誕生日にもらった意外なもの

仮に仮定の妄想の話ですが、知人にナイフを譲り、その知人とは一切連絡しなくなり10年後に、その知人がそのナイフを使って犯罪をしてしまったらナイフを譲った人も法に触れたり、犯罪者になるのでしょうか?

A 回答 (6件)

刑法だけ考えますが、結論から言えば「"普通は"故意がないので犯罪にはならない」です。



まず、ナイフ(包丁だろうと刀剣だろうと何だろうと構いません)を譲渡すること自体はそれだけでは犯罪にはなりません(刀剣類には所有等に一定の制限があるにしても譲渡それ自体が一般的に犯罪を構成するわけではない)。もっと言えば、これを「ハンマー」とか「バール」とか「アイスピック」とかに換えても全く同じです。譲渡それ自体が違法でない物であれば、理屈は全て同じです。

さて、犯罪者が犯罪の用に供した道具について、その道具を本犯に供与した者が犯罪になる場合を考えると、共犯しかありません。
共犯には、教唆、幇助、共同正犯の三つがあります。これを設例との関係で考察すると、教唆は「犯罪実行の意思のない者を唆して犯罪を実行する意思を生じさせ、犯罪を実行させる」ことが必要なのですが、ナイフを譲ることそれ自体はそのような意思とは別ものですし、実際にそのような意思があったとはとても思えない(理論上は「(教唆の)故意がない」と言います)以上は、教唆は問題になりません。
幇助は「既に犯罪実行の意思のある者に対して、当該犯罪を物理的に容易にしまたは心理的に促進するような援助を"それと分かって"したこと」が必要ですが、10年も前から「既に犯罪実行の意思がある」とは思えないし、何より通常は「それと分かって」いるとは思えない(つまり「(幇助の)故意がない」)以上、幇助も問題にはなりません。もちろん、仮に10年後に犯罪を犯すつもりの人物にその犯罪のためにナイフを譲渡したというきわめて特殊な状況であるなら幇助にはなりますが。なお、幇助のつもりだったが正犯が10年間犯罪を実行しなかったなんて場合には、そもそも正犯との関係で幇助行為と言えるのかが疑問ですが、場合によっては幇助となることが絶対にないとは言えません(これは教唆でも同じ)。
最後に共同正犯。簡単に言えば、「二人以上で共同で犯罪を実行する」と共同正犯になります。犯罪実行していないのですから共同正犯になどなりっこありません。実行しなくても共同正犯になる共謀共同正犯というのもあるのですが、いずれにしても共謀がないので論じるまでもないです。
なお、日本には共謀罪はありませんので、共謀罪など検討の余地はありません。

あと一応付言しておくと、犯罪によっては予備が独立の犯罪となっていることがあり、例えば殺人予備、強盗予備などがあります。そこで予備の従犯とか他人予備とか理論上の議論は色々ありますが、全部はしょって結論だけ言えば、とにかく、「犯罪の用に供することを意識しつつ譲渡するという意図がない」限りは「犯罪の故意がなく、過失犯処罰規定がない以上は犯罪とならない」です。

余談ですが、「犯罪に使用させるために包丁を作った(売った)」だと逆に故意があるので犯罪になり得ます。Winnyの作成者が罪に問われたのはまさに「著作権法違反に使用されることを意図して」つまり、幇助の故意があるという認定があったから。Winny裁判という個別具体的な裁判の是非については論じる気はありませんが、「犯罪に使用することを意図して作成す(売)ればそれは幇助たりうる」という一般論は確実に成り立ちます。

ということで本件設例は「故意があったかなかったか」がまず問題、次いで10年も経ったら教唆、幇助等とは言えない可能性が高いということが問題になるわけですが、一般的な話として考えれば、故意があったとは言えないと考えるべきで、即ち、10年の方を考慮するまでもなく犯罪とならないということになります。

この回答への補足

度々質問してすみません。

1「犯罪者が犯罪の用に供した道具について、その道具を本犯に供与した者が犯罪になる場合を考えると」という文が理解できなかったのですが、簡単に言うと、犯罪者に犯罪をする為の道具を故意的に犯罪者に提供したら、という意味でよいですか?

2法律用語なのでしょうか、「過失犯処罰規定」「本犯」「設例」の意味を教えてください。

whoooさん、度重なる質問で申し訳ございません。m(__)m

補足日時:2008/04/06 15:30
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この回答へのお礼

凄いご回答です。ありがとうございます。ここまで、ご丁寧に法律の観点からご回答いただけるものとは思えませんでしたので、感動しています。

しかし、お馬鹿な私には、いささか難しく専門用語なども飛び交い、理解できた感覚が半分、もう半分はよく分からない、が本音です。
こんな事言ってすみません。m(__)m

ご丁寧にありがとうございます!(^^)

お礼日時:2008/04/06 15:04

#5です。



>「犯罪者が犯罪の用に供した道具について、その道具を本犯に供与した者が犯罪になる場合を考えると」という文が理解できなかったのですが、簡単に言うと、犯罪者に犯罪をする為の道具を故意的に犯罪者に提供したら、という意味でよいですか?

