No.8
- 回答日時:
よく、「外見はその人の中身を反映すべきだ、だから外見を飾る化粧やおしゃれは虚飾であり偽りだ」、といった意見を耳にします。
私など、こんな意見は反吐が出そうなぐらい気持ち悪く感じます。ひとまず、この意見を反面教師に考えてみます。こういう考えの持ち主は、ひとの「中身」というものが実体としてはっきりある、と考えているのでしょう。「精神」と呼んでも同じですが、それこそが人間を人間たらしめている肝要なものだ、と。だから、精神を磨かずに肉体を飾るのは愚かだ、不自然な外面の操作はすべきではない、ということになります。これは、人間は枢要な「精神」とその器たる「肉体」に分けられる、という典型的な二元論です。
しかし、この考え方はあやしいものです。
まず、彼らがいう「自然」というのは一体どういう状態をいうのか。どんな精神偏重主義の人も、朝おきれば髪を少しはとかすでしょうし、ひげも爪も伸びれば切るでしょう。男なら(何の機能もない無意味な)ネクタイを恐らく締めるでしょうし、女性なら(不安定で背を高く偽る、不自然きわまりない)ハイヒールを履くことだってあるでしょう。
こういう行為すべては「自然」なひとの姿に対する働きかけですから、「外面は自然であるべき」という主張と相容れないはずです。恐らく彼らは「それは身だしなみという常識の範囲だ」と節を曲げるのでしょうが、ならば、なにが不自然な外面操作で虚飾にあたるのか、そして、その線引きは誰がどうやって決めるべきだというのでしょうか。
よく考えてみると、「外面より精神だ」という主張は、実は優生的な思想を背景にした極めて権力的な考え方であることがわかるでしょう。事実、ファッションや化粧は歴史上、権力によって敵視されてきました。まるで、退廃芸術を滅却しようとしたナチスや、華美排斥の名のもとに人間の内面まで抑圧した共産主義国家そのままのリクツです。
大事なことは、人間を「精神」と「肉体」に分離するのではなくて、人間が化粧や服装にこだわって外見に常にコミットしようとする、その行いまるごとをまずは肯定することです。それらを精神を隠す虚飾とみなすのでなく、そういう行為がむしろ人間の本質に根ざすのではないか、と考えることです。
ひとが社会で個として生きるうえでは必ず自己像を持つことを迫られます。それがはっきりしないと社会生活が営めないからです。けれども、ひとには実ははっきりした自明な「中身」があるわけではありませんから、その自己像というのは、誰しも自分の顔をじかに見られないことに象徴されるように、アプリオリに与えられるものではなくてむしろ、自分で想像的に作り上げるものとなります。
作り上げられた自己像の主戦場が、まずは顔です。顔は対人関係上もっとも情報量のおおい場所ですから、その顔をどのように扱うか、ということは自己像をどう操作するか、つまりどのような社会的人格を選択するのか、という意味でその人間の価値観を表わしやすいわけです。顔は他人の視線が自己像にフィードバックされる最前線でもありますから、そこに加えられる改変は、例えば仮面をかぶると人格が変わる、という例からもわかるように、大きな力を持っています(仮面を意味するペルソナが、心理学で社会的人格を意味するのはご承知のとおり)。
問題は、顔の化粧だけではありません。人間は、実は身体全体を改変してきています。よく「自然のままがいい」といった言い方を耳にしますが、自然のままでいられないのが人間といってもいいぐらいです。化粧やタトゥー、ピアスには、ほとんど人間の歴史と同じだけの歴史があります。ひとはむしろ肉体が自然のままであることに耐えられずに、むしろ想像力でもって意味づけを行いながら、それに手を加えてきたのです。人間が歴史上どれほど身体改造の文化をつむいできたか、すさまじいものがあります(ルドルフスキー『みっともない身体』などご参照下さい)。
歴史上、ひとは野山という外の自然に働きかけて改変し、自分たちの意味の体系の中に取り込んできましたが、身体についても同様に、ありのままの「自然」であることを許さずに改造し、自分たちの意味のなかにとりこんできました。つまり、外界だけでなく自分の肉体というミクロコスモスも含めて、「自然」を「文化」にしてしまう、宇宙的な意味のなかに位置づけるのが人間の営為というわけで、よく言われるように、コスメティーク(化粧)という言葉がコスモス(宇宙)と語源を共にするのも、ここに理由があります。
