
スポーツ科学に携わっています。
興味で、人は1日どの位のATPを消費しているのか知りたくなりました。
しかし、上手く計算が合いません。
計算を単純化するため、
成人男性のエネルギー源をグルコースのみとしました。
活動的な成人男性の1日の消費カロリー: 2,500 kcal/day
グルコース1g当たりのカロリー数: 4 kcal/g
グルコースの分子量: 180 g/mol
→ 1日あたりの必要なグルコース量: (2500/4)/180 = 3.5 mol/day →①
グルコース1分子あたりのATP合成量: 32 ATP(C6H12O6 + 6O2 →6CO2 + 6H2O + 32ATP)
(※ 30 ATP, 34 ATPの場合などありますが、ここでは気にしないことにします)
1日に必要なATP量: 32*3.5(①) = 111 mol/day
ATPの分子量: 507 g/mol
1日あたりの 延べATP消費量: 507*111 = 3,702 g/day
したがって、
活動的な成人男性が1日に消費するATPは、延べ 3.7 kg。
…と計算できたのですが、
ATP → ADP + Piで生じるエネルギー量: 7.3 kcal/mol
と知って、先ほど求めたモル数を使って逆算すると、
1日消費するATPから発生するエネルギー: 7.3*111 = 810 kcal
となり、1日の消費カロリー2,500 kcalの3分の1程度の数字しか出てきません。
どこが間違っているのでしょうか?
ご教示いただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
私はスポーツ科学は専門外なので、計算方法などの指摘はできませんが、かわりにハーバードとMITで学んだ神経生物学者で生化学者の、クリス・シューベルト氏のエッセイをご紹介します。
https://blossoms.mit.edu/sites/default/files/vid …
この中で彼は、体重70kgの成人は1日に約69kgのATPを消費すると述べています。
>ddeanaさん
ご回答ありがとうございます。
シューベルト先生のエッセイ読ませていただきました。
(この資料がパッと出てくるのすごいですね)
その中で、
トリビア的に面白いものや、
・ひとつひとつの細胞が、10億のATP分子を持つ
・呼吸で生産されるATPの90%は、酸化的リン酸化に由来する
・ATPは1g $20なので、体重70 kgの成人が消費するATP 約69 kg/dayに価格をつけたら、約$1,400,000になる
エネルギー計算に重要そうなものまで、
・ATP→ADP+Piの加水分解で生じるエネルギーは、11 - 13 kcal/mol
(↑教科書的な、7.3 kcal/molとは異なるようです)
・グルコース1分子のエネルギーの内、約40%がATPに変換される
など、面白い記述を見つけられました。

No.4
- 回答日時:
解糖系からは、確かにグルコース1分子から差し引き32個のATPが合成されます。
但し、そこから脂肪酸(パルミチン酸)のβ酸化、クエン酸回路、電子伝達系、酸化的リン酸化による一連の反応が起きるので、実質はグルコース1分子から106分子のATPが産生される計算になりますね。
なので、810kcal×(106/32)=2600kcalとなり、大体合ってると思います。
追加のご回答ありがとうございます!
パルミチン酸C16が106ATPなのは、
パルミチン酸のアシル化に-2 ATPで、
β酸化が7回で、
アセチルCoAが8分子(10 ATP/アセチルCoA)
NADHが7分子(2.5 ATP/NADH)
FADH2が7分子(1.5 ATP/FADH2)
C16 = 8 アセチルCoA + 7 NADH + 7 FADH2 -アシル化
= 8*10 + 7*2.5 + 7*1.5 - 2
= 106 ATPなのは、そのとおりなのですが、
グルコースはグルコースで、
↓解糖系
↓クエン酸回路
↓電子伝達系
脂肪酸は脂肪酸で
↓β酸化
↓クエン酸回路
↓電子伝達系
で、それぞれ別経路なので、
グルコースから106ATPはちょっとちがうかな…と思います…
ごめんなさい…
ただ出していただいた、
パルミチン酸C16 256.4 g/mol、と
ステアリン酸C18 284.48 g/mol、
ATP → ADP + Pi 7.3 kcal/mol
で単純化して計算すると、
それぞれ、
838 kcal/day
855 kcal/day
となって、
グルコース(810 kcal/day)と同様に、
基礎代謝量にも足りないエネルギー量になります。
何か見落としている要素があるのでしょうか。

No.3
- 回答日時:
実際に合成・消費されるATPの量は、1日当り約49kgです。
(細胞1個あたりのATP消費量は約0.83ng)
これから計算すると、ATP → ADP + Piで生じる全エネルギー量は、約700kcal程度です。
これは、主に筋肉を収縮させる為のエネルギーなので、まあまあ700~800kcalで有って、いい線行ってます。
残りは脳のエネルギー+肝臓の化学反応に必要なエネルギー+体温生産です。
これが全体の約60%を占めます。
>t_fumiakiさん
ご回答ありがとうございます。
①ATPの消費エネルギー
上の507*111を、なぜか507*7.3(ATP加水分解の発生エネルギー)で計算してました。
修正したところ、
・活動量2,500 kcal/dayの人がが1日に消費するATPは、延べ 56.3 kg
でした。
no.1に頂いたエッセイだと、
・体重70kgの成人は、1日に約69kgのATPを消費
とのことで、いずれにせよ数十kg単位で消費しているようです。
ですが、
69kgだとしても、
69kg-ATP/day-70kg-body ÷ ATP分子量507.18 g/mol × ATP加水分解発生エネルギー7.3 kcal/mol
=993 kcal/day-70kg-body
となり、ATP由来のエネルギーが1000kgで、
基礎代謝量(仮に1500kcal/day)にも足りない量です。
筋肉、脳、肝臓、熱発生、各種細胞内化学反応(酵素のリン酸化など)、
どれもATPに由来すると考えると、おかしなことになります。
前提の、ATP加水分解(ATP→ADP+Pi)の
発生エネルギー 7.3 kcal/mol の前提が間違ってるのでしょうか?
