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名誉毀損や信用毀損の条件として、ネット上にコピペ文を見ます。
最低限必要な要素が以下の通り――
1、刑231/刑230/民709/民710に触れる行為があった。
2、1を受けた原告(=この場合は被害者と同義とする)が社会的信用を失い損害を受けた。
3、1と原告の被害・損害の間に関連性が証明された。
4、1を受けた際に、原告は反論できない環境にあった 。

真実性・公共性で免責の根拠が、1である事は確実に判ります。
2・3もなんとなく判ります。
4が全くわかりません。
その根拠となる条文なり、判例なりを教えて下さい。
又、訴状や答弁書に使う場合に4を表す便利な言葉があれば教えて下さい。

つまり、1度でも相手をすれば駄目ということでしょうか?

A 回答 (3件)

一言で言えばその出典の内容は誤りと断じていいくらいいい加減なものです。

なぜなら、「民法と刑法とでは話が違うのにそれを区別していない」からです(それ以外にも「実体法と訴訟法を区別していない」点でもいい加減ではあります)。

最初に端的に分かりやすい例を挙げましょう。
民法、刑法を問わず特に摘示された事実によっては、反論が奏功しないことだってありえます。例えば、公開討論会で対面している相手に「こいつはインポだ」って公衆の面前で言われたら、それが本当だとして「そんなことはない」とその場で反論しても真実は知れてしまっているわけで後はそれをどの程度の人が信じるかでしかないわけですし、仮にそれが嘘でも同様に信じる人がいないとは限らないわけです。これが「民事刑事を問わず名誉毀損にならない」などと言うのは「お話にならないくらい間違い」です。もうこれだけで答えとしては十分でしょうが、後学のためにもう少し法律的な話をしておきます。

さて、それでは法律的な話をします。
まず民法から話をしましょう。民法709条は(一般)不法行為の規定です。不法行為とは、
1.故意又は過失により
2.他人の権利又は法律上保護に値する利益を侵害し
3.その結果として
4.損害を与えた
場合に成立します。この内容は条文そのままです。
710条は一般的には精神的損害に対する慰藉料請求を認める規定です(法人に適用を認めた判例もあるのでその意味では精神的損害とは限りません。710条に「名誉」とあるので名誉を侵害すると不法行為となるのは確かですが、別に710条があって初めて名誉侵害が不法行為となるというわけではありません)。
この不法行為は、要件を満たす限り、名誉毀損でなくても成立しますし、名誉毀損の場合も成立します。名誉毀損の場合は特に723条により名誉回復に適当な措置(一般的には謝罪広告です)を命じることができるという特徴がありますが、それを除けば、名誉毀損とそれ以外とで差はありません。そして、名誉毀損は社会的評価が低下する場合でなければなりませんが、仮に社会的評価が低下しない場合でも名誉毀損にならないだけで不法行為にはなり得ます。吉本の芸能人がタクシーに乗って運転手を20分にわたり罵倒誹謗した事案で不法行為の成立を認めた判例があります(大阪高判昭和54年11月27日)。
そもそも、710条により「精神的損害に対する損害賠償を認めている」のですから、「社会的信用を失い損害を受ける」必要はありません。極端な話、不法行為の成立には「その可能性すらない」としても構わないのです。ただ、社会的評価が低下しなければ不法行為になっても「名誉毀損にはならない」というだけです。不法行為の正否を論じるに当たっては「実際に社会的信用を失い損害を受ける」ことも「その可能性」すらも必要はないのです。
誹謗中傷などが公然と行われれば社会的評価が低下する可能性があります。このとき初めて名誉毀損を考えます。この場合に「実際に社会的評価が低下したことによる損害」がなく名誉毀損が認められないとしても、純粋に不法行為として精神的損害に対する賠償をさせることはできます。
なお、ここで、「1と原告の被害・損害の間に関連性が証明された。 」ということをあえて要件とするのはまるで無意味です。そもそも709条に該当する以上当然その要件として上記「3.その結果として」が必要に決まっています。これは法律的には因果関係と呼びますが、それは「709条に触れる行為」と言った時点で当然含んでいるのです(なお、「関連性」と呼ぶのは厳密には間違いと言っていいです。なぜなら、法律的な因果関係とは単なる関連性だけではないからです。関連がなければ法律的な因果関係は当然ありませんが、関連があれば法律的な因果関係があるわけではないのです)。
これがもし仮に「証明」と言っていることに意味があるのであれば、因果関係以外についても証明がなければ裁判所は不法行為を認定できません。不法行為訴訟における各要件の存在を証明するのは原告がやらなければなりません。つまり、不法行為訴訟における「証明」の問題は、不法行為を成立させる全ての要件について常に必要な話であって「関連性」だけを特別に取り上げなければいけない理由は全くないのです。この点が(要件論という)実体法の問題と(証明という)訴訟法の問題を区別していないという指摘のゆえんです。
ところで、社会的評価が低下すれば常に名誉毀損かといえばそんなことはありません。言論の自由というのがあって正当な批判までも禁圧するわけにはいきません。要件は面倒なので書きませんが、最判昭和41年6月23日が一定の場合に免責を認めています。
また、誹謗中傷を受けてもそれだけで常に不法行為というわけでもありません。口論程度で不法行為になったらたまりませんから。一般的には、公然性のない誹謗中傷の場合は度を越さない限り(それがどの程度かは難問ですが)は不法行為にはなりません。

