No.3ベストアンサー
- 回答日時:
1、まず爵位と官職とは全く別です。
爵位は個人の所有財産ですが、官職は国家のポスト(地位)です。
爵位があっても、政治的役割を担えるわけではありません。
また「5爵」というような言い方はフランスではしませんというか、
五爵は明治日本の華族令にもとづくもので、他にはありません。
ヨーロッパの場合、五つでもなく、また一般に誤解しやすいですが
爵位は段階になっているわけでもありません。
帝政時代などに特定の条件で与えらた伯爵・男爵位、子爵などを除いて、
基本的にはそれぞれのタイトルはそれぞれ独自の歴史と起源を持つものです。
貴族で、裕福か生活の糧を別に持っているならば、
何の官職についてなくても不思議ではありませんし、珍しくも在りません。
貴族にとって、官職はそもそも収入をえるためのものであり、
軍人であれ、徴税官であれ、同じです。
高位高官は協力なコネと帯剣貴族など身分的上位者に限られたので、
大多数を占める下級貴族は主に軍人やローカルな官僚を目指し、
士官学校や法律を学ぶために大学にいきました。
フランスには三部会が一応の議会制度でしたが、長く開かれなかったので、
貴族といえども政治参加の機会はほとんどありませんでした。
そもそも絶対王政の時代には、すべての政治的権限は国王のみが握っていたのですから。
高等法院で法曹家となった貴族たちがほそぼそと王権に抵抗してたくらい。
大貴族は王家に取って代わりうるために警戒されて政治から遠ざけられました。
国王の新任を受け、官僚として、政治の主要な役割を果たした人々は、
どれも英才ならが比較的下級の貴族でした。ネッケルなどは外国人でもありました。
リシュリューなどは例外といえます。
「貴族、公爵・伯爵・男爵など、5爵の人達は、政治などをしている」
というのが間違いで、
実際には「その他」の人々が行政(政治)を取り仕切っていました。
2、貴族の子弟は、地方ならば家庭教師、
都市の近くならば幼年学校を経て、コレージュに入学し、
さらに進むならば大学に入ります。(大学院もある)
基本的に学問は一般教養(ラテン語や母国語、作法)のほかには、
神学と法律学が主なもので、勉学を続ける人の大半は、
弁護士/検事か、司祭になりました。
科学分野の大学は(フランスには)パリに一つあっただけで、
非常に狭き門です。
長らく秀才のみが入学を許されました。
ただ貴族の学業は、主に貴族としての社交と教養・礼儀を身につけるためのもので
今とはかなり違います。
しかし全般的に貴族の就学率は高く、学ぶ内容は違えど、
現代の我々とあまりかわらないといえるでしょう。
ただ企業なるものは存在しませんから、何らかの官職に就くか
軍籍に入るか、あるいは事業を始めるかしないとそれから先がないのは
少し今とは違います。国家は最大の就職先で、貴族は
王政を支える”枝”として優遇されていました。
ちなみに女性の場合も、太陽王の後妻マントノン夫人が創設した
サン=シール学院がありました。これは現代なら女子大に相当します。
ただ大半の貴族の子女は、修道院などに入って学び、
卒業と同時に婚約するのが一般的でした。
大変詳しい解説、ありがとうございます♪
五爵は明治日本の華族令にもとづくもので、他にないんですね。誤解していました。
フランス小説を読んでいると、ヴァルモン侯爵やダンスニー騎士など、位の称号のついた登場人物が出ていたので、フランス貴族の位の名前だろうと思っていましたが、日本語に直すとそぅなるということなんですね。
ありがとうございます(^▽^*)
No.2
- 回答日時:
まず、爵位についてですが、建前としてはこれはそれぞれに役割があります。
公爵および侯爵は、王族で分家した人に与えられる爵位で、特に公爵は一定範囲の領地を独立的に与えられます。
伯爵は地方長官に与えられる爵位です。
男爵および子爵は、これらの爵位を持つ家の子弟および分家が持つ爵位です。
しかし、時代が下がるとともに、王権のもとに国家が統一され、官僚機構によって国内が統治されるようになると、爵位を持つ人々は高級官僚と同様になり、パリおよびベルサイユに集住するようになります。
しかし、領地にそのまま在住している貴族もおり、それらの人は領地を統治します。
また、パリに住む貴族は、領地からの収益を受けますが、しだいに名ばかりの領地となり、官僚となって王家に寄生する生活となります。その場合は、軍や政府、教会などに職を得ることになります。
次に貴族の子ですが、No.1の方が仰るとおり、家庭内で教育を受けます。ただ、親に省みられない子も多く、教育は執事等の召使の裁量に任されるか、教会や修道院に送られることも多かったようです。
学校制度は、高等教育としての大学はありましたが、そこに至る初等教育からの制度として整っているわけではなく、また多くは教会に付属しているか、教会の影響下にありました。
このような状態で、フランスの貴族は時代が下がるにつれ、王権の強化と第三身分といわれる平民の経済活動の活発化によって、貴族の役割は下がり、大革命時期では、地方貴族を除くと、ほとんどすべてが、国家に寄生する存在となっていたようです。
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