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映画カサブランカのラストについて

始めてカサブランカを見ました。
大変面白かったのですが、ラストの解釈が私の思ったものと、
ネットでいわれているものとが異なるので、質問をさせていただきたいです。

ネットで調べたところでは、リックはイルザが好きだったけど、
あえてラズロに任せたとのだろうという風にかかれているのが多かったです。

しかし、私は、リックは最後、イルザを捨てたのだと思いました。
イルザのことを引きずっていたけれども、イルザがラズロではなくて、
自分のことを選んでくれたことで満足して、もうイルザのことは吹っ切れたのだと
思いました。

そうでなければ、あれほど醜態をさらして、通行証を渡すことをかたくなに
拒んでいたのに、うって変わってイルザをラズロに任せようと思ったりしないのでは
ないかと思います。

イルザもリックを選んでくれてたのだから、イルザのことがまだ好きなら、
ラズロに任せたりはしないだろうと。

リックはイルザのことに踏ん切りがついていたが、それをそのまま告げると
イルザを傷つけるので、最後の別れのところでイルザを納得させるために、
イルザのためだと言い聞かせたのだと思いました。

そして、最後署長がイルザは嘘を見抜くといっているシーンがありますが、
それはリックがもうイルザを好きでなくなったということをイルザに
見抜かれているだろうという意味でとらえました。

私の解釈だと、どこか矛盾がでるでしょうか?

なぜリックがイルザを好きだったけど、あえてラズロに任せたのかを
そう判断できる根拠があれば教えていただきたいです。

A 回答 (7件)

【字数制限により5欄からの続き】


一方では、リックが通行証を夫婦に譲ったのには、もうひとつワケがあります。それはラズロが、逮捕される直前にリックに「妻一人分でいいから通行証を手配して」と頼むシーンがありますが、そう頼む理由は「それほどまでに妻を愛しているから」だと言いました。こう言われたからには、リックとしては、その上を行かねばなりません。つまり、自分だってイルザを愛しているのだから、その証しとして、自分を危険にさらしてでも彼女の安全を確保せねばと思ったはずです。ここでラズロを見捨てて自分がイルザをさらっていったら、ラズロよりもカッコ悪い男になってしまいます。男がすたる、ってやつです。フィクション映画というものは、すべてのシーンとセリフに必ず意味があるものですが、ラズロとのあのシーンは、それを表現するために設定されたものでしょう。やはり、あそこでリックは2枚の通行証を誰のために使うのか決めたのだと思います。そういう意味で「身を引いた」とみんなは言うのではないでしょうか。

ただ、こうしたことを「イルザを好きでなくなった」と解釈するか「リックが身を引いた」と解釈するか「吹っ切れたから身を引いた」と解釈するかは、確かに微妙な問題かもしれません。というのは、そもそも「吹っ切れた」とか「好き」って何だろう、という疑問に至るからです。少なくともリックが好きなのは、せいぜいカサブランカとパリにおけるイルザであって、今後、アメリカでハンバーガーを食べて太っていく年取ったイルザを好きになれるかというと、わかったもんじゃありません。そういうのはラズロの一分の隙もない愛にに任せておいたほうがよさそうです。とはいえ、多くの観客は「今、この瞬間、彼はイルザが好き」と思いたいのです。ちょうど、『旅情』でペテン師に手を振って別れるキャスリーン・ヘップバーンが、その瞬間、彼を好きなのだと思いたいのと同じです。ある意味でそれは「自己の肯定」を意味します。

いずれにしても人間の感情は、そう簡単に白黒つけられるものではありません。好きなんだけどなぜだか憎かったり、出世したいんだけどなぜだか利益のない優しさを見せてしまったり……。そこがこの映画の名作と言われる所以でもあると思います。あの寂しいワン公のようなボギーの目が物語っているのが何であれ、多くの観客は彼に自分を投影するのではないでしょうか。そして、その目をいろいろに解釈する余地があるからこそ、『カサブランカ』は愛されるのだと思うのですが。

> これが理解できないと、リックは私にとって何を考えているか
> わけのわからない人になってしまいます。

何を考えているかわけのわからない人だから面白いんですよ。
以上です。
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。

ucokさんの解釈と、何故そう思うのかの根拠まで詳細に書いてくださったおかげで、
映画オンチの私でも、とても勉強になりました。

映画の解釈は人それぞれというのもわかるのですが、まずはucokさんがかかれているように全てのシーンとセリフに意味があって、
それらすべて考慮していったベースの上で、個々の解釈というものが成立するものと思います。

