No.3ベストアンサー
- 回答日時:
おそらく、アレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)のことだと思います。
でもスクリャービンは決して、性的な意味でそのような音楽を書いたわけではないですよ。スクリャービンにとってセクシュアルな響きとは神聖な響きであって、あらゆる理性を超越して神と一体化するという、神秘主義思想から生じたものです。
スクリャービンの音楽はop.45(1905年)以降から「法悦のうちに」とか「神秘的に」といった神秘思想を思わせる用語が頻繁に作品に書き込まれるようになりました。
スクリャービンの生きた時代は、過去の音楽(ベートーヴェン、ショパン、リスト、ワーグナー)を模倣して似たような語法をもつ音楽を書く時代ではなく、今までとは全く異なった響きを持つ、革新性のある音楽作品を書こうと、様々な作曲家(ドビュッシー、ラヴェル、バルトーク、シェーンベルク)が、響きに工夫をこらした時代です。
そんな中でスクリャービンも今までの音楽にはない革新的な語法で音楽を書きたいと思って、様々な試みをしていました。
スクリャービンは1911-1912に作曲した「ポエム・ノクチュルヌ」という作品で神秘和音を使用するようになり、「ピアノ・ソナタ6番」(1912)以降の作品には神秘和音が使用されています。
スクリャービンの音楽が質問者様のおっしゃるような性的な意味に捉えられてしまったのは、おそらく、西洋音楽の語法をいち早く日本に導入した山田耕筰が、スクリャービンの「ポエム・ノクチュルヌ」に影響された音楽を書き、そのことでスクリャービンの音楽が日本に知られるようになったときのことのような気がします。
日本では1928年に近衛秀麻呂(このえひでまろ 漢字はちょっと違うかもしれません)という人がスクリャービンの音楽を日本初演しました。
そのときに初演された作品は「炎に向って」(1914)というピアノ作品です。
この作品は当時悲哀の作品だと言われた一方で、現代音楽の思想のことがよく分からない人々が「こんなセクシュアルな響きを持った音楽を書くなんて、スクリャービンはなんて不道徳な作曲家なんだ。こんなスケベな音楽を書く作曲家は最低だ」のようなことを言ったという出来事が日本で起こりました。
でもそれは現代音楽を理解できない人々やスクリャービンの音楽思想の革新性を知らないが言った言葉であって、後に、スクリャービンの音楽は、決してそんな性的なものではなく、今までにない響きで音楽を書こうとして用いた神秘主義思想による新たな、革新的な音楽なのだ、という風に、専門家によって訂正されました。
エロティシズムという言葉がありますが、音楽的に美しい言葉で日本語で言い直すと、エロティシズムとは「官能主義」のことです。
官能的な響き、セクシュアルな響きによる神秘和音はスクリャービン固有の語法であって、そういう音楽を書いたスクリャービンは非常に偉大な作曲家です。
スクリャービンの官能的な響きにひたりたいときは、「法悦の詩」のほか、とりわけ後期の作品「炎に向かって」(1914)とかピアノ・ソナタ6番、7番、8番、9番、10番、や管弦楽なら「プロメテウス 火の詩」(1910)がお勧めです。
スクリャービンに興味がありましたら、初期の作品から後期の作品までの、様々な作品を聴かれるといいと思いますよ☆
スクリャービンの専門家ではないので、間違ったことを書いていたらごめんなさいね。スクリャービンの研究者が話してくれたことを曖昧な記憶で書いているだけなので、違っているところがあるかもしれません。
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
私もアレクサンドル・スクリャービンではないかなと思います。といっても,手がかりは
・ロシア人
・法悦の詩(原題Le poeme de l'extase,英語ではPoem of Ecstasy)という名前の交響曲を作曲した
これだけです。
質問者さんが聞いたという他のエピソードについては,私は寡聞にして知りません。ごめんなさい。調べた範囲では少なくとも妻子や恋人はいたようです。詳しくは参考URLを。
法悦の詩については,そのタイトルゆえにスキャンダラス(笑)に扱われがちですが,「法悦(エクスタシー)」という言葉には宗教的な喜びというような意味合いもあるそうですよ。
ちなみに,私はスクリャービンがどっちのつもりで作曲したか知りません(^^;
エロうんぬんはおいたとしても,クラシック音楽の作曲家の中では,経歴・作品どちらの上からもかなり特異なポジションにある作曲家であることは確かです。興味がありましたらぜひご一聴を。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF% …
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