抗するなら ソクラテスの思想になると思います。
5. 「それはつまり、大切にしなければならないのは、ただ生きるということではな
くて、善く生きるということなのだというのだ。」
この「善く生きる」でしょう。
6. ソクラテスの自殺。
7. もしくは無理やり仏教の話題を出すなら ブッダである、サーリプッタの自殺。
8. 長生きしたゴータマ・シッダッタよりは サーリプッタのほうが、生への執着を
断っていると思います。
9. このヨーロッパとインドの自殺。
10. 善く生きるなんて言ってソクラテスは自殺した。さすがアイロニーの使い手の
ソクラテス。
11. 結論が自殺なんですから。ソクラテスの思想は難しいですね。
12. ☆ (上記への或る応答) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
13. おおきな主題を投げ入れてもらいました。
14. てめえで考えよというところも 結果的にあるようですが それはわたしはい
ぢわるですからハッキリと言っておきますが:
◆ (10) 善く生きるなんて言ってソクラテスは自殺した。
◆ (11) ソクラテスの思想は難しいですね。
☆ というふうに触れておられるからには ご自身もこの主題を立てつつさらに問い求
めるという姿勢でいられるものと思います。
15. そうですね。ボールはこちらのコートに入ったからには これはねじり鉢巻き
で打ち返さねばなりませんね。
16.ニーチェにおいて《生きる》とは? ソクラテスの《善く生きる》とは?
17. ● (渡邊二郎:補論 ニーチェ――生きる勇気を与える思想)~~~~~~~~
18. もうひとつ 『悦ばしき知識』におけるニーチェのもっと恐ろしい言葉を掲げ
よう。
19. ☆註 《もっと恐ろしい》というのは 次の《恐ろしい言葉》の指摘のあ
とを承けているからです。
《小さな復讐は たいていの場合 まったく復讐しないことよりも
なにかいっそう人間的なものである》
( Eine kleine Rache ist zumeist etwas Menschlicheres als gar
keine Rache. )
(『ツァラトゥストラ』I 《まむしのかみ傷》)
20. 《生きる( Leben )》とは何かと言えば それは:
《死のうとする何ものかをたえず自分から突き放すこと》
( fortwaehrend Etwas von sich abstossen, die sterben will )
である。
21. したがって:
《われわれの持つ 否われわれだけが持つばかりではない あらゆる弱化
するもの 老化するものに対して 残酷で仮借ない態度を取ること》
( grausam und unerbitterlich gegen Alles sein, was schwach
und alt an uns, und nicht nur an uns, wird )
である。
22. それゆえ《生きる》とは:
《死んでゆく者たち 哀れな者たち 年老いた者たちに対して 敬虔な念
を持たないこと》
( ohne Pietaet gegen Sterbende, Elende und Greise sein )
ではないのか
23. それなのに 老いたモーセは 《汝 殺すなかれ!》と言ったが それは矛
盾ではないのか と ここでニーチェは仮借なく鋭鋒を振りかざして しかも問題の
矛盾点を指摘したまま ぷっつりと断想を打ち切ってしまうのである(『悦ばしき知
識』26)。
(渡邊二郎編解説:『ニーチェ・セレクション』 2005 pp.302 )
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
24. 論者の言おうとするところは ニーチェが恐ろしく過激な言い回しを用いて
いるが 真意はそこにはない。でしょう。
25. そう見ておいて たしかにニーチェも《生きる》ことについて考えを述べて
いるとしましょう。
26. 論文(3)の主眼点は しかももしたとえその定義をふくむ議論を受け容れ
たとしても なおその上に問題は《善く生きる》という主題がわれわれ人間には持た
れているのだ。にありましょうか?
◆ 5.「それはつまり、大切にしなければならないのは、ただ生きるということで
はなくて、善く生きるということなのだというのだ。」
27. 《善く生きる》には 《自死》を避けることがむつかしいか?