残念ながら私は全てのシーンとセリフに対して、きちんと考慮できているか自信がありませんでしたので、解釈に自信をもてず、質問をさせていただきました。
(実際イヴァンヌが対比として出ていることに注目していませんでした。)

リックが危険を冒してまでイルザとラズロを無事に行かせようとしたこと、
飛行場でイルザを見送るときの表情やイヴァンヌを捨てたときとの対比などを考えると、
確かにリックは最後までイルザを好きだったのかもしれません。

ただ、イルザ側からしてみたら、リックに振り回されたようでかわいそうですね。

ご返答をいただいてから、カサブランカを何度か見直しましたが、
最後にもう一つ分からないところがあります。
署長が「イルザは嘘を見抜く」といっていますが、
リックが何を思って何の嘘をいったのか?
また、イルザは嘘を見抜いて何を思ったのかが、分かりません。

リックが「自分には仕事があって、それはイルザがいては出来ない仕事だ。」
「狂った世界を黙ってみてはいられない」
といっていて、反独活動をすることを匂わせていますが、
ここの部分が嘘で積極的に反独活動をするつもりはないのに、
イルザを納得させるためにこう言ったのでしょうか?

長文でご回答いただいた上で厚かましいお願いですが、
ucokさんの解釈をお聞かせいただけたらありがたいです。

お礼日時:2010/05/06 02:55

重箱の隅をつつくような回答に真面目にレスポンスをいただき恐縮しています。



>ただ、イルザ側からしてみたら、リックに振り回されたようでかわいそうですね。

でも、もともと振り回したのはイルザのほうです。それに彼女は彼女で、リックとは和解できたし、夫を救うこともできたし、彼女だってリックに銃を向けたりしたし、あれは色仕掛けで迫ったのだという解釈もあるし、お相子なはずです。

>署長が「イルザは嘘を見抜く」といっていますが、
>リックが何を思って何の嘘をいったのか?
>また、イルザは嘘を見抜いて何を思ったのかが、分かりません。

これに関しては字幕が少々、誤解を招きやすいと思いました。実際には…

署長「お前、案外といいやつだな」
リック「さて、何の事やら」
著書「今、お前がラズロにしてやった事さ。子供騙しな話をでっち上げたじゃないか。でもな、俺も女にはちょいと詳しくてね。イルザはお前のウソを見抜いてるぞ」

…と言っています。
つまり、リックがラズロに向かって言った「イルザはお前のために、色仕掛けで俺に迫り、お前の通行証を手に入れようとした。俺もおなさけで、イルザが俺をまだ愛しているフリをするがままにさせてやった。だが、俺とイルザの仲は、とうの昔に終わってるんだ」が嘘だと署長は言っているのです。そして観客の多くもそれが嘘だと思っているからこそ“身を引いた”という解釈をしているのだと思うんです。さらにはリックがイルザに向かって言った「ここにとどまれば、自分もイルザも揃って収容所送り」も嘘だと署長は思っているのかもしれません。リックなら、そんなことはどうとでもできただろうからです。でも、そうまでしてイルザを振り回すよりは、ラズロと行かせたほうが彼女のためだと、リックは思ったのだろうと、署長は思っているのでしょう。

>リックが「自分には仕事があって、それはイルザがいては出来ない仕事だ。」
>「狂った世界を黙ってみてはいられない」
>といっていて、反独活動をすることを匂わせていますが、
>ここの部分が嘘で積極的に反独活動をするつもりはないのに、
>イルザを納得させるためにこう言ったのでしょうか?

これに関しては、実際には「狂った世界を黙ってみてはいられない」というよりは、「このおかしな世の中では、ちっぽけな3人の問題なんて、とるに足らないのは一目瞭然だ(つまり、くだらない三角関係にかかわっているよりは、もっと大事な仕事が俺にはあるんだ)」と言っているので、必ずしも“反独活動をすることを匂わせ”ているとは言いきれないと思います。ただ単に、(パリで言ったように)国のためであれ、(カサブランカで言ったように)自分のためであれ、何かのためにリックは(男らしく)戦い続けるのだということを匂わせていて、それには“女は邪魔だ”と言っているわけです。したがって「反独活動が嘘」とは言いきれません。

