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セルビア人のラスト・ネームは「~ビッチ」が付く事が多いですよね(ミドル・ネームじゃなくて)。
ストイコビッチ、ミハイロビッチ、サビチェビッチ、スタンコビッチ、、、、。
なぜなんでしょうか?

ご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい。
宜しくお願いします。

A 回答 (6件)

 


  まず、最初に、「ビッチ=ヴィッチ」には、「息子」の意味はないはずだと述べたのです。ただし、文法的な構成から、意味の上で、そのように理解すると分かり易い、説明し易く、そういう意味と理解されているということについては、そうであろうとは述べています。ロシア語父性称の語尾が、まず、「息子」や「娘」の意味はないと思うが、結果手に、そういう意味が出て来ているのであって、しかし、文法的にはそうではないのだろうと云う説明もしました。
  
  セルビア語(あるいは、名などは、セルボクロアティア語の問題になるのですが)での文法構造がよく分からないし知らないが、しかし、サンプル的に調べた主要単語や簡単な文章などの構造からするとロシア語によく似ており、語系統からしても、セルボクロアティア語は、南スラヴ語派で、東スラヴ語派であるロシア語とは確かに違うが、しかし、同じスラヴ語派である限り、ロシア語で言えることが、セルビア語等に適用して、相当な整合性があるなら、それは十分、説明の妥当性の可能性が高いというものです。
  
  ここまでは、検索エンジンの検索では何も調べていなかったのです。ただ、「イッチ」や「ヴィッチ」には、息子の意味はないだろうと云うことは、言語的に同系統のロシア語の父性称の構造を考えると出て推論できるのです。わたしは、ロシア語には、-ovich や -ich があり、この場合、-ov に -ich が付いているので、「息子」の意味がもしあるなら、-ich の部分で、しかしこれは、英語の -ish, -ic などと同じで、形容詞か何かの接尾辞で、「息子」の意味はないだろうと云いました。「属格(生格)的」な意味を持つ接尾辞だろうと述べました。ロシア語父性称の女性形の -na は、英語やフランス語の -in と似たようなものだろうとも述べました。
  
  そこで、以下、検索してみると、次のようなページがあります。
  
-----------------------------------
 
  まず、検索すると、どのページか分からなくなったのですが、(URLは記録したのですが、何故かページが出て来ないのです)、-ic, -vic は、son of とか、clan の名前だという説明をしているページがありました。しかし、これは、「結果的に」そういう意味が出て来たので、元々何であったのか、または、文法的に見ると何なのかという答えになっていないのです。
  
  そういうことの説明に、English という言葉を例にあげました。あるいは、Japanese でもいいです。Japan に「ese」が付くと、「人」とか「語」になる訳で、では、「ese」にそんな意味があるのかといえば、ないのです。これは「形容詞の接尾辞」です。
 
  とまれ、以下のURLで、-ic, -vic は、son of とか、clan の名前だと出ていました(これは、クロアティア語での話ですが、同じことです):
  
  http://archiver.rootsweb.com/th/read/CROATIA/200 …
 
  しかし、以下のURLのページでは、-vic に終わる姓、というか、「ボスニア人の姓」は、主にどういう風に造られているのか、文法的に説明しています。最後に署名しているのが、南スラヴ語系の名前の人で、英文が少し綴りミスがあるので(diminitive を duminitive と書いたりしていますが、ラテン語の語源からは、duminitive の方が正しい可能性があります)、多分、セルボクロアティア語を母語としている人ではないかと考えられます。少なくとも、文法的説明が行えると云うことは、その言語の文法は分かっていると云うことになります。
  
  以下のURLで、参考URLにも入れて置きます。
  http://www.rootsweb.com/~bihwgw/surnames/surname …
 
  書かれている文章全部を訳す必要はなく、また色々な実例をあげていますが、それも省略します。必要な部分だけ訳します:
  
  >Bosnian surnames are, same as in other south slavic regions, mostly ……
 
  (大意)
 
  >ボスニア人の姓は、他の南スラヴ地域におけると同様、誰か(ほぼ、男性に限定された)祖先のファースト・ネーム、綽名、職業に基づいて、大部分造られる。家族の名(ファミリー・ネーム)は、ほぼ80%のケースで、ファースト・ネームまたは職業[名]、または、これら二つの何らかの組み合わせ[名]の所有属格(生格)に、接尾辞 -ic を加えて造られる。このことを幾つかの実例で示してみよう:
  
