
以下のような整流回路を組んでいますが、出力電圧が変動するので悩んでいます。アドバイス頂けたらと思います。
(1) ボルテージフォロアのオペアンプ入力に10kHzの矩形波を入力(0-3V)
(2) (1)の出力をダイオードとコンデンサで整流
(3) 整流後の直流電圧をボルテージフォロアのオペアンプでバッファリング
※オペアンプには+10Vと-5Vの電源を入力
この時、(2)をオシロで触った瞬間+10Vを示し、次第に降圧して最終的には+3Vに落ち着きます。
(3)のオペアンプの出力を触った瞬間+3Vを示し、次第に昇圧して最終的に+10Vで落ち着きます。
何故このように直流電圧値が変動するのでしょうか?
オシロのプローブは1MΩで使っています。
ちなみに(3)のオペアンプを切り離すと整流後の直流電圧は+3Vで一定です。
コンデンサは0.01μFを使っています。
少なくとも、整流後の電圧が入力矩形波のピーク電圧である+3Vを超えるはずはないと思っているのですが。
測定プローブのせいなのか、どこからかリークしているのか分かりません。
アドバイス頂ければ助かります。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
>Ibias VS Vcmが、それを示すグラフなのでしょうか?
その通りです。ご使用の入力電圧範囲では、LM6132のバイアス電流の向きはオペアンプから流れ出す方向です。
データシート(http://www.national.com/ds/LM/LM6132.pdf?)の7ページ右上の「Ibias vs Vcm 」のグラフを見てください。横軸が入力電圧(コモンモード電圧)、縦軸がバイアス電流です。このグラフは電圧の大きさが等しい±電源(±5V)を使った場合の特性です。入力電圧が4V未満のときのバイアス電流は負(オペアンプから流れ出す方向)ですが、4Vを超えると正(流れ込む方向)に変わります。電源電圧が±5V以外の場合、バイアス電流の向きが反転する電圧は、+側の電源電圧から1V下がったところになります。つまり、整流後の電圧(3V)が、オペアンプの電源電圧(10V)から1V差し引いた電圧(9V)よりも低い場合、バイアス電流はオペアンプから流れ出す方向になっているので、ANo.2で説明したような現象が起こります。
バイアス電流の大きさは100nA程度(データシート5ページのInput Bias Current)なので、この電流によってコンデンサの電圧は毎秒 10^(-7)/C(F) V ずつ上昇します。C = 0.01μF なら 1V秒なので、10秒で電源電圧に達します。ただし、この電圧が9Vを超えると、バイアス電流の向きが反転するので、コンデンサの電圧は9V程度で落ち着くはずです。もし、コンデンサと並列にR(Ω)の抵抗をつけたとき、バイアス電流はこの抵抗を流れます。このとき抵抗の両端には Ib×R の電圧が発生します(Ibはバイアス電流)。Ib = 100nA、R = 100kΩのとき、Ib×R = 0.01V = 10mV になります。つまり、入力信号が来ていないときのコンデンサの両端の電圧は 10mV より高くなりません。
今回の話とは関係ありませんが、LM6132はなぜバイアス電流が入力電圧によって変わるのかについては、データシート11ページのFigure 2を見ると分かります。LM6132はRail-to-Rail入力のオペアンプで、入力端子にはNPN(Q1)とPNP(Q3)の2つのトランジスタのベースがつながっています(他のトランジスタは無視してください)。こうすると、入力電圧が低いときにはQ3がONし、Q1はOFFになります。Q3はPNPなのでべース電流はオペアンプ外部に流れ出す方向です。このべース電流がバイアス電流になります。役に入力電圧が高いときにはQ3がOFFになり、Q1はONになります。このときのベース電流はオペアンプに流れ込む方向になります。このように、入力電圧によって動作するトランジスタを切り替えることで、動作可能な入力電圧範囲を電源電圧の範囲にまで広げることができます。
大変詳しい説明を頂き感謝しております。
整流後電圧が9VまではQ3のPNPトランジスタが動作し、9Vを超えるとQ1のNPNトランジスタが動作し始めるわけですね。
オペアンプの細かい内部動作を理解せず使おうとしており現象が理解できませんでした。
おかげで助かりました。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
もう既に結果は出ていますが、
高インピーダンスの半波整流回路の出力をボルテージフォロアのオペアンプで受けると、必ず最終的に+10Vで落ち着きます。(Vin;+~3V~の場合)
ボルテージフォロアの出力電圧が+であれば、差動増幅器の動作原理から流れ出し電流となり、出力電圧が-であれば流れ込み電流となります。
本オペアンプのLM6132は[Input Offset Current]が少ないので1MΩ程度の抵抗を「コンデンサは0.01μF」に接続する必要があります。
オフセット電流を逃がす回路が無いので、0.01μFのコンデンサに溜まって必ず最終的に+10Vで落ち着きます。
参考:LM6132 データシート
IOS Input Offset Current Typ 3.4nA Limit;50nA
*本ICが外部に流れるものかどうかは、出力電圧が+かーかの電圧極性で決定されます。
差動増幅器の差動動作状態の原理から類推してください。
ご回答ありがとうございます。
調べてみたのですが、入力バイアス電流が流れ出しか流れ込みかは入力段のトランジスタの種別で異なると書いてありました。
つまり、PNPトランジスタであれば流れ出し、NPNトランジスタであれば流れ込みといった感じです。
理解が間違っているでしょうか?
No.2
- 回答日時:
バイアス電流が外部に流れ出す方向になっているオペアンプを使ったとき、コンデンサが放電されないので、コンデンサがどんどん充電され、+側の電源電圧(10V)まで上昇します。
入力信号を加えた当初は、コンデンサは充電されていないので、ダイオードからコンデンサに流れ込む電流によってコンデンサの電圧が上がっていきます。コンデンサが3Vまで充電されると、ダイオードの両端の電圧差がなくなるので、ダイオードからコンデンサに流れる電流はなくなります(これ以降ダイオードはOFFになります)。しかし、その後でもオペアンプからコンデンサに流れ込むバイアス電流があるので、コンデンサの電圧は3Vを超えて上昇していきます。そして、オペアンプの電源電圧(10V)付近まで電圧が上昇するとバイアス電流が流れにくくなるので、コンデンサの電圧上昇は10Vで止まります。
その状態でオシロのプローブを非反転入力端子につなぐと、コンデンサに蓄えられた電荷がプローブの1MΩを通じて放電されるので、コンデンサの電圧が10Vからじわじわと下がっていきますが、オシロのプローブをつないだ瞬間は10V付近になっています。オシロのプローブをつないでしばらくしてコンデンサの電圧が3V以下に下がると、今度はダイオードがONになって、再びコンデンサが充電されはじめます。コンデンサに蓄えられた電荷はオシロのプローブ抵抗を介して放電されますが、電圧が3Vより下がると、ダイオードを介してまた充電されるので、コンデンサの電圧(オシロで見ている波形)はちゃんとした整流波形になります。
プローブをつないだときだけ正常動作するのはそのような現象が起こっているからです。ANo.1さんのご指示のように、コンデンサーと並列に100kΩくらいの抵抗を入れておくと、オシロのプローブをつながなくてもコンデンサの放電経路とオペアンプのバイアス電流の経路が確保されるので、オペアンプの出力端子にはちゃんとした波形が出てきます。オペアンプの型番は何でしょうか?
分かりやすい解説を頂きましてありがとうございます。
オペアンプはLM6132を使っています。
データシートを見たのですが、バイアスが外部に流れるものかどうかを判断する事ができませんでした。
Ibias VS Vcmが、それを示すグラフなのでしょうか?
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