自然の改変は、止むことを知りません。一旦改変されて文化の中にとりこまれたものは、やがて当り前の「自然」になってしまいますから、さらにそれを改変しようとする動きが必ず起こるからです。まるで、ピアスをひとつ開けたひとがそれだけで止まらずにピアスだらけになってしまうケースのように。
ですから、不安定さ、刹那的な儚さが化粧やファッションには常につきまといます。それゆえこれらは軽く扱われがちですが、サイテー(ックス)に頭の固い権力者の言辞は気にする必要などありません。ロラン・バルトは、ファッションとは「自分とは何か」という問いとの戯れだと言い(『モードの体系』)、丸山圭三郎は「意味の過剰性こそが人間の本質だ」と書いています。
あるいは寺山修司は、こういう文章を書いています:
「化粧を、女のナルシズムのせいだと決め付けてしまったり、プチブル的な贅沢だと批判してしまうのは、ほんとうの意味での女の一生を支える力が、想像力の中に在るのだということを見抜くことを怠った考え方です。」(『さかさま恋愛講座・青女論』)
これは化粧についてのものですが、生きる力の源泉が「想像力の中に」あるというのは
上に書いてきたような人間の営みの本質をついた言葉だと思います。生きている限り「ありのまま、自然のまま」でいられないのが人間なのだし、その否定は人間性を否定するイデオロギーに堕すほかないのです。
No.7
- 回答日時:
はげている男は、性欲が大きい 男性ホルモンがいっぱいある、 といわれていますので、西洋ではがっちりした筋肉質の人が禿げていると「セクシー くらくらしちゃう」と言われる。
日本だと老いていると感じるのは、日本人は西洋の人と違い、筋肉がつきにくから。
ホルモン注射をしないと、普通の運動くらいじゃあ 筋肉モリモリにはならない。
まあ、アメリカの体育の時間はすごくハードなので、さすがの日本人の留学生も、筋肉つくらしいけど。
で、女性が何故化粧をするのか。
それは自信をつけるためであって、他人に見せるためじゃあない。
化粧で自分の見かけの欠点をカバーし、その上から自信たっぷりな表情を作る。
鏡を見ながら、だんだん自信たっぷりな女に変身していくわけです。
インドネシアの踊り子も、化粧しますが、あれも神の化身となるためで、化粧をしていくと、どんどん自分の内面も変化していくように鏡を見ながら感じるわけです。
ゴシック調に化粧をする場合も、現実とは違う別物に内面まで一時的に変えるための作業。
ほら、ヤクザ映画を見た人が、映画館から肩で風切ってでてきますでしょ?
内面が映画の影響で一時的に変わるわけです。
普段 ぶつかったら「すいません」と謝る性格の人が、映画館を出た直後にぶつかると「どこみて歩いてだよ」となったり。
あとは車。
男は車を自分の装飾品とし、実物以上のものになったと幻想を抱く。
だから、普段おとなしい人が、車の運転をすると「タラタラと運転してんじゃないよ ぼけ やるか 車から出て来い」と相手より自分の車が大きいと、相手の運転手すら自分以下だと思い、喧嘩ふっかけるわけです。
まあ かつらは 若いと見せかけるためにも、装飾品として使うんだと思う。
年老いている、弱っているとみられると、餌食にされちゃうから。
No.5
- 回答日時:
装飾には、2つの指向性がある;
1.人の認識には限界があり対象の表面性に依存しがちなために、自己の表面にその内面を表現することでその本質の把握を助け、相応しい社会全体への貢献を可能にするもの。
2.自己中心的な欲求のダイレクトな発露(自己顕示、虚栄心 etc.)によって、自己の本質を糊塗し、不相応な評価や利益を得ようとするもの。
本来、外見は正しくその人の価値を表現せねばならず、その為に、外見は必然性から出た自然なものであるべきであって、外見を飾ることのみを目的とした過剰な装飾行為など、何の生産もしないものなのだから、人の価値を落とす方向に働くべきだ。
ところが、判断を狂わせ、自分の価値を上げずに自分の価値を高く見せようとする麻薬的(判断自体を誤らせる)効果は、低い認識力に対して成功し続け、ゆえに誤った人々(自己チュー化)により維持され続ける。
それは要するに、人の事を考えずに自分の事だけを考える、攻撃的思考に発するものだ。つまり、人の役に立つ為にそれをしているのではなく、人より強く、賢く見られたい、そうして内容の劣る自分を隠し、他人に受け入れさせ(結果的に迷惑をかけ)たいという、短絡的利己に由来する社会への阻害である。
