新古今和歌集、藤原俊成女による、
「風通ふ寝覚めの袖の花の香にかをる枕の春の夜の夢」
の鑑賞をどのようにしたらよいか分からないのですが、
誰か分かる方、いらっしゃいませんか。
俊成女についても教えてくださると嬉しいです。
調べて現代語訳は分かっています。
[訳]
夜明けの風が部屋の中に吹いてきて、
ふと目覚めた私の袖が花の香に薫る。
そして、花の香りが漂う枕で見ていた、はかない春の夜の夢よ。
どのような情景でこの歌が詠まれたのでしょうか?
回答お願いします
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
蛇足ですが、新古今和歌集を勉強しているので。
まず「の」の数を数えてみてください。3・3の6個もありますね。調子を整える新古今調と言われております。
次に春の夜の夢。訳で記されたとおり儚い夢となりますね。
本説(歌を作る際に参考としたもの)は、和漢朗詠集 蘭 橘直幹の
夢断、燕姫暁枕薫
と新体系(岩波書店)は言っております。
またおそらく参考としたとするのが、通親亭影供歌合 藤原俊成の
梅が香になれぬる袖を片敷けば夢も昔の春の夜の夢
と秋篠月清集 藤原良経の
軒近き梅の梢の風すぎて匂ひにさむる春の夜の夢
と作者別年代順新古今和歌集(笠間叢書)と言っております。
俊成卿女は、歌を作るときには、いろんな歌集(伊勢、源氏、古今など)を繰り返し読んで、自分の周りに散らかして、火を灯して静かに作っていたと鴨長明の無名抄は伝えております。従って、彼女の歌の本歌・本説・参考歌は、解説本によって違ったり、訳も全く違っていたりします。三十一文字以上の広がりがあると全集(諸学館)では記しておりました。
花→風→袖→枕と香が移っていく様を表していると思います。
千五百番歌合 春二 百二十番で私も花は梅と思いますが、各解説本、新古今和歌集巻第二とも桜としております。
桜は、匂いは少なく、圧倒的に梅なのですが。
俊成卿女の歌は、印象派の絵画を見るような、ピカソの絵を見るような分かりにくいという印象です。
回答ありがとうございました。
とても参考にさせていただきました。
分かりにくい中に、
美しさがぎっしりつまっている歌だな、と思いました。
本当にありがとうございました!!
No.2
- 回答日時:
この歌は、後鳥羽院主催の千五百番歌合の百二十番目(夏歌の部)に出てくる歌です。
番の相手は、歌学者で著名な顕昭で、判詞は俊成卿女の勝となっています。したがって、この歌が詠まれた背景は、特定の情景を詠んだものではなく、主催者側からあらかじめ歌人に与えられた歌の題に沿って、古今の物語あるいは歌集などからイメージを膨らませて詠作したものでしょう。歌の意味は、
風の吹き通う、眠りから覚めたばかりのわたしの袖が、梅の花の香でかおり、その香りの漂う枕元に、春の残像がゆらめいている。
と言ったところでしょう。花については、顕昭の歌も梅であり、部立てから見ても梅の花の部にあります。
俊成卿女は、藤原俊成の娘の八条院三条の娘で、実際には俊成の孫にあたります。父親は、六条流の藤原盛頼です。藤原俊成の養女となったことから、俊成卿女と呼ばれているようです。新古今集の撰者の一人の源通具と結婚して、具定と女子を産んでいます。「無明草子」の作者かと考えられている人です。
詳細には、人名事典などで調べてみれば、すぐにわかります。
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