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OPアンプの加算回路を使ってミキサー回路を作ろうと思って色々ブレッドボードで実験したときに思った疑問について少し教えてください。
1つの音源をハイパスフィルターとローパスフィルターへ通して2つの信号を加算回路(ゲインは両者とも-1倍)で1つにしようと思っています。
LPF,LPFを作る前に加算回路を設計しようと、別々の2つの音源を加算回路へ入力してSPで聞くとRf=Rs=1Mの時が一番綺麗な音に聞こえました。少し前にOPアンプに接続する抵抗Rf,Rsには上限があるというのを読んだことがあるのですが、加算回路の場合上限はどれくらいなのでしょうか。1Mでも問題ないでしょうか。
また、通常なら加算回路でのRf,Rsはどのくらいの抵抗値を使うのでしょうか。
OPはTL072を使用しています。
既にHPF、LPFの設計は終了しており、加算回路を1Mのままで使用してもいいのですが、上限などがあってすぐに故障したら意味がないので質問させていただきました。
宜しくお願いします。

A 回答 (2件)

扱う信号がオーディオ帯域(20Hz ~ 20kHz)で、信号レベルが 10mV 程度以上で、OPアンプが TL072 で、利得が 1 程度なら、Rs = Rf = 1MΩでも問題ありません。



利得が-1の加算回路は以下のようなものだと思います。

  LPF出力 V1 ─ Rs ─┬─ Rf ─┐
                │ ┏━┓ │  ミキサ出力
  HPF出力 V2 ─ Rs ─┴┨- ┠-┴─ Vout
                ┌┨+ ┃ TL072
                │┗━┛
       GND ───-┴──────

OPアンプが理想的な場合のミキサ出力 Vout は
   Vout = - ( Rf/Rs )*( V1 + V2 )
となります。実際のOPアンプでは、いろいろな要因でこの式通りの特性にはなりませんが、冒頭の使用条件であれば、その差はごくわずかです。大丈夫と言われてもなぜそうなのか理由が分からないと不安でしょうから、その根拠を以下に説明します。

【高抵抗だと何がまずいのか】
Rs や Rf に高抵抗を使うと以下の弊害が出てきます。
   (1) 抵抗から発生する熱雑音が大きくなる(回路のSN比が悪化する)
   (2) OPアンプのバイアス電流によって出力電圧にオフセット電圧が乗る
   (3) OPアンプの入力容量と Rf によって周波数特性にピークが出たり、周波数特性が悪化したりする

信号レベルが 10mV 程度以上なら (1) は問題ありません。抵抗値が R [Ω] の抵抗器から発生するノイズ(熱雑音)は
   Vn [Vrms] = √( 4*k*T*B*R )
で表わされます。k = 1.38e-23 [J/K]、T は温度 [K]、B は周波数帯域 [Hz] です。B = 20kHz = 20e3 [Hz]、T=300 [K] (室温)の場合、1kΩの抵抗なら 0.58μVrms、10kΩの抵抗なら 1.8μVrms、100kΩの抵抗なら 5.8μVrms 1MΩの抵抗なら 18μVrms となります。一方、OPアンプ自身のノイズは TL072 の場合、10Hz~10kHzの帯域で 4μVrms [1] です。OPアンプの入力には3個の抵抗がつながっているので、ノイズの合計は√( 3×抵抗のノイズ^2 + OPアンプのノイズ^2 ) となります。信号の振幅が 10mVrmsならば(sin波なら28mVp-p)、信号とノイズの振幅比(SN比)は
   抵抗値   総ノイズ  SN比
   1kΩ   4.1μVrms   68dB
   10kΩ   5.1μVrms  66dB
   100kΩ  11μVrms   59dB
   1MΩ   32μVrms   50dB
となります。抵抗値が低いほどSN比が良くなりますが、50dB程度でいいのなら1MΩの抵抗でも構いません。抵抗値が低くなってもSN比があまりよくならないのはOPアンプ自身のノイズによるものです。したがって、信号レベルが非常に低い回路では、SN比を良くするために、小さな抵抗値とノイズの小さいOPアンプを使いますが、扱う信号レベルが大きければ問題ありません。

(2)  扱う信号がACならば(コンデンサでDC成分をカットする場合)問題ありません。ただし、オフセット電圧が大きくて電源電圧にまで達してしまう場合はOPアンプが正常に動作しませんが、全体の利得が1でTL072を使った上の回路の場合はそうなることはありません(詳細は省略)。

(3) 上の回路では、400kHzあたりに利得のピーク(+20dBくらい)が発生します。これはオーディオ帯域外にあるので耳には聞こえませんが、入力信号にこの周波数成分のノイズが乗ると、これが10倍(20dB)増幅されるので、ノイズが大きいとOPアンプの出力が飽和してしまい、オーディオ帯域の特性に悪影響を与えます(歪みが増える)。入力信号が矩形波の場合、利得にピークがあると波形の立ち上がりと立ち下がりに振動(リンギング)が起こります。入力信号がオーディオ信号であっても、このような利得ピークがなるべくできないようにすることをお薦めします。Rf が小さいほどピーク周波数は大きくなり、ピーク利得も下がってきます。この回路の場合、Rs = Rf = 47kΩ とすれば利得ピークがほぼなくなり、1MHzまでフラットな周波数特性が得られます(計算方法は省略しますが、詳しくお知りになりたければご説明します)。

[1] TL072データシート 9ページ上の表(Equivalent input noise voltage) http://focus.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/tl072.pdf
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この回答へのお礼

丁寧に説明していただき本当に有難うございます。
色々実験してみて、説明して頂いた事を自分なりに理解しました。
Rs=Rf=47kにして全体をもう一度見直してみることにします。

お礼日時:2008/02/24 00:18

OPアンプ回路の一般的なインピーダンスの考え方と、本質問の回答とさせていただきます。



通常入出力インピーダンスは10KΩから100KΩの範囲で使用します。
装置の仕様で低消費電力で設計する場合100KΩから1MΩの範囲となり、
消費電力よりノイズの誘導などの影響を受けにくくする場合は10KΩから100KΩとなります。
*全体の入出力インピーダンスを統一し、100KΩなら各回路ごとの仕様を100KΩに統一します。

>加算回路の場合上限はどれくらいなのでしょうか。1Mでも問題ないでしょうか。
1Mが上限と考えてください。抵抗の特性と回路の漏れ電流の関係が影響してきます。
*通常100KΩか470KΩ程度を使用しているはずです。

>既にHPF、LPFの設計は終了しており・・・・
PF、LPFの入力インピーダンス系に統一するのが一般です。
Rf=Rs=1M を100KΩか470KΩ程度と推定されます。
*1MΩ以上は経年変化で抵抗値の変化(増大)が無視できなくなります。

このカテゴリーでなく下記ので質問が良かったのでは・・・・・
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この回答へのお礼

丁寧な説明を有難うございます。
Rs=Rf=47kでミキサー回路を作り直し、HPF,LPFもそれに合わせて修正することにします。
>このカテゴリーでなく下記ので質問が良かったのでは・・・・・
学問&教育に適したカテゴリーがあったんですね・・・これからは、そちらで質問させていただきます。

お礼日時:2008/02/24 00:25

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