  >kovac(職業-意味は、スミス[鍛冶屋])
  >Kovac の所有属格は、Kovacev で、接尾辞 -ic を加えると、Kovacevic(多分、もっともたくさんあるファミリー・ネーム)になる。
  
  >Adem
  >Adem の所有属格は、Ademov で、接尾辞 -ic を加えると、Ademov が Ademovic になる。
 
  (中略)
  
  接尾辞「-ic」の意味については、次のように説明しています:
  
  >……When suffix -ic is added, it has ……
 
  >……接尾辞 -ic が加えられると、名前は、(文法的に云えば指小辞は、少し違った形で作られるのであるが)、指小辞形の意味になる。
 
  (以下、文末の署名)
 
  >c 1999 Goran Kulenovic
 
  この説明で見ると、-ov, -ev は、属格(生格)語尾だということになります。ロシア語の「-ov」という接尾辞をわたしは考えましたが、これは「-由来の」のような形容詞を造る接尾辞で、「属格的意味」の接尾辞だと記しました。
  
  「-ic」は指小辞だということで、これは、例えば、上の例の Adem に付けると、Ademic になり、意味は、「アデム」という人名に対し、「小アデム」というような意味で、父を「アデム」、息子などを「小アデム」というのは、納得の行くことです(これは、例で、こんな姓があると云っているのではありません。-ev, -ov の形でない、所有属格形に -ic が付いた名が、「ヴィッチ」ない「イッチ」型の姓か、または上の例のように、所有属格を付けずに、直接 -ic を付けるのが、「イッチ」型かも知れません)。また、職業名にも付けるのですから、結局、「由来的子孫」の意味に大体なります。男性の場合は、「の息子」という解釈もできますが、別に男性の子孫にだけ付けるのではないということになります。(また、このことから逆に、ロシア語父性称の「-ich」も、指小辞ではないかという想定も出てきます。正確には、もっと調べないと分かりませんが)。
  
  なお、「ボスニア人の姓」の「ボスニア人」は何かということは、これは、現在のボスニア・ヘルツェゴビナのボスニア地方の人のことでしょう。問題は、上の語源説明は、何の言語での文法構造かということです。これは、ボスニア地方で使われているのは何語かで分かります。複雑なモザイクになっていた場合は難しいのですが、旧ユーゴスラヴィア領域は、色々な言語があると云っても、ロマンス語であるルーマニア語の一部使用を除いて、ほぼ「南スラヴ語派の言語」が使用されています。
  
  ボスニア地方では、「ボスニア語」などという言語はなく、ここは、セルビア語が主で、一部がクロアティア語です。しかし、この二言語は、元々セルボクロアティア語の二方言形であったので、ボスニア人の名前の文法説明は、セルボクロアティア語での文法説明となります。従って、同じ説明は、セルビア人の名にも適用できるのであり、どこの地域の人より、何語での名前の方が意味があるのであり、セルボクロアティア語でそうなら、セルビア人の名前も、そうだと云うことになります。
  
  なお、これも「受け売り」だということになるかも知れませんが、単に参考URLのページに書かれていることを述べているのではなく、スラヴ語派のロシア語での例を比較し、更に、原文は「ボスニア人」であるのを、ボスニアの使用言語は何かということからの適用可能性も述べているのであり、ただ、そこにそう書いているのでそうだ、というような単純な話ではありません。
  
  また、Goran Kulenovic という人が何か勘違いしているか、間違っている場合もあり得ますが、possesive genitive(所有属格または所有生格)という変な言葉を使っていることや、また元の英文サイトを見ると分かるように、もっと色々名前の説明をしており、オットマーン・トルコの影響で出来た名前も説明していますから、セルボクロアティア語を知っている人が、文法的説明をしているのであって、高度に確実性が高いです。genitive は genitive のままでよいのを、possesive genitive という二重表現をしているのは、「所有的属格」と「文法機能的属格」の区別のため、前者の意味だということを示すために、こういう表現を使っているか、または、セルボクロアティア語で、こういう表現があるのを、英語に訳して云っているのかも知れません。
  
  色々な面から考えて、高度な確実性があると判断できるということです。
  また、「ビッチ」とは、何かという答えも、ほぼ出ていると言えます。(「ほぼ」というのは、言語の語源解釈は、異説がありえるからです)。
 

参考URL:http://www.rootsweb.com/~bihwgw/surnames/surname …
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>セルビア人は同じ家族でも男と女でラスト・ネームが違うという事なんでしょうか?



