
最近、宮本輝の避暑地の猫を読み終えました。
本文の内容に触れる質問ですので、10行ほど改行を入れます。
ネタバレが嫌な方はそのまま見ない方がいいです。
↓
10
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1
(質問)主人公の父親はなぜ母親を殺してしまったのでしょうか?
最初は怨恨からだと思っていました
しかし、最後に絹巻刑事が母親は父親の子を身ごもっていたことを
主人公の修平に明かします
そうすると、父親が母親を殺す理由は「修平をかばうため」
・・・と考えましたがこれもやはり矛盾しています
地下室に修平がいなくても代わりに殺していたと推測されるからです
金次郎が約束のお金を母親に知られずに姉に渡すことは父親も
知っていたし修平に対して、理由も明日説明する、と言っていたので
母親を殺すことは既定路線だったんだと思います。
ただ、夫婦関係がないと思われていたのに実はあったとなると
どうしても疑問が残ります。
どなたか教えて頂けないでしょうか?
何度も読み直しているのですが謎なのです

No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
難しいご質問ですね(^^;。本当の理由は、著者の宮本輝さんでないと分らないところですし、読み手側としては様々に想像してみることしかできないのですが。。。正しいかどうかは別として、私なりの考えを書かせていただきます。
なぜ修平の父親は母親を殺してしまったか。ご質問者様の挙げられた理由ももちろんあるかと思いますが、「怨恨」もしくは「修平をかばう」といった、一つの理由ではないように思います。以下、父親目線で書いてみます。
まず、「怨恨」。これは、もちろんあると思います。14年間、自分をさげすみ、裏切り続けた妻への恨み。妻のみでなく、娘とまで関係を続けていた金次郎への恨み。(最初から金次郎も一緒に殺すつもりだったのでしょう。)自分たち家族をさげすみ続けた金次郎一家への恨み。また、こんな屈辱的な状況にも、お金のために耐えなければならない自分へのふがいなさ。こういった複雑な心境がベースにあったのではないかと思います。
次に「子供をかばうため」。これも、もちろんあるでしょう。修平に人殺しの肩書を負わせたくない、ということに加え、美保も守りたかったのかもしれません。娘が金次郎と関係を持ち続けていることは、父親としては耐えがたいはずで、一刻も早く金次郎との関係をやめさせたかったが、美保の将来のためにはお金は必要だった。そこで、美保にお金が渡ったことを確認してから…と考えていたのではないかと思います。
そして、これは本文中にも書かれていることですが、「底無しの虚無」。妻のことはもちろん、地下室で「蛇」となる美保に対する思い。これだけで、父親としては救いようのない気持ちになったことでしょう。そこに、希望を残していた息子まで、金次郎の夫人を殺しておきながら、毎朝平然と恋人と(表現が古いですが)逢引きしているという、薄気味悪さと理解しがたさ。息子だけは「人間」だと信じていたのに、その息子までが「畜生」であったことが分って、唯一の希望の灯が消えてしまったことに対する虚無。これが加わって、家族がみな畜生と化してしまった元凶である3人(自分・妻・金次郎)をこの世から消してしまいたかったのではないかと思います。
最後に、これは穿った見方かもしれませんが。。。お腹の子供は司法解剖の結果で分かったことですので、父親は知らなかった可能性が高いのですが、もし知っていたとして。「これ以上、畜生を増やしてはいけない。」という思いも、心の片隅にあったのかなぁ、と。(すいません。これは、完全に勝手な想像です。)
以上、長々と書いてまいりましたが、こういった理由が複雑に絡み合って、想いがくすぶり続けていたところに、修平が母親と金次郎を殺そうとしたので、最後の手を下したのではないかと思います。と言いましても、あくまでも「私はこう思った」というだけの話でして、これが正しいかどうかは分りません。もし、これを読んで「それもちょっと違うんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、その場合はご容赦ください。
しかし「避暑地の猫」は、いろいろな読み方ができておもしろいですよね。私も10年くらい前に買って、何度か読み直して上のように思っているのですが、もしかしたらまだ理解できていないのかもしれません。また読み直してみようかな、と思いました。
ご参考になれば幸いです。
ご回答ありがとうございました。
かなり突っ込んだ内容の質問だったのにもかかわらず、
丁寧に答えて下さり感謝します。
結局複雑な理由が絡み合っていたのでしょうかねぇ
お腹の中の子どもや殺した真相は依然として謎のままですが、本文を
読む限りこの謎が解決することはないのかなぁと思いました。
「底無しの虚無」これも理由として成立しているでしょうね。
ああそうだった、と頷いちゃいました。
宮本輝の文学作品は、肝心な部分はわざと曖昧にしている感じがします。
それによって読み手に様々な想像を抱かせる手法を取っていると。
だから何度読んでも面白いのでしょうね。
「初めのうち熱心に医者として聞き耳を立て、やがてひとりの人間と
して、久保修平の嘘か誠か判別しかねる、 告白でも懺悔でもなく、
ある種の郷愁に包まれた回想でもない、 不思議なひと夏の出来事
に、時を忘れ空腹さえも感じず、一心に 耳を傾けた」
と本文の最初の方に書かれていますが、まさにこの作品を象徴している
内容だと思いました。
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