間違いではないのですがちょっと違います。要するに「何かを他人にあげたらその何かを使ってその人が犯罪を犯した。その時に、その何かをあげた人が犯罪になるかどうかを考えると」というただそれだけの意味です。
その「何か」が「犯罪をするための道具」であるかどうかとか「あげた」時に「犯罪をすることを知っていた(=故意があった)」かどうかとかは「犯罪になるかどうか」を実際に検討する段階で問題にすることなので「犯罪者が犯罪の用に供した道具について、その道具を本犯に供与した者が犯罪になる場合を考えると」という問題設定の段階でそれを含めてしまうのは論理的には「答えの先取り」になってしまいます。ただ、「答えの先取り」とは言っても、実際には最初からある程度答えが見えた上で問題を設定するので、その点からすれば「間違いではありません」。

>「過失犯処罰規定」「本犯」「設例」の意味を教えてください。

「過失犯処罰規定」というのは、簡単に言えば、「わざとではないがうっかり不注意でやってしまったことを犯罪として処罰することを定めた法令の規定」のことです。つまり、その気は無かったのにうっかり他人を怪我させたなんてのは「過失傷害罪」という規定があるので犯罪になります。わざとやるのを「故意犯」と言い、これが犯罪の原則です。「うっかり」の場合には過失犯と言い、これは特別の規定が必要というのが原則なのです(もちろん、故意犯も規定がない限りは犯罪ではないという意味では同じなのですが。その意味で故意犯を処罰する規定=犯罪とする規定がある場合に、過失犯を処罰する規定があるかないかという対比でしか問題にはなりません。故意犯を処罰しないで過失犯のみ処罰ということはありませんから)。
そこで「うっかり不注意で犯罪の手助けをした」というのはそれを犯罪として処罰する規定がないので犯罪にはなりません。

「本犯」という表現は実は止めようと思って直したのですが直し忘れただけです。通常の用法では、例えば窃盗罪と盗品等譲り受けの罪などにおいて、盗品等譲り受けの罪(盗品と知りつつそれを譲渡したりする行為を犯罪として処罰する規定)を論じる時に、窃盗罪(またはその犯人)のことを本犯と言います。つまり「本犯」とは「現在論じている犯罪そのものではなくてその犯罪について前提となっている他の犯罪(またはその犯人)のこと」です。
共犯においては通常は「正犯」という表現を使うのですが、ここでは「狭い意味での共犯(教唆、幇助)だけでなく共同正犯も含めた広い意味での共犯に加えて、共犯だけでなく独立の犯罪の可能性も含めて問題を設定した」のでわざと「本犯」と言ったのですが、あまり適切でないので直そうとして直し忘れたのです。結局は「共犯しかない」という話になるので最初から「正犯」を使っても良かったのですが、問題設定に共犯であることを前提にした「正犯」という表現を最初から入れると先に述べた「答えの先取り」になってしまうのでそれを避けようとした結果、かえって不適切な表現になったということで、この点は無視してもらった方がいいと思います。

「設例」は一般的ではないかもしれませんが特に法律用語ではありません。例として設定したその例のことを「設例」と言います。「設」定した「例」の略だと思ってもらって構いません。類語に「設題」なんてのもあります。「設問」は聞いたことがあるかもしれません。

さて本題に戻ります。
不正確ですが極々大雑把に言ってしまえば、本件の中心は、
「知人にナイフを譲り渡すに当って、その知人がそのナイフを犯罪に使用すると思っていたのですか?」
ということです。
普通は思っていませんね。思っていなければ犯罪にはなりません。思っていたならば犯罪になる可能性はあります(思っていただけでなるわけではありませんが「可能性」はあります。これ以上は、もっと細かく検討しないと答えは出ません)。
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この回答へのお礼

ご丁寧にありがとうございました!!m(__)m
理解できました!

本題ですが、わたしはナイフを譲るときに、その知人がナイフを犯罪に使うなんて思ってもいません。ただのナイフ好きのように見えたから譲っただけです!(^^)

お礼日時:2008/04/08 13:37

それでは,売った店も犯罪者になってしまいますね.

この回答への補足

皆様ご回答ありがとうございます。 まだ継続してご回答募集しておりますm(__)m

補足日時:2008/04/06 12:09
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この回答へのお礼

あ、たしかに。。
ご回答ありがとうございます!

お礼日時:2008/04/06 09:32

その理屈で言うと


包丁を使った犯罪が起きると包丁を作った人も犯罪者って事になるね。


但し、包丁やナイフ(何ナイフなのか知らないけど一般的に言うナイフだとして)ではなく最初から「刀」だとか「剣」だとかだと別
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

お礼日時:2008/04/06 09:33

法律的にはわからないけど、ナイフを譲りって何のためにですか。

しかも、10年後にと言われても、そんなこと忘れていると思うし。渡した人はプレゼントに調理セットみたいな感じで渡したのであれば、まさか殺人に使われるなど想定もしていないでしょう。そんなんで逮捕されるとは思えないです。状況がよくわからないので、こんなことしか言えませんが。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。参考になります。

お礼日時:2008/04/06 09:34

譲ってすぐに刺したなどの犯罪に使われたら、共謀罪とか共同正犯の可能性も考えられますが、


10年後ならまったく関係ありません。
譲った人は犯罪になりません。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございますm(__)m

お礼日時:2008/04/06 09:31

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