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タンパク質の精製を行っています。精製についてはどの本を見ても「タンパク質によって精製法が違う」というのは分かったのですが、考慮すべき点のなかで(塩)安定性についてどのように考えればいいのか分かりません。また「タンパク質溶液は濃い方が安定」とよく書かれているのですが、私としては濃い方が凝集しやすいのではないかと思います。また、みなさんは目的のタンパク質を発現・精製したいときどのような点を考慮しながら実験を進めてるのですか?素人の質問で申し訳ないのですが宜しくお願いします。
あと、精製法を考える上で有用なサイトなどありましたら教えて下さい。長々と書いて申し訳ありません。

A 回答 (3件)

補足読みました。



> nativeな構造をとるタンパクを精製するためには分泌させる必要があるということなのでしょうか?

これは説明が足りなかったかもしれません。
一般に細胞内は還元的環境なので、細胞内に存在する蛋白質にはS-S結合は無いと言われています。
細胞内蛋白質を扱うときにDTTなどの還元剤を用いるのもこのためです。
従って、細胞内に存在する蛋白質を異種発現させるのに、細胞外に分泌させると酸化されて不必要なS-S結合が起こりうるため分泌発現は不適切でしょう。

一方、S-Sが存在する蛋白質の場合は、分泌生産させると、分泌過程で適切なfoldingを起こす機構が働いて正常な蛋白質を得ることが出来る可能性が高いです(発現させる種により相性があるようですが)。


> HisタグがpH8で安定ということでよろしいのでしょうか?

Hisタグを用いた精製は、レジンにくっつけた正に帯電した金属イオンとの配位結合をさせることで行います。

一方、His側鎖のpKa値は6付近ですので、pH8だとほぼ電荷を失っています。
この状態だと、金属と配位ができますが、pH6以下だと、Hisが正電荷を持つため金属と反発し結合できず、精製できません。

つまり、pH8が適してるというのは、タグのHisが電荷を持たず、かつ中性に近いから、ということです。
もちろん高いpHで蛋白質が安定なら、pHをもっと上げることでより特異的吸着をさせることが出来ます。
また低いpHでも安定ならば、一度高いpHでレジンに吸着させて、洗浄後、pH5~6程度の緩衝液で溶出させることも可能です(イミダゾールを使わないでよい)。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。大変参考になりました。

お礼日時:2003/08/04 09:16

「タンパク質溶液は濃い方が安定」というのは、


タンパク分解酵素が一定量混入しているとすると
目的のタンパクが多い方が相対的に分解されにくい
ということです。

生の材料からではなく、クローニングした遺伝子
から発現させるなら、特に不安定なタンパクで
濃度がとても低い時以外は気にしなくて大丈夫です。
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この回答へのお礼

早速の回答ありがとうございます。プロテアーゼ阻害剤を加えておけば多少タンパク質濃度が低くても大丈夫ということなのですね。安心しました。

お礼日時:2003/08/03 11:02

私もタンパク精製に関してはまだ初心者なので、偉そうなことは言えないのですが・・・



安定性というのは、塩濃度依存の安定性ということでしょうね?
これは蛋白質分子表面の電荷を中和・安定化させるためのものと理解しています。
従って蛋白質によって、適切な塩濃度は変わると思います。
一方、塩濃度が高いと塩析が起こる可能性もありますので、条件検討は必要でしょう。
あと、金属イオンなどが結合している蛋白質の場合、塩濃度によってその結合が影響される可能性も考慮すべきと思います。


蛋白質が濃い方が安定だというのは経験的に知られていたものですが、生理条件下ではむしろ様々な蛋白質が近傍に存在しているため蛋白質が高濃度である方が安定であるのは妥当なことなのでしょう。
目的蛋白質濃度が低い場合、BSAを加えたり、グリセロールを加えたりすることがあるのもこのためです。

しかしながら、koolashさんがおっしゃるように高濃度の蛋白質は凝集を起こす可能性も高くなります。
これは蛋白質の溶解度に依存しますので、やはりどの程度まで濃縮できるかの検討は必要です。
濃縮中に低濃度で凝集・沈殿を起こす場合は(よくあることですが)、pHを変えたり、塩濃度を変えたり、塩の種類を変えたり、グリセロールを添加したりして、なるべく高濃度の蛋白質溶液を調整するように努めます。

ちなみに結晶化には、凝集するかどうかのギリギリの濃度がいいと言われています。




>みなさんは目的のタンパク質を発現・精製したいときどのような点を考慮しながら実験を進めてるのですか?

私自身は・・・

発現には、目的蛋白質に適切と思われる発現系をまず探すことででしょうかね。
翻訳後修飾が重要と思われるなら、大腸菌よりも、酵母や昆虫細胞などによる発現系を行う方が良いでしょうが、そういうことが不明な場合はとりあえず大腸菌発現を試みるべきです。

S-S結合が明らかにある場合は、目的遺伝子にシグナルペプチドがつくように遺伝子から設計してやり、分泌発現を行うことを検討するべきでしょう。
ちなみに分泌発現には、酵母Pichiaの成功例が多いです。

あとは培養温度、シャペロン共発現などの検討も必要となることが多いと思います。


精製に関しては、とりあえず発現させたい蛋白質の理論等電点を調べて、それとは異なり、かつ生理条件に近いpH付近に緩衝能をもつbufferを選びます。
この時、Hisタグなどがついているなら、pHは8付近が適切ですので、そのpHに等電点があったり、不安定な蛋白質なら、違うタグ(GST、MBPなど)を選択したほうが良いと思います。
あとは、トライ&エラーですかね・・・


私自身の浅い蛋白質発現・精製の経験から分かったことは・・・

・・・とにかく、やってみないと分からない・・・

ということですかね・・・

・・・・って、結局はそれかよ?!・・・って感じですが(爆)
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この回答へのお礼

丁寧な回答ありがとうございます。いくつか質問があるのですが。>S-S結合が明らかにある場合は、目的遺伝子にシグナルペプチドがつくように遺伝子から設計してやり、分泌発現を行うことを検討するべきでしょう。というのはnativeな構造をとるタンパクを精製するためには分泌させる必要があるということなのでしょうか?また、>Hisタグなどがついているなら、pHは8付近が適切ですので・・・とはHisタグがpH8で安定ということでよろしいのでしょうか?いくつも質問して申し訳ありませんがよろしくおねがいします。

お礼日時:2003/08/03 10:59

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