セルビアやクロアチアの女性の名前がまとめてのっていそうなHPを探して見たら、ありました。そこにのっていたのは、クロアチア人ばかりで、Kresojevic、Vujcic、Cerin、Dlesk、Novak、Zuljicでした。これを見る限りでは「(ヴ)ィッチ」がわりと多そうには見えますね。イエリッチという女子バレーの選手もいたようです。ロシアでの父称と違って、クロアチアの姓では男女の区別はあまりないのかも知れません。現代のアイルランドやスコットランドでの、「Mac○○」や「O’○○」みたいに、男女共用で、だから「Clan of」なのかな?。いい加減ですみません。

>ミドル・ネームが「~ビッチ=(~の息子もしくは娘?)」というのは何となく分かったんですが、ラスト・ネームに「~ビッチ」がこれほど多いのはなぜなんでしょうかねぇ?

何故、セルビア・クロアチア人のLast Nameで、ロシアのミドルネーム(父称=乱暴に言ってしまえば敬称か?)と似たような付け方が多いのか、という事ですが、もっとわかりません。ある時点でロシア語の父称のつけ方が「輸入」されたのか、元々、「スラブ語」という根っ子の時代の共通点が、ロシア語の父称とセルボ・クロアチア語のLast Nameにそれぞれつながったのか、どちらなんでしょうか?
セルボ・クロアチア語の姓の「歴史」=一般庶民はいつ頃姓を持つようになったのか等=がわかれば面白そうなんですが。所詮「受け売り」の私にはお手上げです。すんません。

参考URL:http://www.mudokwan.at/austrian_open.htm
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  わたしが述べたことは、「ビッチ」には、「息子」の意味はないだろうということで、何故そうなのかを、ロシア語の父性称のでき方と、その起源についての考察から、説明したのです。しかし、「ミハイロヴィッチ」というような父性称は、「ミハイルの息子」というような意味になってくるのだということは述べています。そう考えると分かり易いというのは、結局、そういう意味あいを持って来るからです。しかし、このことと、「ヴィッチ」は「息子」の意味だは、別だと述べたのです。
 
  (なお、フランスのプロヴァンス地方では、いまもそうかは確実でありませんが、昔は、人を正式に呼ぶ場合は、母親の名前を付けたというのがあります。例えば、Claude de Marie というように呼んだようです。これは「マリーのクロード」が文字通りで、「de」は「-の」「-由来の」の意味はあっても、「息子」の意味はありません。しかし、クロードは男性の名ですから、Claude de Marie は、「マリーの息子クロード」のような意味が出てきます)。
 
  また、ロシア語とセルビア語は別の言語であるので、ロシア語で言えることがそのままセルビア語に該当するとは必ずしも言えないとは最初に述べていることです。しかし、語系統で云えば、両者はスラヴ語派に属し、実際、似た構造と語彙があるのです。また、セルビア人の代表的な「ヴィッチ」の名前と「イッチ」の名前を見ると、あまりにうまく、ロシア語の父性称のパターンに合っているので、偶然とは思えないということもあるのです(そのために、ロシア語父性称のパターンを丁寧に説明し、それと、セルビア人の名の語尾パターンを比較しているのです)。
 
  別の例えを云いますと、English というのは、名詞だと、「英語」と「イギリス人」です。では、「-ish」には、「言語」とか「人・民族」などの意味があるかと云えば、ないのです。これは、Engl から形容詞を造る語尾で、「イギリスの」という形容詞で、これを名詞にすると、もっとも考えられるのは、「イギリスに固有な何か」つまり、その「言語」と、その「民族」であるので、English に英語やイギリス人の意味があるので、-ish には、形容詞語尾の意味しかないのです。
 
