【お題】王手、そして

今日の夕方にやっていたニュースです。
子供の相手をしながらだったのでちゃんと内容を把握していないのですが、確か福島県(いわき市?)の農家を特集していて、そこで作られている作物は放射能汚染が基準値以内の安全なものだということを放送していたと思います。

でも最近では、同じ福島県内の野生のねずみからは高濃度の、埼玉県の天然なまずからは基準値を超えるセシウムが検出されたという情報もあります。
原発から離れている埼玉県からセシウムが検出されているのに、福島の作物が汚染されていないのはなぜでしょうか?
動物と作物の違い?
ニュースの内容をちゃんと見れていなかったので、もしかしたら放射能対策をした結果なのかもしれませんが、それにしてもここまで差があるものなのでしょうか?

専門的な知識を持たない主婦にもわかるように説明していただけるとありがたいです。

A 回答 (3件)

 食物に蓄積する放射能の値を左右する条件は距離だけではなく、それ以外にも大まかにいって以下のようなものがあります。



1)農産物の場合には、土壌から作物への「移行係数(率)」。
 ⇒土壌に含まれる放射性物質がどれだけとり込まれるか、作物によって大きな差があることが実際のセシウムの測定値からわかってきています。白米は概ね0.01、野菜類と果実類は0.05未満というところのようです。

2)畜産物の場合には、飼料の産地と種類。
 ⇒高濃度の汚染で問題となった肉牛(高級な和牛が大半でした)は、高濃度に汚染された被災地の稲わらを給餌されたことが原因でした。我々庶民が普通に口にする国産牛(和牛じゃなくてホルスタインか交雑種)は飼料の大半を輸入に頼っていますし、豚・鶏も同様です。そもそも豚・鶏は稲わらを食べませんので、畜産物の餌からの汚染のリスクは相対的に低くなっていると思います。

3)魚介類の場合には生息地と食性。
 ⇒福島県沿岸で採取(漁獲じゃないです。念のため)されるコモンカスベ、イシガレイなどの魚種から基準超えが継続して観測されています。(福島県沿岸の)岩礁に定着する底魚で、海底の小型生物(ゴカイとか小型のエビとか)を食べる魚種が中心になっている傾向があるみたいですね。また養殖でない淡水魚(ウグイ、ヤマメ等)も同様に高い数値が観測されていますが、これは淡水魚が不足しがちなミネラルを積極的に蓄積しようとするメカニズム(海水魚は海水にミネラルが潤沢にあるため、余分なミネラルを排出しようとする)を持っていることが関係しているといわれています。

 こういう条件を勘案してゆくと、福島県であろうが埼玉県であろうが、放射性物質を溜め込みやすいものと、そうでないものがあるということになると思います。ネズミや天然のなまずってのは、前者はフォールアウトによって高度に汚染された木の実を多量に摂った、後者は生息していた泥に放射性物質が多量に沈殿していた、ってあたりが原因じゃないでしょうか。いずれも生息地と食性が関係していると思います。

 個々の産物は都道府県別のデータを見るとよりわかりやすいと思います。農水省のページですが、民間機関(ちゃんとした計測機器を持っているところ)のデータ概もね同様の傾向を示しています。
 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chos …
 こっちは厚生労働省
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001m9t …

 データの実態から見ると、現在基準を超えた数値が観測されているのは、主に福島県周辺の「野生の」キノコ類、天然の淡水魚、福島県沿岸の底魚というところが中心になっています。いずれも国内の様々な機関がおこなっている精密測定の結果から導き出された傾向ですから、ごまかしとかウソの可能性は低いと思います。今時データの改ざんなんかやったら、一発で露見しますしね。

 話が横にずれて申し訳ありませんが、単純に原発からの距離「だけ」で食品の安全性を判断するのはちょっと難しいように思います。安全の指標は個々人によって異なりますので、実際に計測されている数値をあなたの指標にあてはめてみて、あなたなりの判断基準をつくるのがいいんじゃないですかね。
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この回答へのお礼

詳しい回答をありがとうございます。
すっごくわかりやすかったです!
淡水魚と海水魚のメカニズムの違いなんて、目からうろこというか、なんかすごい大発見をした気分になりました。

小さい子供がいるのでゆっくりニュースを見たり調べたりする時間がなく、どんどんこういった情報から離れていましたが、ちゃんと情報を得ることで、気をつけるところと安心できるところ、少なくとも自分でそう判断できる材料ができただけでも気が楽になります。
今妊娠中ということもあり食べ物に慎重になっていましたが、これからは無駄に怯えず食べられそうです。
質問してよかったです。
ありがとうございました。

ところで…ついでにもう一つ質問してもよろしいでしょうか?

