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A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
>> TTLがDTLよりスイッチング速度が速い理由 <<
1.
ネットによくある説明は;
(A) トランジスタのエミッタからベースに注入されるキャリアが、飽和スイッチング回路では必要以上に多くなっている。(これは正しい。)
(B) TTLの入力段トランジスタは入力が Low のときエミッタ接地回路になる。(これは正しい。)
(C) そのエミッタ接地が 上記の過剰キャリア を効率的に除去するので、(ここが不適切。)
(D) だから TTL は DTL より高速。
こんな説明が昔の技術雑誌の記事でも見ましたが、これは実態と違うのです。今はネットで情報鎖国から脱した時代ですから、やがてナマ情報が浸透すれば消え去るでしょう。
2.
まず、
↓ DTL が蓄積キャリアにお手上げであったわけではないです。
http://people.deas.harvard.edu/~jones/es154/lect …
昔の回路図を見ますとこんな事↑が当然のように行われてます。負電圧で蓄積キャリアを引き出しているのです。(他にも多様な工夫が見られますが略します。)
3.
入力段が出力段の蓄積キャリアを引き出すためには↓こんな回路になります。
http://www.asic-world.com/images/digital/ttl_inp …
しかし、これは Lowレベル 側の振幅余裕が少な過ぎて駄目です。当時の資料を見るとプリント板間の、グランド電位差や温度の差で動作不良になったほど きわどい回路でした。
使いものになった回路は↓です。
http://www.e-technik.fh-kiel.de/~dispert/digital …
これ、
入力段は出力段のベースを吸えませんよね。←ここが肝です。
蓄積キャリアは R3 を通ってグランドに。
つまり、
蓄積キャリアに関しては DTL と同じだったのです。
4.
この「ノイズマージン」を克服するためになされた様々な回路↓
http://people.deas.harvard.edu/~jones/es154/lect …
TTLの発達段階の姿ですね。
いずれも、入力段が出力段の蓄積キャリアを吸える構成にはなってません。
このサイトでもあっさり「それに関しては DTL と変わりません」と記述してあります。はやく日本もこれら正しい情報が常識として広まって欲しいものです。
5.
では TTL が速いと言われたのはなぜか?
実は; TTL という構成には関係なくて、
秘訣は; 出力段を トーテムポール構成にしたからです。
トーテムとはアメリカ先住民の宗教アイテムです。
http://members.chello.at/horstlenes/images/totem …
様々な顔が縦に積み重なった柱(pole)。
↓トーテムポール出力段です。
http://www.e-technik.fh-kiel.de/~dispert/digital …
↓完成形のTTL回路。
http://www.e-technik.fh-kiel.de/~dispert/digital …
http://www.asic-world.com/images/digital/ttl_nan …
http://www.dj4uf.de/lehrg/b14/Bild14-22.GIF
http://www.virtual.unal.edu.co/cursos/ingenieria …
高速な理由は;トーテムポール上段はエミッタフォロアです、出力インピーダンスが小さい。そのため 配線の静電容量を 極めて短時間で充電できました。
以前の回路はここが抵抗なので 線路充電時間を短くするには抵抗値を小さくしないと駄目です、それをオンさせるためには大きなコレクタ電流が必要、それはそのまま大きな蓄積キャリアです。
トーテムポールで大電流が不要で蓄積キャリアも減少。
トーテムポール回路がテキサス社を勝利に導いて TTL は伝説の神話 に。というのは‥‥
6.
テキサス社は新製品で TTL をあっさり止めてしまったのです!
入力段をダイオードに。
つまり DTL に戻りました。
↓
http://people.deas.harvard.edu/~jones/es154/lect …
TTLというネーミングはトレードマーク(R)としてだけ残りました。
では、蓄積キャリアの話はどうなったのか?
実は;冒頭に書いた(1)そのものが無い回路なのです。
TTL という名の DTL、これが神話の実態です。
この新シリーズが世界市場を制圧して TTL(R)黄金期に。全盛時代が長く栄えました。
( 詳しくはショットキトランジスタで調べてください。これについては特許が絡んだ厖大な歴史話があります。日本の電電公社の研究所も登場して防戦に成功してます。 この TTL 黄金時代を終焉させたのは 日本の東芝の得意技「 CMOS 化」でした。)
7.
