
以前、NHKの高校講座で、「使い捨てカイロの中身を取り出して、ビーカーの中で混ぜ合わせると温度が徐々にあがって行く」という実験をやっていました。
これは、発熱反応がおきたという例だったのですが、発熱反応では熱が外に放出されるのですよね。
質問(1)
なぜ、熱が放出されるにも関わらず、カイロの(鉄粉自身)の温度があがっていくのでしょうか?鉄粉の周りの温度があがるというのなら理解できるのですが、なんとなくよくわかりません。それとも、もっているエネルギーが小さくなることと、それ自身の温度とは別のことでしょうか?
質問(2)
また、この上がった温度から、変化したエネルギー量を求めることもできますか?
勘違い等あると思いますが、よろしくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
【質問(1) 】
鉄粉が自分の持っていたエネルギーを放出したから周囲の温度が上がった.
でも,鉄粉自身はエネルギーを失ったのなら,温度が下がっちゃうんじゃないのか?
多分,こういう疑問かと思います.
エネルギーにはいろいろな形態があります.
例えば,高い位置にある物体はそれだけ高いエネルギー持っています(位置エネルギー).
高い位置にある水を落として水の運動エネルギーにして,
それでタービンを回して発電,というのが水力発電所です.
つまり,水力発電所は水の位置エネルギーを電気エネルギーに変換する装置と言えます.
原子の化学的結合の仕方によってもエネルギーは違います.
今の話に即して言えば,
鉄と酸素が単独にあるときよりも化合して酸化鉄になったときの方が
エネルギーが低いのです.
鉄が酸化するとこの差の分だけエネルギーが放出されます.
このエネルギー放出は熱エネルギーの形をとります.
温度と直接関係があるのはこの熱エネルギーなのです.
位置のエネルギーや化学結合のエネルギーは温度とは関係ありません.
さて,熱エネルギーが放出されると,
まず鉄粉(一部は酸化鉄になっていますが)の温度が上がり,周囲より高温になります.
熱は温度の高い方から低い方に流れますから,
鉄粉から周囲に熱が流れて周囲の温度も上がるというわけです.
鉄粉自身の温度が上がるか下がるかは,
酸化によって供給される熱エネルギーと周囲に伝わって失われる熱エネルギーの
どちらが大きいかで決まります.
定性的に言えば,次のようになるでしょう.
最初は周囲の温度と同じで,酸化が進むにつれ温度が上がります.
周囲との温度差が大きいほど周囲に逃げる熱は大きくなりますから,
どこか適当なところでバランスするでしょう.
そのうち,酸化していない鉄粉が少なくなると熱エネルギーの供給が少なくなりますから
だんだん冷えて,最後は周囲の温度と同じになります.
> もっているエネルギーが小さくなることと、それ自身の温度とは別のことでしょうか?
エネルギーとして全体のエネルギーのことを言うなら,別のことです.
温度と直接関係しているのは熱エネルギーです.
もっている熱エネルギーが小さくなれば温度は下がります.
【質問(2) 】
今の話ですと,
[生じた熱エネルギーの総量]=[化学結合のエネルギーの変化分]
になっています.
温度変化と熱エネルギーの関係は熱容量を比例係数として結びついていますから,
原理的には温度変化から化学結合のエネルギーの変化分がわかります
でも,熱が周囲に逃げてしまってはその分が誤差になります.
実際の熱測定では断熱に頭を痛めるところです.
お礼が大変おそくなりました。
>鉄粉が自分の持っていたエネルギーを放出したから周囲の温度が上がった.
でも,鉄粉自身はエネルギーを失ったのなら,温度が下がっちゃうんじゃないのか?
そうです。そう思っていました。
回答じっくりと読ませていただきました。かなり、解ったというより、エネルギーについて全く自分が考えてないということがよくわかりました。
>温度と直接関係しているのは熱エネルギーです.
そうなんですね。もう少し、勉強してみます。また改めて質問するかもしれませんが、よろしくお願いします。
No.4
- 回答日時:
鉄粉と酸素のエネルギーと酸化鉄のエネルギーが違うからその差が熱になるのです。
エネルギが小さくなることとそれ自身の温度とは別のことです。
断熱した環境では物質のエネルーギーと温度は相関しますから
エネルギー量は測定できます、
例えば石油などのカロリーや食品のカロリーはそうした装置で測定します。
ボンベの中に測定するものと酸素を封入し外に熱が逃げないように水中に浸し
燃焼させボンベの温度が上がると同じ速度で外の水の温度を上げて熱の出入り、
エネルギーの出入り、がないようにし測定します。
お礼が大変遅くなりました。
>例えば石油などのカロリーや食品のカロリーはそうした装置で測定します。
食品のカロリーについては、そういえばそうだったなーと改めて思い出しました。
エネルギーについてもう少し勉強してみます。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
(1)
『発熱』を『物質の表面から熱が出る』と勘違いしておられませんか?
表面だけから熱が出るわけではなく内部から熱が発生する訳ですから、鉄粉自身が熱くなるのが当たり前で、鉄粉自身が熱くならないのなら発熱していない事になります。
電熱器のニクロム線も表面だけではなくその中心部でも発熱しており、その熱も当然外部に放射されます。
そもそも『熱』とは分子(原子)の運動なので、発熱反応とは分子(原子)の揺れの振幅が大きくなる化学反応ということになります。
と言う事は反応した物質の分子(原子)自体が揺れるのですから、外部だけが熱くなるはずはありません。
(2)
鉄の原子一つに酸素が反応した時(酸化鉄には種類があるのでそれぞれ違いますが)の反応熱はわかっていますから、発生した熱のエネルギーの総量が分れば反応した鉄や酸素の量を求める事が出来ますし、逆に反応した酸素や鉄の量がわかれば発生した熱量は計算できると思います。
以下余談です。
鉄は空気中で燃やす事ができることをご存知でしょうか?
台所で使うスチールウールという鉄の糸で作ってあるたわしは、火を当てて口で吹いて風を送ると『ボーッ』ッと燃えます。
酸素さえ充分にあれば燃えるという事ですね。
また工事現場や工場でアセチレンの青い火で鉄を切っていますが、あれもアセチレンの燃える熱と共に鉄自身の酸化による発熱も利用して切断(溶断)している訳です。
>『発熱』を『物質の表面から熱が出る』と勘違いしておられませんか?
そうなんです。鉄自身が熱くならないで、発熱することは不可能だろうと経験的には思いながらも、どうしてもそういう結論になってしまいました。
(2)については、鉄の反応熱が分かっていないと仮定した上での話でしたが、食品などのカロリーはそうやって求めると他の方もおっしゃってましたし、可能だということですね。
No.2
- 回答日時:
>質問(1)
懐炉の中で起こっている化学反応では、鉄が酸化して反応熱を放出します。このとき、鉄の結合エネルギーは小さくなります。しかし、エネルギーは保存しますから、鉄が失ったエネルギーは、どこか別のところへ行かなければなりません。この場合は、それが、酸化鉄の熱エネルギー、つまり、酸化鉄分子の運動エネルギーになったのです。熱はエネルギーの一形態です。反応前、鉄と酸素がもっていたエネルギーと、反応後、酸化鉄がもつエネルギーは、一致します。
>質問(2)
絶対温度T[K]の物質の分子は、1自由度当たり、1/2kT[J]の運動エネルギーをもちます。このことから、反応熱を割り出すことができます。
ありがとうございました。
エネルギーが保存するという意味が良く分かっていないようでした。
(2)については、熱を逃がさない状態でなら、可能ということですよね。
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