先日、ジャンル「言語」で「猫撫で声」についての質問(249499)をしたのですが、そのときの回答を読んでいろいろ考えさせられたことがあるので、また別な形で質問をしてみることにしました。よろしくお願いします。
要点は「慣用表現とイメージの関係」ということになるかと思います。どういうことかというと、わたしなどは「猫撫で声」という表現に対すると、そのイメージ(五感すべてを含む)が自然とそのたびに浮かぶことが多いのですが、どうも一般的には猫の影もちらつかないようです。当初のイメージが擦り切れてしまった後に、はじめて、その表現は常套句と呼ばれるに値するものになるのでしょうが、表現とイメージとの関係についてはどうやら個人差が大きいように思えます。
たとえば「燈台下暗し」という慣用表現がありますが、あるときまでわたしはこの表現を耳にしたり、眼にしたりするたび、港の灯台を思い浮かべていたのでした。そして、ここでいわれている燈台が港の灯台ではないと知った現在でもなお、この表現に対すると、まず夜の静まりかえった港の灯台をイメージし、そのあとで、おもむろに、ああそうではなかったと自嘲気味にそのイメージを再変換しているような感じなのです。あるいはサルスベリをみるときまって間抜けな日本猿が頭を過ぎったりもするのです(あ、これは慣用表現ではありませんね)。
そこで質問なのですが、みなさんにはそのような経験はないですか。たとえば「走馬灯のように思い出が駆け巡った」という文章で、走馬灯がいちいち脳裏にちらつくこと、あるいは「蛇足ですが」という言葉にあの爬虫類をイメージして鳥肌がたつこと(この鳥肌という単語にあの鶏の肌を思い浮かべてさらに鳥肌がたったりして……)、そんなことはありませんか。慣用表現とイメージとの関係で、個人的な興味深いエピソードがあれば教えてください。お願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
前回もコメントさせていただいたmartinbuhoです。
慣用表現を使うに際し、その言葉に込められた本来のイメージに悩まされた経験はほとんどありません。私の場合、大部分の慣用表現は先ず耳からはいり、数多く聞いているうちに意味がなんとなく分かり、後に正確を期すため辞書で調べるものが多かったせいだと思います。『それは間髪をいれずやることが大事だ』というとき、毎回どの程度の隙間だろうかなどと考えたりしません。間髪即ち即座にと覚えているからです。
このような表現は中国古典から取り入れられ、それが徐々に民間(庶民)にまで広がったものが多いので、どの段階(分野)で使用されるかによって意味が微妙に変化することもあります。(猫なで声の娘が先か、やくざが先かの例)。ある言葉はAからB、BからC、CからDというように時代(時間)とともに使用される分野が広がり、原典から離れて特殊な意味でのみ使われることも起こってくると思います。中には理解できない言葉と化してしまうものもあります。Cの段階で使い始めた人と
Dの段階で使う人では理解に差が生じる事もありえます。
「蛍雪」「行灯」「灯火」「灯台」「走馬灯」などの古い言葉や外来語(中国からの)を使用した慣用表現、ことわざなどは元のイメージは湧かず、辞書で意味を覚えるのが精一杯ではないでしょうか。
人それぞれですから断定は出来ませんが、あるとき「蛇足」という言葉の存在に気がつき、その意味を調べて使い始める人よりも、このような場合には大人は(或いは知識人は)蛇足という表現をつかうのだ・・と耳から覚えた言葉を自分も使い始め、その語源にまで興味をもつこともあるでしょうが、全ての言葉の語源をひとつひとつ調べる人は少ないような気がします。従って音だけで理解し、あるときとんでもない誤解に気がつくこともあるわけです。言葉の意味から入らず漢字から入った人には漢字が気になって仕方がない人もいると思います。
回答ありがとうございます。ことばとイメージの関係は、日本語の場合は漢字という表記もあってなおさら、いろいろと複雑で興味深い問題だと思います。また妙な質問をするかと思いますが、よろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
「人間万事塞翁が馬」という諺があります。
蛇足ながら、世の中何が起きるか分からないので一々くよくよするな、といった意味で使われます。
この諺に使われている「人間」ですが、元々は「ニンゲン」の意味ではなく、「ジンカン」と読み「世の中、世間」という意味だということです。「ニンゲン」には何が起きるか分からない、とするよりも「世の中」とした方が、確かに世間一般の出来事を現しているようでしっくりきます。
同じように「人間」を「ジンカン」として使った諺には、「人間いたるところ青山あり」があります。「青山」は「骨を埋める場所」ほどの意味で、お墓などにはこだわらず前向きに故郷を離れ広く活躍の場を求めるべきだ、という内容です(これも蛇足でした)。この場合の「人間」も「ジンカン・世の中」とした方がイメージはしっくりくると思います。なお読みはどちらでもよいようです。
また「塞翁」の意味ですが、これは固有名詞「塞翁」さんではなく「城塞」に住む「翁」ということでした。僕は音声でこの語を聞いた時、「人間(ニンゲン)万事斉王が馬」と思い込んでいました。この諺とは付き合いが長く何度もお世話になっていますが、イメージも何度か変わっていった思い出があります。
中国の学生に「油断大敵」の意味を聞いたところ「石油の補給路を断つものは大変な敵である」と解釈したそうです。誤解というにはあまりにも的を得ていて、思わず笑ってしまいました。これは純正の日本語なのでしょうか?この「油断」などという言葉も普段何気なく使っていますが、イメージはむしろあっさりしていて「湯断」の方が近いような気もします。
以上雑感でした
回答ありがとうございます。「人間万事塞翁が馬」にまつまる話は興味深く読ませていただきました。「油断大敵」といえば、堺屋太一に『油断』という小説があって、これはまさしくオイルショックの話でしたね。
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