  「-ov」という物主形容詞の接尾辞を説明した時、「出身の」という意味を示しました。ここまで詳しい意味は、元々ないと思うのですが、Rostov(ロストフ)という名であれば、形容詞としては、「ロストの」という意味で、アンドレイ・ロストフなら、ロストフを Rost + ov と考えると、「ロストのアンドレイ」ということになります。これは日本人の昔の呼び名で、出身地名を名の一部にしたのとよく似ています。相模出身の三郎なら、「相模の三郎」続けて「相模三郎」となるようなものです。
 
  -ovich などは、「……の」とか「……由来の」という意味が基本で、ミハイロヴィッチになって男性名詞の形になると、「ミハイル由来の男性名詞」ということで、これに合うのは、「ミハイルの息子」が丁度相応しいので、オヴィッチに「息子」のような意味があるようになってくるということです。(しかし、上のプロヴァンス方言の Claude de Marie ように、単に、「de」のような意味しかない可能性が高いのです)。
 
  元々、地名とか、人名の形容詞形で、属格や生格のような、「由来」「出身」「起源」的な意味の形容詞だと、その名詞形は、「由来のもの」「出身のもの」になり、English で説明したように、「アングル由来・アングル出自」というと、代表的には、言語か、人・民族のことになるので、アングル語、アングル族となるのです。従って、属格(生格)的意味の形容詞生成語尾には、名詞化した時、男性名詞や集合名詞になる場合、この語尾に、son of とか、clan of という意味が出て来るのは或る意味自然なのです。しかし、この接尾辞に、元々、son や clan の意味があったかというと、英語の Johnson のように、息子の意味があったような場合もありますが、なかった場合もあるのです。なくても、属格(生格)だと、代表的に、そんな意味だというように、考えてしまうことがあるのです。
 
  こう云ったことは、かなり丁寧に説明したつもりですし、ロシア語とセルビア語では違うということ、しかし、最初に述べたように、同じスラヴ語派で、共通の文法構造と語彙を持ち、かつ、-ich, -ovich, -jevich という対応は偶然にしては出来過ぎているので、何かの関係があると想定せざるを得ないと記しているのです。必要な根拠データは提示し、何が言えないかの限界を明示しています。「オビッチ」は、おそらく息子の意味ではないだろうと記し、しかし、「含意」として、そういう意味になるというのも、そう述べています。
 
  (セルビア語とロシア語の類似性をいうのは、ごく僅かなデータしかありませんが、語彙などでも比較した上での話です。例えば、代表的な前置詞を比較すると、対応語が多いのです。そこまでは書きませんでしたが、少なくとも、わたしが述べたことが分からないのは、日本語がきわめて不自由なのではないかとも疑われます)。
 

この回答への補足

すみません。お礼を書いていませんでした。
有難うございます。

補足日時:2002/01/08 20:20
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この回答へのお礼

いや~、すごい力作ですね。ビビリました。
結局のところ、どうなんでしょうか(笑)?

お礼日時:2002/01/08 20:20

これは間違い無く「完璧なまでの受け売り」ではありますが、「(ヴ)ィッチ」は「~の息子」という事で良いんだろうと私は思います。



理由は、

・ ロシア語での父称と同じように作られたと推測するなら、「○○(ヴ)ィッチとか、○○(ヴ)ナは、○○さんの息子さん、○○さんの娘さん、という含意」と考えられる事。(ロシア語の父称については、参考URLの前の方もご覧下さい。)

・ 自分のひいじいさんが1800年代にクロアチアからアメリカに移住してきた人が、「クロアチア語ではichやicは、son of あるいはclan ofという意味がある」と言っているHPを見つけた事(参考URLの後の方)

の2つです。

No.2の方の説明は、「ich(orヴィッチ?)自体に息子という意味は無いだろう」という説明にはなり得ても(私はただただ「そうなんですか」と伺うだけですが)、「ロシア人・セルビア人・クロアチア人にとって、○○(ヴ)ィッチと言う名前に、○○さんの息子、という含意があるのかどうか」はまた別の話だと思います。仮に、セルビア人に多い○○(ヴ)ィッチという姓が、元々は、父親の名前+ic(ich)だったと推定するのであれば、(ヴ)ィッチの元の意味がどうあれ、「○○さんの息子(あるいは一族)」という意味だろう、と言っても別におかしくないと思いますが…。

