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Aが、飲食店に、ご飯を食べたらお店の人に暴行して金を払わず逃走しようと思って入店し、思惑通りご飯を食べた後お店の人に暴行して、反抗する意思を失わせた後逃走したら、強盗利得罪が成立しますよね。
それとは別に、払う気がないのに飲食物を注文した時点で、一項詐欺罪も成立するのでしょうか。詐欺の故意があったと見れるかどうかが問題だと思うのですが、故意の成立には構成要件該当事実の認識が必要であるとすると、上の例では、Cは「人を欺」く故意はないので、構成要件該当事実の認識に欠けていることになりますよね。そして、暴行・脅迫により財物を奪取することと、騙して交付させることとは、性質の違うものだと思うので、強盗の故意の中に詐欺の故意を含めて考えることも出来ないと思います。
でも、詐欺罪が成立するとする説もあるみたいなんですが、それはいったいどういう風に論理構成すれば可能なのでしょうか。そして、もし成立するとすれば、罪数処理はどうなるのでしょうか。よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

>上の例では、Cは「人を欺」く故意はないので、



 このような無銭飲食の場合における欺罔行為は何でしょうか。それは代金を支払うことを装って注文をすることです。店の人を暴行して金を払わず逃走しようと思っていたとしても、「代金を支払うことを装って注文する」という行為自体を認識しているのですから、故意がないとはいえないでしょう。

>もし成立するとすれば、罪数処理はどうなるのでしょうか。よろしくお願いします。

 これはいろいろな考え方があるでしょう。財物(注文の飲食物)と代金の支払を逃れるという財産的利益とは別の法益であるのだから、1項詐欺罪と2項強盗罪が成立すると考えることができます。ただし、併合罪とみるか、包括一罪(最決昭和61年11月18日刑集第40巻7号523頁参照)とみるかは争いがあるでしょう。
 一方、1項詐欺罪が成立する以上、財産罪としての評価は尽くされたとみれば、1項詐欺罪の他に2項強盗罪の成立を認めるのは妥当ではないので、1項詐欺罪と暴行罪が成立し、併合罪になると考えられます。
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この回答へのお礼

なるほど、そのように考えるのですね!
そうすれば、規範に直面しているといえますね。
ありがとうございます。

後半についてなのですが、飲食物と代金支払請求権を別の法益と考えれば、併合罪になると考えるのが素直な考え方ではないかと思うのですが、包括一罪になると考えられるのはなぜなのでしょうか。
61年判決を読みましたが「前記事実関係にかんがみ、本件は、その罪と(二項)強盗殺人未遂のいわゆる包括一罪として・・・処断するべきものと解するのが相当である」と述べられているだけで、なぜそう解するのが相当なのか理由が分かりません・・・
前記事実関係にかんがみ、とはいったいどういう意味なのでしょうか。

お礼日時:2008/01/12 09:26

>飲食物と代金支払請求権を別の法益と考えれば、併合罪になると考えるのが素直な考え方ではないかと思うのですが、包括一罪になると考えられるのはなぜなのでしょうか。



 論文等を読んだことがないので詳しいことは分かりませんが、おそらくこういうことだろうと思います。
 飲食物と代金支払請求権は別物であるから、法益の二重評価にはあたらないと言い切るには躊躇があるのだと思います。
 実質的に見れば、飲食物と代金支払請求権は、経済的には同一あるいは、密接な関係があります。法益の二重評価であるという批判を避けるには、一項詐欺罪と暴行罪の併合罪とするのが理論的整合性がありますが、あまりにも形式的すぎます。店員を暴行するのは、単なる暴行ではなく、代金を逃れるための手段なのですから、単なる身体犯とみるのは実体を無視していると言えるでしょう。
 あるいは、事件を一体に見て、二項強盗罪の一罪が成立するという考え方もあるでしょう。そうなると、飲食の注文は刑法的には意味のない行為ということになりますが、そうなると、店員を暴行して代金を逃れるつもりで注文して飲食した後、店員を暴行をしないで隙を見て逃げた場合、処罰されないことになります。(注文行為を強盗予備罪とするのも違和感があります。)やはりその注文行為は、欺罔行為と評価せざるを得ないでしょう。
 そうすると、一項詐欺罪と二項強盗罪が成立すると解さざるを得ないが、法益の二重評価という批判に鑑み、一項詐欺罪と二項強盗罪の包括一罪として、二項強盗罪の刑で処断するというのがこの説の実質的な理由だと思います。何故包括一罪になるのか理論的ではなく御都合主義的な嫌いはありますが。
 個人的には、罪数論というのは理論的というよりは、政策的な要素が強いと思っています。はっきり言って罪数論は私には理解できません。(笑)
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この回答へのお礼

再度のご回答ありがとうございます。

>個人的には、罪数論というのは理論的というよりは、政策的な要素が強いと思っています。
たしかに、おっしゃるとおりかもしれないですね。
>そうなると、飲食の注文は刑法的には意味のない行為ということになりますが、そうなると、店員を暴行して代金を逃れるつもりで注文して飲食した後、店員を暴行をしないで隙を見て逃げた場合、処罰されないことになります
何かを検討するときに、妥当な結論に思えても別の具体例に当てはめたときに不当な結果にならないかどうか頭の中で探していくのって、難しいですよね。(というか私には不可能です。回答者様はすごいですね!)

>事件を一体に見て
このような事件では、二つの行為に時間的・場所的接着性(?)があるから、といったような理由しかないですよね。

特に刑法はよくハマってしまいます。
大変参考になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2008/01/13 15:46

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