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銅がなぜ貨幣として広く使われてきたのか
近代以前、お金といえば洋の東西を問わず、「金、銀、銅」の3種が材料として使われてきたと思います。江戸時代は「江戸の三貨」といわれ、小判(金)、丁銀(銀)、銅銭(寛永通宝)が決済に利用されたと聞きますし、中国でも通常の少額決済には銅銭、多額の決済には銀が使われたといいます。
金や銀に普遍的価値があるのは常識ですし、錆びない貴金属としての価値が本位貨幣としての通用力に影響を与えたというのは容易に理解できることです。

一方で銅は卑金属であり、その金属としての価値は鉄やスズと比べて大差ないように思えます。少なくとも金銀と並び称されるほど「誰もが価値を認める」金属ではないと思えるのですが、なぜこれが貨幣として通用したのでしょうか。「金本位制」や「銀本位制」というのは聞きますが、「銅本位制」というのは聞いたことがありません。
特に中国や日本ではコイン(銭)といえばそのほとんどは銅銭でした。逆に金や銀のコインはほとんど作られていません。西洋では金貨や銀貨は作られていましたが、同じように銅貨も作られ、非常に普及していました。銅が貨幣の材料として洋の東西を問わず普及したのはどういった理由からなのでしょうか?

A 回答 (2件)

鉄でも銅でも、人間が使用できるようになるするには、高度な冶金技術が必要になります。

現代でも、だれでも原石から金属を簡単に取り出せるというわけではありませんから。

ですから、古代の人々にとっては鉱物から金属を取り出すのは非常に難しく、またコストのかかる作業でした。

銅を人間が使う歴史は紀元前9千年ぐらいまでさかのぼれるようです。この頃は銅そのものが含まれている鉱石を採取し、銅の純度の高い部分だけ切り取って利用していたようです。実は金もその頃には同じ用に利用されていたと思われ、とくに金は砂金として採取されたのが始まりのようです。

紀元前6世紀ぐらいになるまでに、人類は銅や金を溶かして好みの形に変える技術を会得していたようで、銅や金の融点はそれぞれ1083℃と1063℃ですから、木炭を大量に消費しふいごなどで火力を高めれば可能だったようです。
しかしこの時点では、銅は不純物も多く銅そのものはやわらかすぎるため、貨幣として用いられていたとは思えません。

これが変わったのは、紀元前3千5百年ごろに青銅器ができてからです。銅に特定の金属を混ぜ合わせることにより、硬い金属を作ることができるようになり、青銅製の剣・鏡などが作られるようになりました。この頃には銅を溶かす炉の温度も結構高くなっていたようです。この頃には銀も利用されるようになっています。
ところがこの頃になっても、鉄はまだ出現していません。鉄は銅や金に比べて融点が高いため、人類はその温度を安定的に作ることが難しかったからです。隕石(隕鉄)を砕いて利用したものはあったようです。
鉄は紀元前2000年ぐらいになるとヒッタイト帝国で生産されるようになり、青銅器よりも硬く強いため、圧倒的な武力で近隣を征服したようです。
この鉄の技術が時代が下がるにつれ、他国に流出して行き日本にも縄文時代から弥生時代に変わるぐらいの時期に伝来しています。

長くなりましたが、この鉄の技術が広まったことが銅を貨幣に用いるきっかけになりました。
同じように鉄以前から利用されてきた金や銀はもちろん金貨・銀貨として以前から利用されおり、希少性の高い金属でしたから、宝飾品として利用されていきます。そして武器はすべて鉄製に切り替わっていきます。銅は金銀に比べると非常に豊富にあるため、金銀の補助貨幣として利用されるようになりました。
もちろん、それ以前も紀元前1500年ぐらいの中国の商(殷)の時代には銅銭(ただし今のように丸いものではない)もあったようですが、世界的に利用されるようになるには、どの時代・国でも青銅器が鉄器と交換され、銅の使い道が減ったことが直接的な要因です。
さらにいえば、中国では貝を金銀の補助貨幣に利用していた時代もあったぐらいですから、錆びずに安価に使える金属貨幣の需要は高かったはずです。

そしてその後近代まで、金銀銅は錆びない貴金属として貨幣に利用されることになります。ただ銅が本位になれなかったのは、希少性が薄いからでしょう。金なら(経験的に)そう簡単に新しい鉱山が開発できないのは古代でも知識としてあったでしょうが、銅の場合は鉱山が見つかれば埋蔵量は結構あったからです。
ですのである民族が銅本位制をとっており、他国を侵略したら銅山も手に入って銅の価値が半減した、ということになりかねなかったからです。また金なら同じように見つかっても、他国に金を輸出することで金の価値を下げないようにできますが、銅は他国でもありふれていたでしょう。これは青銅器が伝播していく時代に各地で銅山が開発されたからだと思います。

ということで、銅は
金銀と同じぐらい貨幣に向いている性質をもつ、大量に利用できるだけの生産が可能であった。そのために金銀という本位貨幣の補助として利用されてきた、ということだと思います。
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この回答へのお礼

詳細な解説をありがとうございます。
人類にとって身近であり、鉄よりも腐食性に強いというのは貨幣に長く採用されてきた主要因かもしれませんね。

お礼日時:2010/07/19 00:02

参考資料



銅貨http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%85%E8%B2%A8

こちらを確認する限り、鉄に比べ保存しても腐食することも少なく(よく沈没船とかからも引き上げられます)昔は金属自体が希少だから額面通りだったのではないでしょうか?
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