よくある回路の名称について。
出力段のトーテムポールを、カスケードとかカスコードと呼ぶのは間違いです。見た目が似てるだけで名称を誤用してる例が多いですね。
http://people.deas.harvard.edu/~jones/es154/lect …
↑これの Qo と Qs はダーリントンだ、というのもよくある誤用でして、正しくはフェーズスプリッタ回路です。 Qs の s は phase splitter の s です。
ダーリントン接続と言うのは、上図の Qp,Qp2 のペアの回路です。コレクタ同志が直結されてますね。 初期形のTTLでは1段のエミッタフォロアだったのを ダーリントン接続にして駆動性能を改善した回路です。
実際、
当のテキサス社が、その回路を "phase splitter" と連呼してるのをご覧ください、ダーリントンも登場してます。
http://www.patentstorm.us/patents/5408136.html
Input transistor 12 is also known as a phase splitter; the current at the emitter of transistor 12 is in-phase with that of the IN signal and the voltage at the collector is out-of-phase with that of the IN signal. The IN signal is coupled to the base of the phase splitter 12, the bases of the upper output Darlington transistors 14A and 14 are coupled to the collector of the phase splitter, and the base of output transistor (lower output transistor) 16 is coupled to the emitter of phase splitter 12.
また、入力トランジスタ12はフェーズ分離器として知られています; トランジスタ12のエミッタの電流はIN信号のものと同位相であります、そして、コレクタにおける電圧はIN信号と反対位相をもってあります。 IN信号はフェーズ分離器12のベースと結合されます、そして、フエーズ分離器上側のコレクタ出力はダーリントントランジスタ14Aと14のベースと結合されます、そして、出力トランジスタ(下側の出力トランジスタ)16のベースはフェーズ分離器12のエミッタと結合されます。
↑どうですか?どんな回路をしゃべってるのか想像できますよね、これは最近の特許審査(異議申し立て)です。 スプリッタとトーテムポールの上側のダーリントンが異義の論拠キーテクノロジーらしい雰囲気が伝わってきます。 TTL の製品寿命は終わっても勝利をもたらしたテクノロジーは今も脈々と闘ってるようですね。
No.1
- 回答日時:
Vcc -------+---------+--
| |
| R3
R1 |
| +--OUT
| |
D1 | D3 |/
In1--|<|--+--|>|-+--| Q1
| | |\
In2--|<|--+ | |
D2 R2 |
| |
GND -------------+----+--
あまり上手には書けませんが、上図は、DTLの入力部です。2入力NANDゲートに相当します。
In1とIn2が共にHighのとき、R1-D3-Q1(B)-Q1(E)の経路でベース電流が流れ、Q1はONになります。
ダイオードや、トランジスタのベースエミッタ間の順方向電圧は約0.7Vなので、In1が0.7Vまで下がるとQ1のベース電流が半分になります。つまり、この回路のスレショルド電圧は0.7Vです。
In1が0.7Vより下がってLowレベルになると、Q1に流れ込むベース電流が無くなり、Q1のベースコレクタ間に蓄積された電荷がR2を通って放電し、その後Q1はOFFになります。この、蓄積電荷の放電にかかる時間(Tstg)がバイポーラ型スイッチングトランジスタの場合、スイッチング時間の多くを占めます。これを短くするには、R2を小さくして放電を速くすれば良いのですが、R1の大きさが決まっているため、R2をあまり小さくするとベース電流がR2に取られてしまい、Q1が十分にONできなくなるので、R2を小さくするにも限度があります。
TTLは、上記のD1,D2,D3を1個のトランジスタにしたものです。D1,D2がエミッタ側に、D3がコレクタ側になり、R1はベースにつながることになります。エミッタが複数あるので、マルチエミッタトランジスタと言います。
TTLも、直流的な動作はDTLと同じです。異なるのは、In1やIn2がHighからLowに変化したときです。このとき、マルチエミッタトランジスタはトランジスタとして働き、D3に相当するPN接合が逆方向に導通し、Q1のベースコレクタ間接合にある電荷を急速に抜き取ります。この仕組みにより、TTLはDTLよりもかなり高速なスイッチングが可能になりました。
上記の回路のスレショルド電圧は0.7Vでしたが、実際のTTLはQ1をダーリントン接続にすることにより、スレショルド電圧を1.4Vにしています。
TTLは最初、テキサスインスツルメンツ社からSN7400シリーズとして発表されましたが、その後も改良され、低消費電力型の74L00シリーズ、高速型の74S,74LSシリーズなどが発売されました。Sと言うのはショットキーの意味で、順方向電圧が0.2Vと低いショットキーバリヤダイオードをQ1などのベースコレクタ間に並列に接続すると、トランジスタの動作点が飽和手前のリニア領域で留まり、蓄積電荷の影響が無くなるので、非常に高速になりました。
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