
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
『沈黙の塔』はアレゴリー(寓話)なので、作者の寓意がとこにあるか、はっきり理解しておくことが、読解の前提となります。
この作品は1910年5月「大逆事件」で、幸徳秋水らが逮捕されたとき、発表されたものです(11月)。
つまり、当時、軍医総監の職にあった森鴎外が、みずからの地位を賭して、政府による権力の濫用を公然と、厳しく批判するために著したのです。
また翌12月には、『食堂』という短編で無政府主義者や虚無主義の由来と西欧での現状を解説したものを発表しています。
それをふまえてみれば、この作品のなかのさまざまな点(ここでは簡単に引用するに留めますが)が、具体的な意図と批判をもっていたものであることが理解できるかと思います。
> 芸術の認める価値は、因襲を破る処にある。因襲の圏内にうろついている作は凡作である。因襲の目で芸術を見れば、あらゆる芸術が危険に見える。
> 学問も因襲を破って進んで行く。一国の一時代の風尚に肘を掣せられていては、学問は死ぬる。(ともに引用は青空文庫)
この作品は、そうした歴史的背景を考慮してお読みになれば、おそらくそれほど難解なものではなかろうと思います。
政府は、かかる要職にあった人物が、こういった作品を発表したことに対して追求することはありませんでした。これには森鴎外と山縣有朋とのつながり(山縣自身は大逆事件の公判進行中に〈天地をくつがへさんとはかる人地にいづるまで我ながらへる〉と老境の身に受けた深刻な衝撃を告白しています。参考文献:小堀桂一郎『森鴎外 批評と研究』岩波書店)が背景にあったという説もありますが、実際のところはよくわかりません。けれども、発表した当時(大逆事件に関する報道は一切禁じられ、秘密裏に審議が進み、わずか半年後に死刑が執行されています)の情勢を考えると、それがいかに「危険」なことであったかおわかりでしょう。
鴎外は非常に複雑な人物で、彼の作品に描かれる人物の種類の豊富さと多様性は類を見ないものです。
そのなかでこの『沈黙の塔』という作品は、彼が当時の社会情勢について、どう考えていたか、加えて、どのような態度を取っていったのかを理解するものとして位置づけられるかと思います。
No.1
- 回答日時:
はじめまして。
まず、宿題はじぶんの頭でかんがえるのが基本ですよ。
しかも「感想文」なんでしょう? 「わたしのお母さんはこんな感想をもらしました」「弟に読ませてみるとこう言いました」などと書くわけにはいかない。
むしろ、あなたじしんの感想「さっぱりわからないんです泣」っていうのを、そのまま書いてみるべきです。
それが「感想」というものですからね。
これはけっして冗談なのではなく、じっさいもんだい「沈黙の塔」は、さっぱり訳の分からない作品で、松岡正剛にだって池内紀にだって手におえないだろうという気がします。
よりによってそんな作品を選んでしまった「わたし」、そんな運命のいたずら、そして、途方にくれた10日間の感情の揺れ動きを、ありのままに書けばかなり面白い作文になると思います。
これではアドバイスにならないですか?
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