とは言いながらも、ロシア語の父称がどういう経緯でセルボ・クロアチア語の姓になったのか、そもそもロシア語の父称とそのような関連性があるのかどうか、について、私に自信があるわけではありません。(という訳で「自信なし」です。)

参考URL:http://www.din.or.jp/~suzurin/a_runa1.htm,http:/ …
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この回答へのお礼

ご返答有難うございます。
参考URLをチラと見たのですが、セルビア人は同じ家族でも男と女でラスト・ネームが違うという事なんでしょうか?
ミドル・ネームが「~ビッチ=(~の息子もしくは娘?)」というのは何となく分かったんですが、ラスト・ネームに「~ビッチ」がこれほど多いのはなぜなんでしょうかねぇ?

お礼日時:2002/01/08 20:24

 


  まず「自信がない」、としているのは、ほぼ間違いないとは思うのですが、セルビア語(またはセルボクロアティア語)の知識が基本的にないからです。従って、以下の話はロシア語での話で、セルビア語で、これが妥当かどうか分からないのです。
 
  しかし、セルビア語は、南スラヴ語派という、スラヴ語の分派に当たります。そしてロシア語は、ベラルーシ語やウクライナ語と共に、東スラヴ語派を形成し、その他方、ポーランド語やチェコ語が、西スラヴ語派を構成し、スラヴ語派は、現在存在するのは以上の三つに大まかに分かれ、互いにかなり似ています。そういう訳で、東スラヴ語派のロシア語の「父性称」で、南スラヴ語派のセルビア語の人名の説明が付くというか、そう考えると、かなり一致するのです。
 
  前置きが長いですが、No.1 の方が挙げられているページを見に行きますと、書いていることがどうもいい加減なので、どこかの受け売りだろうと思いましたが、その通りで、参考URLのロシア人の名前の作り方のサイトから、この情報を拾って来たようです。(ロシア語とセルビア語は違うという前提で、しかし、スラヴ語派だから、多分応用できるだろうというのなら未だ分かるのですが。わたしは、少なくとも、そういう前提で記しています)。
 
  とまれ、「ビッチ」は、恐らく「息子」のことではありません。二つの理由があります。(ロシア語と考えての話ですが)。一つは、ロシア語での父性称は、基本的に「母音+v+ich」という形をしているからです。更に、これは、おそらく「母音+v」+「ich」だと考えられる余地が大いにあります。「息子」という意味がもしあれば、「ich」の部分がそれに当たると思えるのですが、これは、息子という意味はないと思えるのです。
 
  しかし、具体的には、例えば、「イワン」という男性の息子の父性称は、「イワノヴィッチ」となるので、「ヴィッチ」が、「イワンの息子」の「息子」に当たるのだと説明されると、何か納得が行くのです。しかし、上で示唆したように、どうもそうではない可能性が高いということです。根拠を述べます。
 
  ユーゴスラヴィア系の姓で(これは、何かのスポーツの選手の名でした)、色々挙げていた人がいて、その姓の語尾パターンからすると、四つの形があるのです。つまり:
  1)クラリ
  2)デュキッチ
  3)ミロシェヴィッチ
  4)ミハイロヴィッチ
 
  以上の四パターンです。クラリは、「-イッチ」に終わっていません。あとの三つは「-イッチ」に終わっている訳で、更に、「-オヴィッチ」と「-イェヴィッチ」の二つのパターンがあるのです。ミロシェヴィッチというのは、セルビアだとかの大統領の名前でしたから、「-オヴィッチ」でない姓もあるということが分かるでしょう。最初のクラリは、パターンから外れるので、残りの三つを考えると、どうして、三つあるのかが疑問になります。
 
  「-ich」がそもそも何なのか、未だ分からないので、この文章も疑問形に留まるのですが、ロシア語の父性称のパターンは、実は四種類あります。語尾の形だけ問題にすれば、三種類です。次のようになります(ここでは、父性称女性形は省きます。これは「-ich」形とは全然違うパターンなので、「ich」は息子の意味はないという想定の根拠にもなります):
 
