
太宰治の『美男子と煙草』で
「そのウイスキイは甚だ奇怪なしろものでありました。私も、これまでさまざまの怪しい酒を飲んで来た男で、何も決して上品ぶるわけではありませんが、しかし、ウイスキイの独り酒というのは初めてでした。ハイカラなレッテルなど貼られ、ちゃんとした瓶でしたが、内容が濁っているのです。ウイスキイのドブロクとでも言いましょうか。」
という部分がありますが、この文脈で『独り酒』の意味は何ですか。確かに一人でウイスキイを飲むのは初めてだと言いたいんですけど、太宰のような酒飲みならそれはあり得ないと思います。どう思いますか、皆さん?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
その当時の混乱した世相、闇市・バクダン・カストリなどを思い浮かべてください。
粗悪な密造酒(酒税を逃れるため)が横行していました。バクダンは軍需品だった工業用アルコール(メチルアルコールを含み飲用不可)を横流ししたような物で、失明や急死の危険さえありました。カストリは酒粕から取ったと称しながら原料は不明で、とにかくバクダンほど危険じゃないと言われました。
粕取り焼酎というのは今でも(本当に酒粕から蒸留した良質なものが)ありますが、戦後のドサクサ時代は仲間と「これ大丈夫だよな、メチル入りじゃないよな」と体調が急変しないか確認し合いながら飲むものだったようです。
ましてや、当時の日本人にウイスキーの味・香りは(焼酎ほど)分かりませんから、混ぜ物にも気付きにくかったでしょう。独りで飲んだら、メチルに当たったときに助けがありません。
「ハイカラなレッテルなど貼られ、ちゃんとした瓶でしたが」、中身は密造酒ではないかと疑っていたわけです。
ありがとうございました!お蔭様でこの文に隠している様々の事情と感情をよく分かりました。普通のように見える文にもこんな深さがあるんですね。本当にありがたいです。
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