チョコミントアイス

よく『生物Bは生物Aから分岐した』と聞きますが、どうやってそれを調べているのですか?
どの位の違いがあれば「分岐した」と言えるのですか?
もし神様になって長い間生物を観察することができたとして、「分岐した」と言われる時点の生物の親と子供は異なる系統の生物になるのでしょうか?

A 回答 (7件)

 「生物AはBから分岐した」という言い方は、あくまで今現在2つの別種と見なされている生物を比較して論じる言い方です。


 従って、

>どの位の違いがあれば「分岐した」と言えるのですか?

 という疑問は、原因と結果を逆に取り違えています。

 互いに似ている2つの群を、「別種」とみるか同種とみるかについては、「生殖的に隔離されていて形質に相違点が見られれば」別種と見ることができます。でも議論の余地は常にありますけどね。

 例えばニホンザルとタイワンザルは互いに非常によく似ていて、しかも同居させると容易に混血して雑種化します。
 でもこの2つの動物は、自然環境下では日本と台湾という隔絶された地域に住んでいるので「生殖的隔離」が成立していて、形態的にも相違点がみられる(タイワンザルの方が尾が長い)ので、現在はこれらは別種に分類されています。
 これなどは分岐してまだ非常に日が浅い例でしょうね。せいぜい数万年ですから。

 もっと分岐してから長い例、例えばヒトとチンパンジーだと遺伝子を調べることによって判ります。ヒトとチンパンジーでは塩基配列ベースでは98%以上の遺伝子が同じです。なのでこれも分岐してからまだ比較的日が浅い(600万年とも800万年ともいわれます)例になるでしょう。
 類人猿ではチンパンジーより先にゴリラが分岐して・・というようなことも遺伝子を調べることによって判ります。

 正確には、「ヒトはチンパンジーから分岐した」のではなく、「ヒトとチンパンジーは共通の祖先を持つ」なのですがね。

 遺伝子を調べるのもおぼつかない化石しかないような古生物では、形態的な差違をもってそう判断しています。

>もし神様になって長い間生物を観察することができたとして、「分岐した」と言われる時点の生物の親と子供は異なる系統の生物になるのでしょうか?

 一世代あたりの変化はあまりに小さいので、例えばチンパンジー(との共通祖先)から現在のヒトに至る全ての世代を観察していたとしても、ある時点の「親と子」は普通に同種の動物としてしかみれないでしょう。
 つまり、「分岐の瞬間」は神様でも判らない、ということです。

 あまり良い例ではないかもしれませんが、犬を例に挙げてみます。
 犬の品種改良は、「自然による淘汰かヒトによる淘汰か」が違うだけで、生まれてくるものの中から"目的に"マッチするもののみに次代の子を作らせる、という意味ではまったく同じことをしています。ただ、人為淘汰の方が淘汰圧が圧倒的に強いだけです。(なので「進化」に要する世代数が人為淘汰による品種改良の方が圧倒的に短い)

 ある犬から子が生まれたとき、どの次代のどのブリーダーも「これはもう「犬」じゃない」とは思わなかったでしょう。親からは親そっくりの子しか産まれませんから。犬の場合は、それでも「なるべく違う」子を選ぶことによって品種を作ってきたわけですが・・・

 でも、今ふと虚心にチワワとセントバーナードを見比べて、「この2頭は同じ"犬"という種である」と疑問なく言えますか?
 いつのまにか、こんなに違う形態に「分化」しているわけです。
 チワワとセントバーナードは、もはや自然の状態では交配して子を残すことはできませんから(交尾そのものが不可能)、この2群はもはや別種であるといっても良い、という議論も成立します。

 でも、今この時点だと「チワワとセントバーナードは明らかに違う」と言えますが、それぞれの品種改良の世代を遡っていっても「ここからが違う」と明確に指摘できる"特定の世代"はないでしょう。
 「いつの間にか違っていた」というわけです。
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この回答へのお礼

詳しく回答して頂き有難うございます。
とても参考になりましたw

お礼日時:2010/12/16 04:06

 ニホンザルとタイワンザルについては特に亜種とすべきなどという議論は起きていませんよ。

カニクイザルとも交雑しますが、そちらの方とも亜種と分類し直すべきとかいう議論も今のところ特にないです。
 そもそもこれらが互いに交雑可能であることは大昔から判っています。というより「ニホンザル、タイワンザル、カニクイザルの互いに交配できない」と思う方がどうかしている、と思うほど、彼らの形態的な差違は小さいです。

 引用のサイトは別に専門家でも何でもない人が、「生殖的隔離」の意味を誤解して、その誤解した定義に従うと「亜種ではないのか」と感想を述べているだけですよね。

 タイワンザルやカニクイザルは特定外来生物になっています。特にカニクイザルは世界の侵略的外来種ワースト100にもなっています。
 これらの外来「種」による被害のひとつに、「在来種の遺伝子汚染」がありますが、これなどは「交配可能なら同じ種」という定義があるのなら成立しない概念です。

 遺伝子汚染が起きるのは「交配可能」だからなのですが、もうひとつ「互いの遺伝子集団が独立している」ことが必要不可欠です。その独立性が侵されることを「遺伝子汚染」というわけですから。
 交雑が観察されたものを片っ端から「同一種の中の亜種」と分類し直せば、「遺伝子汚染」は問題とはなりませんよね。同一種の中で交配するのは当たり前ですから。

 種分類にとって本質的なのは「互いの遺伝子集団が独立している」=「生殖的隔離が成立している」ということであって、「交配可能か否か」は、生殖的隔離が成立しているかどうかを判定する1つの指標に過ぎないわけです。
 生息地域が隔絶されているのなら、交配が可能かどうか調べるまでもなく生殖的隔離が成立しているのは明白、というわけです。
 交配可能かどうかが問題になるのは、2群の動物が同じ地域に生息している場合だけです。
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この回答へのお礼