    父親の名の語尾            父性称男性形
  1)-a,-ja が語尾  → -a, -ja を取り -ich を付加
  2)-i,-ji が語尾   → -i,-ji を取り -jevich を付加
  3)子音       →  語尾に続けて -ovich を付加
  
  具体的に例を挙げると
  1)Iljja    Iljich
  2)Nikolaji  Nikolajevich
  3)Ivan    Ivanovich
 
  1)イリヤ   イリイッチ
  2)ニコライ  ニコライェヴィッチ
  3)イワン   イワノヴィッチ
 
  このロシア語父性称の三つのパターンが、上のセルビア人の名の三つの形:
  2)デュキッチ
  3)ミロシェヴィッチ
  4)ミハイロヴィッチ
  に丁度対応するのです。
 
  上のロシア語の三つのパターンの「イリイッチ」「ニコライェヴィッチ」「イワノヴィッチ」は、それぞれ「イリヤの息子」「ニコライの息子」「イワンの息子」だと考えると、よく分かるような気がするのですが、「ヴィッチ」が「息子」に対応するのではないというのは、父性称の作り方の規則からも言えるのです。父性称の語尾は、「イッチ」「イェヴィッチ」「オヴィッチ」なのです。セルビア人の名前も、この三種類があります。
 
  何故「イェヴィッチ」と「オヴィッチ」しかないのかも不明です。「アヴィッチ」「ウヴィッチ」「イヴィッチ」も可能なような気がしますが、聞きません(実際はあるのかも知れません。しかし、父性称の作成規則で、語尾は三種類のパターンしかありません)。
 
  これは、「イェヴィッチ」の場合は、「jev + ich」で、「オヴィッチ」の場合は、「ov + ich」、そして「イッチ」の場合、直接「-ich」が、「ov」を前に置かずに付いているのではないかとも考えられます。
 
  ロシア人の姓を考えると、「-オフ」に終わる名があるのに気づきます。例えば、トルストイの『戦争と平和』に出てくるロストフ伯爵が、この「オフ」の語尾です。他に、「-イン」に終わる姓、「-スキー」に終わる姓があります。これらは、代表的なロシア人の姓の語尾で、詳細は省きますが、こういう「形容詞」作成語尾、また出身表示語尾があるのです。地名などにこれらの語尾を付けると、姓ができるのです。ラスプーティンやストラヴィンスキーのようにです。
 
  「-オフ」の場合が問題で、これは、子音で終わる名詞に付けて、物主形容詞を造る語尾です。地名に付けると、「……出身の」にほぼ対応する意味になります。この物主形容詞を造る設備語「-オフ」というのは、正確には三種類あって、「-jev, -jov, -ov」となります。「-イェフ,-ヨフ,-オフ」なのです。私たちは、「-ヨフ」と「-オフ」をまとめて「オフ」だと考えていたのだということになります。ロストフは、「オフ」語尾の例ですが、「ヨフ」語尾の例は、ゴルバチョフが実はそうです。
 
  ここまでは、文法的にロシア語で確認できているのですが、以下は、そこからの想定です。
 
  つまり、父性称は、物主形容詞語尾「-ov」に、英語で、-ic か -ish に当たる、これも形容詞語尾「-ich」を付けて出来ているのではないかという想定です。父性称女性形の場合、「-ich」の代わりに、英語・フランス語などで、女性形を作る「-in」に当たる「-na」が付加されているのではないかということです。そして、「イリヤ」のような名の場合、語尾が母音に終わるので、「ov」を付けずに、直接「-ich」を付けているのではないかということです。
 
  結論的に云えば、「-ビッチ」と付く名は、ロシア語の父性称に当たるものを名にしているので、これは、「-イッチ」「-イェヴィッチ」「-オヴィッチ」の三つのパターンのなかで、後の二つを考え、更に、特徴が日本人には、「ヴィッチ」部分に感じられるので、実は「-イェヴィッチ」「-オヴィッチ」の二つがあることが分からないのだということになります。
 
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過去に同様の質問がありましたので、参考にしてください。




http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=100385
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この回答へのお礼

ご返答有難うございます。
実は参考URLは既に見たんですが、ミドル・ネームではなく、ラスト・ネームが「~ビッチ」になっている理由をしりたいと思って、今回質問させていただきました。

お礼日時:2002/01/08 20:11

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