群馬や茨城の地下水はどうなんでしょうか?
今までは、地下深くまで浸透するのには時間がかかるから安心、と聞いていたのですが、これって時間が経てば経つほど浸透して汚染される、ということなんでしょうか?
最近ママ友の間で納豆からセシウム検出という話題がありました。
調べてみると、不検出、基準値以内という情報もあるのですが、納豆の生産工場は茨城や群馬に多く、地下水を利用している工場が多いようで、原発事故から1年以上経った今になってこういった話題が出てきたのも心配です。
そのほか、茨城・群馬に生産工場があり、製造過程で水を使用する食品には豆腐やこんにゃくもあるので、地下水についてご存知のことがあれば教えてください。

だいぶ話がそれてしまい申し訳ないのですが…
詳しい情報をお持ちの上内容がとてもわかりやすかったので、時間のあるときにでも回答いただけるとありがたいです。
面倒でしたら遠慮なくスルーしてください。

お礼日時:2012/05/29 22:54

No.2です。

私ごときの回答に丁寧なお返事ありがとうございます。

さて、追加でいただいたご質問ですが…。
(1)群馬や茨城の地下水はどうなんでしょうか?
 →普通、食品工場で使用される地下水というのは、100m単位の相当の深さの水脈からくみ上げています。地下深くということは、その間に地層という厚いフィルターがあると考えていいのではないでしょうか。例えばセシウムは確かに水溶性が高いですが、一方で泥などと結合しやすいとも言われており、微細な粒のような形で存在するかたちになる(チェルノブイリの事故で放出されたセシウムは径が0.3μm(マイクロメートル)程度だった由)と思います。そうした「粒」が地下数百メートルまでそのまま到達するとはちょっと考えにくく、ほぼ濾しとられるかたちになると思います。「地下水脈に表層の水がそのまま流れ込むかもしれないじゃないか」という方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな水は放射能以前に雑菌でアウトですので、問題外です。
 
 それから、「最近ママ友の間で納豆からセシウム検出」の件ですが、それは多分、とある「市民団体」が発表した自分たちでの計測結果(確かおかめ納豆)のことが発端ではないでしょうか。もしそこれだとしたらの話ですが、この市民団体が使っている測定機器が「LB200 (検出限界20Bq/L 核種区分無し)」となっています。この機種はベクレルモニターの中でも安価(要はロースペック)で入手しやすいのですが、少なくともまともな機関が食品の精密測定に使うものではありません。私が知る技術者に言わせると「あれはスクリーニング程度に使うもので、きちんとした測定に使えるものじゃない」ということです。
 当事者たちは善意や正義感でやっているとは思うのですが、データはきちんと信頼性のあるもので計測したものだけを採用すべきだと思います。結果的に迷惑をこうむる方もいるわけですから、いくら善意だからといって免罪符になるわけではありません。
 ちなみに標的にされたおかめ納豆のメーカーは、きちんとGe半導体検出器で精密測定(検出限界1Bq/kg)をして、「検出できないけど何か?」と怒りの発表をしています。
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この回答へのお礼

なるほど、なるほど!
天然のフィルターに泥との結合ですか。
それならむしろ地下水の方が安心なのかもしれませんね。
納豆の件は、そういった専門的な知識がないと誤解を招いてしまいますね。
噂を鵜呑みにしないように気をつけたいと思いました。

今まで漠然としていた不安がだいぶ解消されました。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2012/05/30 22:11

セシウムを取り込む性質はすべての植物と動物は種ごとに相違があります。

また動物はその個体差もあります。また人間が育てる場合は、育て方によって変わってきます。例えば牛にしても牧草で育てた場合と配合飼料で育てた場合で大きく異なっています。牧草と一口にくくられても、牧草という種があるわけでなく、まちまちです。同様に配合飼料と一口にくくられても、実際は成分に差異があります。

農家や養殖家が育てた場合は、人の手が加わるわけですから、種の特性に人の選択も加わって、より複雑になります。

野生のねずみは人の手が加わっていない。何を食べたか、これは誰にも分かりません。同様に天然なまずは何を食べたのか、これも誰にも分かりません。しかし、どちらも人の手が加わっていないことは確かです。

人間だって個体差があります。しょっぱい食べ物が好きな人もいれば、薄味を好む人もいます。肉ばかり食べる人と魚ばかり食べる人もいます。肉といっても輸入物と国産物でも栄養が違う。人間ほどではないにしろ、ねずみやなまずだって個体差があるのです。ただ、それがどれほどのものなのか、それは誰にも分からない。そんな研究をした人がいないからです。

福島県からの距離だけでは決まりません。他にも多くの要素が関わって、事態は複雑になります。人間には知能がありますから、なるべく汚染されないように育てようとするでしょう。しかしねずみやなまずには知能がありませんから、何も選択的行動がないわけです。

おそらく質問者さんは、無意識的に、この問題を原爆と同一視しているのでしょう。原爆は爆心地からの距離で被害の程度が決まっていました。質問者さんは、福島県からの距離という要素を過大評価しています。

しかしセシウム汚染の問題は原爆とは全く違います。一過性の問題ではないし、より複雑な食物連鎖の問題なのです。食物だけでなく水の連鎖だって違います。川はそれぞれ水源地が違います。水源地が違えば、雨の降り方だって違います。

それがどれほどの差なのか誰にも分からない。だからこそ、いちいち細かく計測している訳です。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
そうなんです。
特に知識もないので、わかりやすい距離で判断してしまいます。
でもこういった結果がある以上、何かしらの理由があるのだろうと思い質問してみました。
家畜や作物に対して有効な手段もあるようですが、私が思っていた以上に複雑なんですね。

ところで話が少しそれますが、新たな疑問ができました。
魚介類はどうなんでしょう?
それこそどこで何を食べているのかわからないし、未だに汚染水が漏れているとも聞きます。
最初の質問と話がそれているのでスルーしていただいてもいいのですが、何か情報をお持ちでしたらお願いします。

お礼日時:2012/05/29 09:44

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