高い能力を持つ他人が、良い待遇を受けて能力を発揮する事はみんなの為になり、結局自分の為にもなるのに。
全体を愛し、努力する事によって全体に必要とされ、よって必要とする愛を得る事が真の愛である。
そうでない愛は利己だ‥‥それによって個人を愛する事は、その他を憎む事に等価だ。 それに根ざす浅薄な装飾は、立派な攻撃である。
人は愛の為に身を飾っていると思い込みがちだが、その実、それはきっかけに愛を得ただけの愛の残骸であり、大きな錯誤を経て、攻撃の範疇に含まれる。
No.4
- 回答日時:
寄せられた回答をみて、思いました。
質問にある“自分をよく見せようとする”心理。
それが一番の要因ではないでしょうか。
人は誰もが、自身の容貌に満足していないのかもしれません。
あるいは、自信はあっても更によく見せたいという欲の現れ。
大雑把なところでは、こんな理解の仕方でいいのではないでしょうか。
でも質問者さんは、例外的な意味を持つ回答を求めているのかもしれません。
私も興味があります。
さらなる回答があるといいのですが。
ご回答ありがとうございます。
いろいろな回答を頂けることを期待してます。
よく見せる=他人をだます ・・・ 同じことですかね。よく誤解させる?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
心理学のこんな実験を見たことがあります。
互いに面識のない、年頃の男女を一つの部屋ので、男性と女性それぞれ5人一列にテーブルを挟んで向かい合わせて座らせて15分程会話をさせました。何か忘れましたが日常のありふれたことをテーマにした自由な会話です。条件として男性が話し、女性が聞き手になる状況だったと思います。それを録画して、男性が各々合計何分何秒話すかを記録に取りました。その実験の直後、比較的無口だった男性だけに眉を描くなどの男性用の化粧をし、さらに見栄えがよく見える良く似合った服に着替えさせて、前と同じ5人の男性が今度は改めて違った5人の女性と同じ類いの会話をさせました。そうしたら、化粧をした男性の会話の量がはっきりと増えたそうです。この実験をいろいろな人にやっても、その変化は有意義に確認できたと言うことでした。
自分の見栄えが良くなると、女性ばかりでなく男性も自分に自信が持てて、明るい積極的な人間になれるようです。
ありがとうございます。
なるほど。
その男性は自分の容姿に引け目を感じてたのでしょうね。
人三化七のような御面相のくせに超積極的なお方がいらっしゃいます。
あれは何でしょうか。
No.2
- 回答日時:
>自分をよく見せようとする人がいます。
ヒト,だけでは,ありません。
チンパンジーも,化粧されると反応する,という研究結果があります。
参考:朝日新聞
http://www.asahi.com/edu/university/kougi/TKY200 …
また,詳しい研究結果は,
自己の起源-比較認知科学からのアプローチ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~pengin-c/isbn4-7608- …
この報告で,p44に
(生後21ヶ月~24ヶ月に始まる)自己認知ができる。恥かしそうに鏡を見たり、当惑したような表情が見せたり、おどけた顔をしてみせたりする。口紅をつけられた部分をよく見ようとしたり、手で触れたりする反応も見られるようになる。
とあります。
面白いでしょう?
No.1
- 回答日時:
前、テレビでやっていたのですが、女性が化粧をするのは動物的に異性に好かれようとするからだそうです。
なので男性がおしゃれをしたり、服に気合が入るのも同じだと思います。
もしこの世が一つの性でできているのなら、女性も男性もおしゃれなど何にもしないそうです。
女性のダイエットも同じ事が言えますね^^
ご回答ありがとうございます。
鳥類のディスプレーと同じということですね。
自分の遺伝子を残したいという。
>もしこの世が一つの性でできているのなら、女性も男性もおしゃれなど何にもしないそうです。
そうですかねえ。
服装について、女性は女性の目を気にするところがあるように思いますが・・・。
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