ここまでで民法の話は終わりです。最初から最後まで「反論できる」かどうかなど問題にしていませんね?そうです、そんなことは全く問題になりません。単に事実上(法律上ではない)の問題として「反論できれば社会的評価低下を防ぐことができることもある"かもしれない"」「反論できるような状況ならば誹謗中傷に対抗でき、ただのよくある口論にすぎないとして不法行為とはならないこともある"かもしれない"」というだけの話です。反論できたとしても、社会的評価が低下すれば名誉毀損にはなり得ますし、精神的苦痛を受ければ名誉毀損でない不法行為にもならないとは限りません。言い換えれば、「反論できた」かどうかが問題なのではなく「反論のお蔭で不法行為の成立を阻止できた」かどうかが問題なのです。「反論できた」としても「不法行為の成立を阻止できなかった」のであればそれはやはり不法行為なのです。
つまり、民法上、

>その根拠となる条文なり、判例なりを教えて下さい。
又、訴状や答弁書に使う場合に4を表す便利な言葉があれば教えて下さい。

などというものはありません。

さて次に刑法を考えて見ましょう。刑法においては名誉毀損罪と信用毀損罪は別の罪です。刑法230条というのは名誉毀損罪の規定、231条というのは侮辱罪の規定です。信用毀損罪は233条になります。
名誉毀損罪の成立する要件は、
1.公然と
2.事実を摘示し
3.人の名誉を毀損する
ことです。
判例では「名誉が現実に侵害される必要はない」としています。つまり行為に名誉を毀損する可能性があるだけでいいのです。ですから、「実際に社会的信用を失う」必要もなければ「損害を受ける」必要もありません。ですから、「関連性」なども全く不要です。
侮辱罪は
1.公然と
2.事実を摘示せずに
3.人を侮辱する
ことです。
判例では、名誉毀損罪と侮辱罪の保護するものはいずれも「社会的評価という外部的名誉」であり同じであると考えています。そして侮辱罪も「実際に社会的評価が低下する必要はない」です。つまり、名誉毀損罪と同じことが言えるわけです。
なお、信用毀損罪は
1.虚偽の風説を流布しまたは偽計により
2.人の信用を毀損
した場合に成立します。ここで言う「信用」とは「支払能力などの経済的評価、取り扱い商品の品質などの経済的な信用」であってそれ以外は、名誉毀損罪の問題になります。
これも「実際に信用が低下する必要はない」とするのが判例なので名誉毀損罪、侮辱罪と同じことが言えます。
で、「反論」について言えば、結局は民法の話と同じです。「反論できたお蔭で名誉なり信用なりを毀損する可能性がなくなれば、名誉毀損罪等にはならないが、反論できても可能性を排除できなければ名誉毀損罪等になる」それだけです。
ということで刑法上、

>その根拠となる条文なり、判例なりを教えて下さい。

などというものはありません。
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この回答へのお礼

「反論できない環境にあった」が、理解できなかったのは正しかったんですね。道理で、判例や、条文も捜せなかったわけです。無い物を探してもねぇ……。よく分かりました。ありがとうございました。

お礼日時:2006/12/21 11:15

#1です。



『噂話を否定できる環境にあるといえます。』

と示しましたが、その噂話自体は、その場で否定すれば嘘であると証明できるような内容のことです。

噂話の内容の程度を測ることも難しいことなので、やはり4を要件とするのは極めてまれなケースで、加害者が、「冗談だよ!/ウソだよ!」ということで済む程度の中傷話ではないでしょうか。(もともとが、訴訟には発展しない程度の戯れごと)

基本的には、被害者の被害拡大防止『義務』はないと考えますので、刑法の名誉毀損が成立すると考えてよいと思います。
ただ、民法709条に「これに因りて生じたる~」とありますので、民法的には、「過大な損害と原因との間に、因果関係が認められない」と判断されるかもしれません。
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素人です。



私も、4の要件には疑問を感じます。
もしそれを「構成要件」とするならば、誹謗中傷される本人が、噂話ひとつ一つを否定して回らなければならなくなります。

しかし、オフィスなどの閉鎖された小空間において、公然と『本人の目前で』中傷された場合、その噂話を否定できる環境にあるといえます。
ですから、そのような要件が提示されたのではないでしょうか。(某有名TV番組でも見た記憶があります。)

名前は、そのものズバリというものは共通/確立していないと思いますが、「自力救済」「自助努力?」とでも呼べるのではないでしょうか。

もちろん、本人が同席しない場所で誹謗中傷された場合は、公益に寄与しないことであれば、その話の真偽を問わず、名誉毀損となります。
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