28. しかも・しかも 《善く生きる》とき人は この人間の社会にあっては《自
死》というかたちを取ることさえあるというのか?
29. 自死が 《アース役》を超えるか? といった主題なのだろうか。
29-1. 幼い時からの親友でゴータマ・ブッダの同輩弟子であるマウドゥガリヤ
ーヤナ(モッガラーナ)が死に臨むとき シャーリプトラ(サーリプッタ)は 《死
のうとする何ものかをたえず自分から突き放すこと》をせずに 自死をえらんだのか?
29-2. それとも そのときには《死んでゆく者たち 哀れな者たち 年老いた
者たちに対して 敬虔な念を持たないこと》を実行し その考えをみづからにもおよ
ぼしたのか?
29-3. あるいは もうそのときには じゅうぶんこの世を見たのだ じゅうぶ
ん過ぎるほどわれは生きたと捉えたということなのか?
29-4. マウドゥガリヤーヤナにしても かつて間違った考えを持った人たちに
そのマチガヒを指摘したことの恨みを買って とうとう攻撃を受けたとき それは
受けねばならないとさとって相手の暴力を甘んじて受けたというのは シャーリプト
ラと同じような心境だったのか?
29-5. それにしてもゴータマ氏は 自分の寿命のことについて話をしたとき弟
子のアーナンダがそうではなくもっと説法をつづけてくださいと言うべきところを言
わなかったそのことを うらみつつ 死地に就いた。寿命を延ばすことも出来たが
アーナンダの振る舞い(師匠への無反応)があったから もう生き続けない・つまり
自死をえらんだ。というのかどうか。の問題。(大涅槃経)
29-6. おそらくアブラハムが長子イサクをいけにえにささげるという考えを持
ったとき 大錯乱に落ち入り迷いに迷った挙句に得た結論。
《人は他人(ひと)をもおのれをもころさない》。
理屈抜きにと言うべきか。公理と言うべきか。これが 人間の自由だと言うべきか。
29-7. ちなみにモーセはこのアブラハムの心なる《非思考の庭(信仰)》に火
花を散らしたヒラメキの中身を:
《なんぢ ころすなかれ》
と言いかえたのである。倫理規範としたのだ。このオシへなる形態とシンジルかたち
とは別である。
29-8. ソクラテスの場合は けっきょく自分の弟子にあたる人間ふたり(アル
キビアデスら)が戦争等でアテネの町に害を及ぼしてしまった。人びとはその教師ぶ
りをうたがってとがめた。ソクラテスは――先ほどのマウドゥガリヤーヤナの場合で
はないでしょうが―― このような自分の仲間としての弟子たちにしろ一般の市民た
ちに向けてにしろ《あしき教師振り》の咎めを受けそれを受け容れ 死刑のさばきに
も甘んじた。ようである。
29-9. それが 《善く生きる》であったか?
29-10. そうであったにしろ異見があるにしろ アテネの町の人びとにおいて
さらにさらに熟慮を持たせ得たのだったかどうか。余地があったとしてもそれをもう
シャーリプトラのごとく 打ち切ったのだろうか?
30. ● (21) 《われわれの持つ 否われわれだけが持つばかりではない
あらゆる弱化するもの 老化するものに対して 残酷で仮借ない態度を取ること》
☆ これは 《あらゆる弱化するもの 老化するもの》というのは 《歳を取ること
においていわゆる自然(社会的自然)に反する考えや振る舞いをおこなうことによっ
てシガラミを増し加えるかのごとく現われて来る老弱化のこと》であると採ればよい
のか?
31. つまり《者》つまりその老化する人間に対して《残酷で仮借ない態度を取る》
のではなく そうではなく 要するに考えと行動について自然(ないし人間の自由)
に反するようなマチガヒに対して容赦なくこれを捨てるということ。
32. そのマ(間)の違いをおのれの内面において捉えこれを自然本性への反逆と
して(ないし人間の自由への違反として)みづから批判しこれを内的に棄てるという
こと。であればよいのか?