返事が遅くなってしまいすみません。
ご回答有難うございました。

お礼日時:2011/05/28 01:42

たびたびすみません、#3の者です。


「タイワンザルとニホンザルは交配可能なのに別種」という例は、
#3で述べたように、これまでの分類学は、形態や生態をもとに種分類を
行ったためで、現実には、タイワンザルは日本で飼育されていた個体が
逃げ出し、継続的に交雑している様子が観察されており、それなら亜種
だろうという議論が起きています(↓)
http://www.ne.jp/asahi/kitutuki/kobo/11ysi/sakuh …

(異種でも交配ができる=交配可能性は種の定義とは無縁、という例
ではなく、これまでの形態による分類が不完全であったという例です)
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この回答へのお礼

返事が遅くなってしまいすみません。
ご回答有難うございました。

お礼日時:2011/05/28 01:42

 No.2のJagar39です。



 誤解されやすいのですが、「種」の定義に「交配可能か否か」というのはありません。交配可能か否かは重要な基準の一つではありますが、それが定義そのものではない、ということです。
 交配不可能な2群は間違いなく「別種」と分類されるでしょうが、別種と分類されている2群が必ずしも交配不可能ではない、ということです。事実、交配可能だが別種と分類されている例はいくらでもあります。No.2で例に挙げたニホンザルとタイワンザルもその1つです。

 交配可能か否かは実際に試してみないと判らないことです。つまり化石動物は分類不可能です。

 まあ要するに、「種」を定義する明確なたった1つの基準は存在しない、ということです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%AE_(%E5%88%8 …

 もっと正確に言うと、交配可能か否かが生物学的種の分類基準になるのは、「同地域に分布する生物集団が自然条件下で交配し、子孫を残すならば、それは同一の種とみなす」です。
 言い換えれば、同一地域に生息しながら自然の状態で交配しない動物ならば、それらを別種とみなす、ということです。

 種分化の過程では、一般的にはまず最初に「地理的隔離」が起きるはずです。
 同一の遺伝集団であった群が川や山、海などで2つの群に"隔離"され、群の間で遺伝的な交流がなくなってから長い年月が経つと、それぞれの群は独自に進化します。
 するといつの日か形態的な差がみられるようになり、やがては再び同一地域に生息するようになっても互いに交配しなくなるわけです。

 同一地域に生息していても、好みや文化の違いにより群の生殖的隔離が成立するような場合もあるかもしれません。無理矢理交配させれば雑種をつくることができるような種でも、自然の状態で交配が起きない=遺伝的交流が起きないのであれば、それは通常別種とみなされます。

 ま、人間が生物を「種」に分類する理由の本質を考えると、種の本質的な定義は「互いに独立した遺伝集団である」ということのはずで、交配可能か否かはそれを推察するための手段に過ぎないわけです。
 地理的に隔離されていて形態的な差が見られる場合も、「独立した遺伝集団」である推察が成立するわけですから、
人工的に環境を作れば交配が可能であったとしても、別種に分類するべきでしょう。

 つまり、このような議論がされている、ということ自体が「明確な種分化の瞬間は神様でも観察できない」ことを意味しているわけです。
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この回答へのお礼

返事が遅くなってしまいすみません。
ご回答有難うございました。

お礼日時:2011/05/28 01:43

ちなみに、日常で使う「種」と、生物学的な「種」というのは


同じではありません。
生物学的な「亜種(交配可能な)」も、一般では「種」という
言葉を用いている場合がほとんどです。
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この回答へのお礼

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ご回答有難うございました。

お礼日時:2011/05/28 01:43

現時点で言えば、遺伝的に安定した形態として集団が存続しており、


かつ、他の集団との交配ができない、ないし雑種1代ぐらいしか
可能でない場合、種分化したと考えられます。
(本来は、全く形態の見分けがつかなくとも、交配できなければ
別種だと言っていいはずだが、分類学が形態を元になされて来た
経緯から、上記の前半のような定義が必要になる)

過去に遡った話をしていいなら、DNA解析で系統樹を描いて、
得られた分岐点を、遺伝的に種分化したと言うこともできます。
実際は、分岐した当初は、交配可能な亜種であったはずですが、
現時点で「別種」とされているものが分岐した時点という意味では
そこしか特定できません。
(種分化の過程では、流産しやすくなり、遺伝的に弱くなり、
雑種1代しかできなくなり、といった形で徐々に分かれるので
1点に特定できない)
後のご質問の答えがここにあります。

もちろん、外骨格の生物で、交尾器の形態の変異により、一気に
交配できなくなって、遺伝距離とは無関係に系統が分かれる例
などのように、明確な時点の特定が可能な場合もあります。
(その場合、変異前の親とは別種)
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この回答へのお礼

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ご回答有難うございました。

お礼日時:2011/05/28 01:44

この分野の専門家ではありませんが、


>親と子供は異なる系統の生物になる
というような「断絶」は「あり得ない」と思われます。
なぜなら、その場合ある日突如かなり多数の子供が親とは「断絶」した生物にならないと子供の子孫が増えないからです。
分岐にはよく言われるように地理的に隔離された生物群が次第に互いに交雑困難になることが必要だと考えられます。「種の起源」をもう一度お読み下さい。
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この回答へのお礼

ご回答有難うございます。
「種の起源」読んでみようと思います。
他に参考図書があれば教えて下さると助かります。(素人なので比較的簡単に読めるものでお願いします)

お礼日時:2010/12/15 15:41

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