いずれにせよ、この映画では登場人物のほぼ全員が丸く収まっています。イヴォンヌはこれからも他の男を見つけるだろうし、それでいて母国に誇りを持ってたくましく生きていきそうです。署長なんて、カジノで贔屓してもらえる約束を取り付けたうえに、ナチにも部下にもメンツが立ったし、地位は安泰で、リックとのちょっと不思議な友情もますます育まれそうです。

それでいて、みんなが少しずつほろ苦い思いをしています。ラズロは空港での受け答えからして“子供騙しな話”が嘘だと見抜いているし、署長はリックという友人としばらく離れ離れになるし、イルザはリックの嘘を見抜いて痛々しく感じるとともに、夫を捨てきれない自分を呪うでしょう。

そういうところすべてが、ちょっぴり大人で、ちょっぴり人間味があるので観客の心を捉えるのだと思います。私たち人間は決して完ぺきな存在ではなく、喜怒哀楽や嫉妬や悔恨やずる賢さと共存しているわけで、その辛さは大人になるほど増しますからね。加えて言うと、この映画に出てくる人たちは、なんだかだと、皆、いいヤツなのです。殺されたナチの将校だって、単に職務を全うしていただけなのかもしれませんし、根っからの悪党だという描写はありません。そこがまた、この作品の後味をよくしているのだと思います。

以前は、「カッコいい映画だな」くらいの気持ちでさらっと観てしまった『カサブランカ』ですが、こういう機会を得て改めて丁寧に鑑賞してみて、第二次大戦下で製作された点は贔屓目に見る必要があるものの、傑作と言われる所以をつくづく実感しました。

参考URL:http://www.imdb.com/title/tt0034583/quotes
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この回答へのお礼

ご返答していただき、ありがとうございます。

署長が「イルザは嘘を見抜く」「イルザにあんな話をして」と字幕ではなっていたので、
リックがイルザにいっていった言葉に注目して嘘を探していましたが、実際はラズロにいった言葉に嘘があったんですね。

また、リックがラズロにいったセリフも、字幕では「俺とイルザの仲は当に終わっている」という肝心なところが欠けています。
字幕では、リックはラズロに「昨夜、イルザが私の店に来ました」「通行証を手に入れるために、最善を尽くした上に、まだ私を愛していると、あなたのためにそんな嘘を」となっています。
字幕をみたとき、私は、リックがいわなくてもいい余計なことをいっていると思いました。 これは、実はイルザは俺を選んだんだと、遠まわしにラズロに伝えているだと思ってしまいましたが、英文をみると全然違う印象を受けますね。
これだと、たしかにリックが嘘をついているのに納得です。

「here's looking at you,kid」を「君の瞳に乾杯」としたのは名訳かもしれませんが、
他のところで本来の意味から離れて、少々意訳しすぎなところがあるように思います。

やはり映画はその国の言葉で、理解をしたいですね。

最後に、何度も詳しくご説明していただいて、私の疑問に全てお答えいただき、本当に感謝しております。
ありがとうございました。

お礼日時:2010/05/08 14:06

レスポンスをありがとうございました。

初めに断っておきたいのですが、映画の解釈というものは、人それぞれに違っていて当然であり、違っていてこそ面白いのです。また、それを細かく解説するのは野暮と思って、これまで明確な意見を書かなかったのをお詫びします。そして、解釈は人それぞれであるからには、他人がどう言おうと、質問者さんは質問者さんの解釈に従っていればいいのだと思っています。したがってここでは単に、ご参考までに私個人の解釈を述べるまでです。

そのうえで申しますと私の解釈は「イルザが自分のことを選んでくれたことで満足して、もうイルザのことは吹っ切れたから、捨てるようにして身を引くことで、イルザに好印象を残した」です。これでご納得いただければ、以下は読んでいただく必要がありませんが、一応、詳しく説明します。

リックは映画の最後までイルザのことが好きなのだと私は思います。それは飛行場で夫婦の後ろ姿を見送ったあとの彼の表情に表れています。あれは「やれやれ、せいせいするわい」という顔には見えません。少なくともイヴォンヌを捨てたようにイルザを捨てているわけではありません。その対比のためにこそ、イヴォンヌという登場人物がいます。

そもそもこの時点でのリックにとって「吹っ切れる」とは何を意味するのか。それは、「燃える恋慕ゆえに、ずっとイルザに対する憎しみに悩み続けてきた自分を解放すること」であるはずです。それはイルザを「どうでもいい存在」に変えることではなく「静かな愛の対象」に変えることです。