33. こんな結論では おとなしすぎます。ですが おあとがよろしいようで。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
34. ニーチェ擁護の《応答》(12= 13~33)は 失敗しましたよね?
A 回答 (6件)
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No.6
- 回答日時:
ニーチェの生きるは、生存本能にかかわる方向への地滑りが起きた段階のもの。
ソクラテスのよく生きるは、そこまでの地滑りが起きないようにするもの。
時代が未熟なほど地滑りになりやすく
そうしたレイズの波状攻撃によって
人として限界のある身に過ぎないソクラテスは
対応しきれずに毒杯へと追い込まれた。
ニーチェも地滑りに飲み込まれたが
時代が進歩した分の議論は時代の臨界点としてはし尽くした。
そういうことなんだろうと思います。
ご回答をありがとうございます。(お応え 遅れてしまいました)。
★ ニーチェの生きるは、生存本能にかかわる方向への地滑りが起
きた段階のもの。
☆ 生存本能の段階にまで降りて行った・・・というようなことで
しょうか。
たしかに そのような地底にあって 感覚の勝負といった思考(?)
かどうかも分からない反応をしめしたものであるような。
★ ソクラテスのよく生きるは、そこまでの地滑りが起きないよう
にするもの。
☆ 理知的ですね。ときには論理的に過ぎるかのような。
★ ~~~~
時代が未熟なほど地滑りになりやすく
そうしたレイズの波状攻撃によって
人として限界のある身に過ぎないソクラテスは
対応しきれずに毒杯へと追い込まれた。
ニーチェも地滑りに飲み込まれたが
時代が進歩した分の議論は時代の臨界点としてはし尽くした。
そういうことなんだろうと思います。
~~~~~
☆ ううーむ。
ソクラテスは №1のお礼欄に書き込みましたように 弟子のアルキビア
デスらがぺロポネソスネ戦争を敗戦にみちびいたことなどを咎められ そ
の責任を負ったという一面もあるようです。
ニーチェについては どうもすっきりしません。
《地すべり》からあたかも生還したように 自己表現をおこなっている。
ように見えます。
果たしてそうか? と思うのですが――うたがっているのですが―― ど
うもはっきりしません。
わたし個人としては かれの《生きる》の定義についても なお腑に落ち
るところまでは行きません。(あしからず)。
No.4
- 回答日時:
~~~~~~~~~
コロナウイルスが流行ってる中、ノンストップラビットか言うバンドの人大河
よいことを書いているようd素。
よく生きているのでしょうかね。私は全然sのですが。
No.1
- 回答日時:
よく生きる、生きるは、自分のより良い死に様まで、そこに含まれているのでしょうね。
ソクラテスは、アテナイの若者に哲学議論を吹っ掛けて、若者に良からぬことを吹き込んだとして、投獄されたんですよね。お弟子さんが逃亡を促しても、彼は良しとしなかったですね。彼の人生はアテナイのなかでの人生以外のことは考えられなかったので、処刑される前に、薬で死に至るわけですね。自分でより良い生き方=死に方を全うしたかったのでしょうね。ご回答をありがとうございます。
★ よく生きる、生きるは、自分のより良い死に様まで、そこに含まれて
いるのでしょうね。
☆ この命題は 具体化して敷衍することがのぞまれましょうね。
〇 ソクラテスの死
☆ については 通説をしるしておられます。アルキビアデスら弟子の不
祥事について ソクラテスは師匠であった自分が責任を負った。というの
は 次の解説にあります。
▲ (ヰキぺ:ペロポネソス戦争) ~~~
§ 3 影響
§§ 3.1. ソクラテスの弁明とアナバシス
・・・共和制政権のもとでは、ペロポネソス戦争敗戦の原因となったアル
キビアデスや、三十人政権の指導者のクリティアスらが弟子であったこと
から、ソクラテスがアリストパネスらによって糾弾され、公開裁判にかけ
られて刑死した
~~~~~
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