②細胞1つあたりのATP量
細胞1つあたりのでATP量も面白いですね。
体重70kgの人だと、
体重70kg、身長172cm、30才の人の細胞数が
約37兆個(3.72*10^13 個)*1。
この人が1日69kgのATPを消費するとして、
69 kg ÷ 3.72*10^13 個 = 1.85 ng-ATP/cell で、
1.85 ng/cell ÷ ATP分子量507.18 g/mol = 3.66 pmol-ATP/cell になって、
体重70kg、身長172cm、30才の人が
細胞1つあたりに消費するATP量は、3.66 pmol/day (1.85 ng/day)
と仮に算出できました。
*1 37兆個 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23829164/
No.2
- 回答日時:
単純な計算問題としても, きちんと考えるとかなりややこしそう. 507*111 の計算がおかしいのはさておき調べてみると
・グルコースの燃焼熱は 2800 kJ/mol ていどなので, 実際のところ生じるエネルギーはせいぜい 3 kcal/g くらい (4 kcal/g ってどこから出てきたんだろう)
・摂取したエネルギーのうち ATP 合成に使われるのはおよそ半分くらい (残りは素直に「熱 = 体温」になる, のかな?)
というあたりは出てくるね.
> Tacosanさん
ご回答ありがとうございます。
507*111の部分は失礼致しました。
>グルコースの熱量
食料としての各要素のエネルギー量、
グルコース 4 kcal/g、タンパク質 4 kcal/g、脂質 9 kcal/gは、
教科書的にはよく載っているのですが、
気になったので由来を調べみたところ、
「アトウォーター係数」として、1981年に
「食品組成と利用可能なエネルギーの関係(The Relationship Between Food composition and Available Energy)」(国連食糧農業機関,世界保健機関,国連大学の合同専門家協議)
の発表の中で記述されているようです*1*2。
測定方法としては、
爆発熱量計で求められた各種成分の燃焼エネルギーから、
「糞尿」に含まれるエネルギー量を調べ、
消化可能なエネルギー量(cf. 消化吸収量)、
排出エネルギー量を算出するという、
わりと大変なことをしているそうです。
ただし、
単純化された値のため、
糖なら、単糖:3.75 kcal/g, 二糖:3.95 kcal/g, 多糖:4.15-4.20 kcal/g
脂質は、牛乳脂肪:9.19 kcal/g, 母乳脂肪:9.37 kcal/g
など個別レベルになると差がある他、
係数の開発自体は19世紀後半から20世紀初頭と古いため、
使用については論争もあるようです。
一方で、別の資料では、
直接熱量測定法(ヒトを水に入れて、水温の変化からエネルギー消費量を推定)で測定されたもの、
という記述もあります*3。
出典がないので眉唾ですし、
「熱」でしかエネルギー量を算出してないのであれば、
細胞内のごまんとある化学反応(DNA複製、神経伝達物質の分泌、各種細胞内カスケードで生じるリン酸化などなど)
で消費される分は考慮されていないので、
こちらは問題がある気がします。
>体温
たしかにそうですね。No.1さんの資料から、
・グルコース1分子のエネルギーの内、約40%がATPに変換される
だそうです。
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追記①
延べATP消費量の式はあってるのですが、
答えが何故か別の数字を持ってきてしまいました。
正しくは、
1日あたりの 延べATP消費量: 507*111 = 56,305 g/day
(活動的な成人男性が1日に消費するATPは、延べ 56.3 kg)
です。ただ、
モル数 111 mol/day の計算は合ってるようなので、
依然として、810 k cal問題は残りそうです。
(投稿者です。お礼の文字数をオーバーしてしまったので、補足欄で補います)
(↓お礼からつづき①)
前提知識として、
・活動的な成人男性の1日の消費カロリー: 2,500 kcal/day
・グルコース1g当たりのカロリー数: 4 kcal/g
・ATP → ADP + Piで生じるエネルギー量: 7.3 kcal/mol
を設定しましたが、そもそもこれらが
どんな前提で算出されたのかまで
調べないといけなさそうで、
意外と根が深そうです。
(↓No2さんのお礼からつづき②)
ヒトの活動エネルギーは、
基礎代謝量 x 身体活動レベル + 食事誘発性熱産生 = 総エネルギー消費量
基礎代謝は、呼気分析などで酸素摂取量、二酸化炭素産生量、尿中窒素排泄量から計算されて、
誤差±1%程度と言われています。
ただし、推定で用いられる「Weirの簡易式」という公式が、
どんな前提で作られたのか、まで調べる必要もあるのかもしれません
*1 食品組成と利用可能なエネルギーの関係(原著)https://www.fao.org/3/M2847E/M2847E00.htm
*2 アトウォーター係数 wikipedia
*3 エネルギー消費の測定方法 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tairyo …