ただ、それよりも大事なのは、リックがあくまでもカッコマンであることです。いい格好しいなんです。それがこの映画が、さらにはハンフリー・ボガートが、ハードボイルドと呼ばれる所以です。ハードボイルドの主人公は、ドジでも酔っ払いでも女でも構わないので、必ず“カッコよく”なければなりません。

で、この場合、どうするのが一番カッコいいか。それは愛する女性を幸せにしつつ、自分はいつまでもカッコいい存在としてその女性の心に生き続けることです。では、イルザにとっての幸せとは何か。それは、彼女が最初から一貫して愛していたはずのラズロと永遠に一緒になることだとリックは考えたわけです。パリの自分はいわば、イルザが無意識のうちにそうしていたとはいえ、ラズロの“代わり”だったのです。もちろん、ラズロが寛大で紳士で力に屈することのない責任感のある、誰から見ても非の打ちどころのない男らしい男であるということも、イルザを託したくなる理由ではあります。反面、今の自分は、まあ、明日をも知れぬ身なのはラズロとおあいこだとしても、酔っ払って彼女を傷つけるし、酒場の扉の向こうで汚いことをやったりしています。また、ハードボイルドという観点からいうと、男ぎのある男というものは、最初にいた男(この場合はラズロ)に敬意を表するのがカッコいいというのもあります。【つづく】
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#2と#3で回答した者です(前回、間違えて「#1です」と書いてしまい失礼いたしました)。

ご熱心ですね。よろしければご質問の意図、つまり、なぜ、そうまでしてお知りになりたいか、それから性別と年齢を、さしつかえない範囲内で構いませんので補足していただけませんでしょうか。できるだけ、質問者さんにとってわかりやすい回答を書きたいと思っていますので、そのために参考にさせていただきます。
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この回答へのお礼

何度もご返答していただき、感謝します。

私は30台後半の男です。

カサブランカはとても面白かったし、名作でもあるので、
正しい解釈をしたいと思っています。

ところが私の解釈が他の一般の人の解釈と異なっておりました。
私にはリックが身を引いたようには思えませんでした。

身を引いたとするリックに対して、私は心情的に共感できませんが、
身を引いた理由を言葉で説明していただくことで、
このときのリックの気持ちを理解出来るかもしれません。
これが理解できないと、リックは私にとって何を考えているか
わけのわからない人になってしまいます。

また、何を根拠としてリックが身を引いたと判断出来るのか
教えていただくことで、映画の内容を正しく解釈する力を
増やしたいと思いました。

これらが質問をさせていただいた意図です。

答えになってますでしょうか?

よろしくお願いします。

お礼日時:2010/05/01 14:01

#1です。



>イルザが好きだということ以上に、もっと優先度の高いものがあったということに

男だからさ。それに、彼女を幸せにしてやりたいからさ。
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。

イルザの幸せを願って身を引いたということですね。

自分と一緒にいることを願っていたイルザに対して、
逆に自分が身を引いたほうがイルザは幸せになると、
リックが判断したのは何故なのか?
結婚しているからという理由だけでそうしたのか?
まだ疑問は残ります。

3日ほど、ネットに接続できないところにいるので返事が出来ません。

お礼日時:2010/04/26 01:15

「好きだけど見を引く」のと「捨てる」のとの境目って、むずかしいよねえ……。

(溜息)
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。

好きだけど身を引いたとするなら、リックの価値観において、
イルザが好きだということ以上に、もっと優先度の高いものがあったということに
なるので、そうだとするならば、何がリックに身を引かせたのかを知りたいところです。

お礼日時:2010/04/25 00:15

ラズロに任せたというか、元々イルザとラズロは結婚していたので


リックは身を引いたのではないかと思います。
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この回答へのお礼

ご返答ありがとうございます。

イルザが結婚していたという事実に対して、リックが気にしていたというのは
私もそう感じました。

しかしパリでリックと離れたのは、死んだと思っていた夫のラズロから連絡が来たためだと、
イルザが真相を告白した後で、リックは「君は渡せないがね」といっています。
そしてイルザもリックに「でももうはなれられない」といっていていて、
お互いが愛情を確認しあっているように思います。

このことから考えると、結婚していたからというのだけが理由で、
リックが身を引いたとするのは、いくぶんはあったかもしれないけれど、
決定的な理由にならないように思います。

お礼日時:2010/04/25 00:03

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